企業やNPOへの期待、新しい試み

復興に関して、私が関心を持っていることに、企業との連携やNPOとの連携があります。このホームページでも、何度か書いています。また、NPOへの期待については、先日、「東北復興新聞」にも書きました。さかのぼると、『新地方自治入門-行政の現在と未来』の第8章に「官共私三元論」を書いた頃からの関心です。
復興の場面では、町がなくなっているので、町がどのような要素からできているかが、わかります。そこでは、商店街での各種サービスと雇用、町内会やいろんな集団のつながりといった要素がとても重要です。
しかし、これまでの地方行政論では、それらは所与のものであり、役場の仕事の外にありました。企業誘致は、行っていましたが。極端に言うと、企業やNPOは、せいぜい民間へのアウトソーシング・民間委託の対象でしかありませんでした。ともに地域社会を支える、公共の担い手であることは十分には認識されていません。多くの行政学や地方行政の教科書には、出てきません。

今、復興庁では、企業連携班NPO連携班をつくって、新しい試みに挑戦中です。どこで、誰に、何を手伝ってもらうか。具体事例を示さないと、抽象論では理解されないでしょうし、広がりません。
そのためには、一方で誰が何を提供してくれるか、他方でどこで誰が何を求めているかを調べ、つながなければなりません。
避難所にいる時期(昨日の記事の第2期と第3期)では、避難所での炊き出しや物資の配布の手伝い、がれきの片付けなど、作業がわかりやすかったのです。しかし、仮設住宅期、町の復興に取りかかる時期(昨日の記事の第4期)になると、まだ実例も少なく手探り状態です。
復興庁では、今後、NPO、企業、自治会、行政がどのような役割を期待されているか、5つの分野に分けて、大まかな「地図」を示しました。「多様な担い手のロードマップ」。これを、具体化していく必要があるのです。

いろいろと、調査の触手を広げているところです。職員が手探りで、研究してくれています。成果はこれからですが、乞うご期待。そしてそれは、新しい公共や行政のあり方の試行です。