年別アーカイブ:2012年

意見が違う者の間の同調と理解

2012年10月25日   岡本全勝

平田オリザ著『わかり合えないことから―コミュニケーション能力とは何か』(2012年、講談社現代新書)を読みました。表題にあるように、最近コミュニケーション能力が求められるけれども、わかり合うとはそんなに簡単なことではないことが、書かれています。
私流に理解すると、次のような主張です。
100人いれば、100人それぞれ考え方に違いがあります。いえ、2人でも、考え方が違います。夫婦の間ですら、嗜好に違いがあるのですから。洋食が好きか、和食が好きかとか。
その違いを無視して、相手のことをすべて理解しようとするのは、無理です。すべて理解する、あるいは理解してもらうのは、相手またはその集団に「同一化」「同調」することです。かつての、日本のムラ社会や会社への同調です。自己主張を殺して、大勢に従います。あるいは、奥さんの言うことに異論を唱えず、「服従すること」です(笑い)。
中高年の管理職が若者に求めるコミュニケーション能力は、実は「俺が言わなくても察してくれよ」「場の空気を読んで、反対意見を言うなよ」という、組織への同調です。意見が異なるものの間での、コミュニケーションではありません。
平田さんの主張に関しては、このHPでも取り上げました。「会話と対話と論戦と」(2012年7月14日の記事)。

私が考えるコミュニケーション能力とは、まず、自分の考えや好き嫌いを発言することです。黙っていて、「察してくれ」は、永年一緒に暮らしている夫婦でも難しい場合があります。次に、相手の主張を聞くことです。それを聞かずに、先回りして準備しても、間違っている場合があります。そしてお互いの意見を言い合った後、ここは同意するが、そこは同意できないということを、お互いに認識することでしょう。その後に、どちらの主張に合わせるかは、力関係によって決まります。会社では、部下は上司の意見に従い(いやなら辞める)、夫婦の場合は、夫が妻に従います。通常は。

大学入試は何のため

2012年10月24日   岡本全勝

10月23日の日経新聞1面連載「大学開国」は、「入試は変わるか」でした。
・・多くの生徒が難関大に進む高校から、現行入試への疑問の声が相次ぐ背景には、時代が求める能力と入試で測られる力のズレがある。
「高校の国際化の障害は入試だ」。埼玉県立浦和高の関根郁夫校長は言う。英国のパブリックスクール(私立名門校)と交換留学協定を結ぶ同校。過去6人の生徒が渡英し、全員がケンブリッジなど英有力大学に進んだ。
課題は、受け入れだ。英国生徒の来日は、2008年度が最後。「高校の授業は、日本の大学にしか通用しない入試対策が中心。生徒同士の議論などが少なく、海外の高校生にはつまらない」と同校長。知識の活用力も問う入試への転換を提言する・・
う~ん。国内で勝負するか、世界で勝負するかのズレですね。

国会担当同窓会

2012年10月24日   岡本全勝

今日の放課後は、かつての総務省総務課(国会担当)の有志との懇談会でした(2004年2月24日27日の記事)
「当時の岡本課長と福本国会連絡室長を慰労する会」ではなく、「当時、その二人に仕えて、苦労した職員を慰労する会」でした(笑い)。
国会担当は、独特の専門技能です。偏差値がいくら高くてもダメで、経験がものを言います。必要なのは、軽い足腰(素早く走り回ること)と、重い頭(すぐに頭を下げること)です。当時の職員の何人かは、やはり同じ仕事をしています。彼らと彼女たちが、それだけ有能なのだと、感謝しています。

内弁慶の旧軍、官僚

2012年10月24日   岡本全勝

「国内で威張っている」ことと「世界での評価」のズレを書いていて、思い出しました。先日紹介した、ハンチントン著『国家と軍人』です(9月26日の記事)。
そこでは、旧日本軍の軍人の特徴として、物質的要素がきわめて低く評価され、その代わりに精神的要素が決定的な意味を持っていたことが指摘されています(p127)。これは、通説になっています。私が考え込んだのは、次のような指摘です。
・・知性の低下と精神の高揚は、日本で職業軍人の著述の著しい欠如という結果をもたらした。1905年から1945年まで、日本は、強大な海軍力を持っていたが、海軍力の本質とその行使についての重要な理論を定式化した評論家は、日本には一人もいなかった。第二次世界大戦以前におけるこの問題についての日本人の著作は、人気取りのものか、極めて初歩的なものかのどちらかであった。学問的な分析はみられなかった。同じことは、陸上作戦についても当てはまる・・(p128)。
世界一の行政サービス水準を達成した後の、日本の官僚にも当てはまるかもしれません。日本の官僚機構は、「日本で最高のシンクタンク」と、高く評価されていました。しかし、各省の組織がどれくらい政策を提言し、官僚が個人として政策を提言しているでしょうか。
また国際的には、例えば発展途上国に対し、どれくらい知識を輸出することでそれらの国の近代化に貢献したでしょうか。我が身を振り返り、反省。
「海外協力庁」をつくって、制度や経験を「輸出」すれば良かったですね。モノの輸出やお金の支援以上に。後発国に比べ先に発展した日本の経験は、後発国にとって良いお手本(良い面も悪い面も)になると思います。日本が、法制度を輸入しながら輸出には熱心でなかったことについては、「2011年10月19日」の記述を見てください。

会社員の技能を活かした復興支援

2012年10月23日   岡本全勝

10月21日の日経新聞「春秋」に、被災地に派遣された社員が、自分の持っている技能で、現地の悩みを解決している話が紹介されていました。
・・佐々木さんが属する看護師のボランティア団体「キャンナス」にこの夏、大手損害保険会社が社会貢献活動として送り込んだ若手社員たちだ。お年寄りの悩み事などをパソコンで記録できるようにしてもらった。これで集計も簡単にできる。機器の使い方も習った。社員にとっては、日々の仕事である保険事務の応用だ。
市に提出した報告や提案書に、グラフ化したデータや実例集は、さっそく威力を発揮した。「企業の力ってすごいな、と思った」と佐々木さん・・
これは、NPO法人ETICが、企業と協力して、被災地に社員を派遣する試みです。仕組みは、「みちのく復興事業パートナーズ」をご覧ください。こんな支援もあるのですね。