東京消防庁、危険に向かって行く

毎日新聞が8回にわたって、東京電力福島原発事故の際に、東京消防庁が決死の覚悟で放水したことの検証をしていました。東京の地方面に載ったので、他の地域では読めなかったと思います。第一回目はこちら最終回はこちら
今読んでみて、あらためて、隊員たちの苦労や、送り出す責任者の苦労がわかります。原発への注水は、消防の本来業務ではありません。また、十分な情報がない条件下での活動でした。
記事に出てくる新井総監をはじめ東京消防庁の幹部は、私が消防大学校長の時にお世話になった方々です(こんなことも、していました)。記事を読んで、胸に来るものがあります。東京消防庁は、世界最高水準の装備と技量、そして規律と使命感を持った組織です。
燃えさかる現場に向かう=「危険だとわかっていて、近づいていく」。これは、いくつかある危機対応組織の中でも、消防(消防、消防団)が一番でしょう。消防にあっては、「遠巻きにして見ている」といったことが、できないのです。だからこそ、部下職員の安全を確保することは、上司の最大の責務です。どのような条件にあるか、どこまで行ったら引き返すか。その判断を誤ると、部下の命にかかわります。例えば、岡本校長がサリンで死んだ場合(2009年10月9日の記事)、落ちたら終わりの山岳救助の場合(2010年5月22日の記事)。
今回の津波災害でも、消防団員の方が、たくさん亡くなられました。住民が高台に向かって逃げるときに、この人たちは、水門を閉めたり、逃げ遅れている人を助けに、海岸に向かって行かれたのです。
崇高な行為に感謝するとともに、ご冥福をお祈りします。残された家族の方、特に子どもさんたちを支援することが、私たちにできることです。