年別アーカイブ:2011年

近隣諸国に学ぶ

2011年2月1日   岡本全勝

1日の読売新聞文化欄に、『東アジア人文書100』(2011年、みすず書房)が取り上げられていました。日本、中国、韓国、台湾、香港の編集者が、それぞれの国や地域の優れた人文書を選び、紹介するガイドブックです。
江戸時代まで日本は、中国や朝鮮から、たくさんの文化を学びました。漢文、漢詩、書道、中国の古典と歴史、特に論語は、日本人の素養でした。明治以来、日本は「脱亜入欧」、西欧にお手本を乗り換えました。そして、近隣諸国の事情には疎くなりました。私たちは、西欧の指導者や学者、芸能人の名前を何人も挙げることはできますが、アジアの近現代の人の名前は一部の人を除いて知りません。
東アジア各国が経済発展を遂げ、日本との経済社会的な格差が縮まりました。ようやく、日本がアジアを「同じ平面で」見るようになった、ということでしょう。韓国ドラマや芸能人の日本での流行がよい例ですが、小説などはまだのようです。
先日紹介した「政権交代の先進国」(2010年12月13日の記事)も、西欧を見なくても、近くに先例があるということでした。昨日、在東京韓国大使館の知り合いの外交官と、お話しする機会がありました。こんなに近いのに、私には知らないことが多いです。社会の仕組みについて、いろいろ教えてもらいました。文化的背景の違う西欧より、ずっと勉強になると思いました。

豪雪と火山灰

2011年1月30日   岡本全勝

今年は例年になく寒く、また積雪が多いようです。被害に遭われている方に、お見舞い申し上げます。鹿児島と宮崎県では、新燃岳が噴火し大量の火山灰を降らせています。
27年前、鹿児島に勤務していたときに、県庁の人たちに連れられ、霧島縦走をしました。新燃岳はその途中にあります。当時は新燃岳の活動は活発でなく、円形火口の上の縁を歩いて通過しました。縁は砂(火山灰)でできていて、切り立っていました。内に落ちると火口湖、外に落ちると遙か下まで転げ落ちるという、怖いところです。先輩たちはすいすい歩いて通過しますが、私は四つんばいで通過しました。きれいな景色とともに、記憶に残っています。早く終息することを祈っています。

中邨章教授最終講義

2011年1月29日   岡本全勝

今日は、明治大学中邨章先生の最終講義に出席してきました。先生は行政学、特に危機管理や信頼の研究で有名です。自治大学校、総務省や地方自治体も、お世話になっています。今日は、全国から教え子や大学教授を中心に、400人近い人が集まり、大盛会でした。
また先生は、国際行政学会副会長を務めるなど、海外、特にアジアでの行政官の育成に力を入れてこられました。11月に私が出席したエロパでも中心的な役割を果たしておられます。幹事団が中邨先生に秘密で、韓国から、Yonsei大学のPan Suk Kim教授(国際行政学会長)を呼んで、スピーチをしてもらいました。私は、ネパールでご一緒しました。中邨先生は、びっくりしておられましたが。
その後のパーティーで、乾杯の音頭を取れとのことなので、先生に感謝の言葉を述べさせてもらいました。ますますのご健勝をお祈りします。

生涯を通じた切れ目のない安心保障

2011年1月28日   岡本全勝

連載『社会のリスクの変化と行政の役割』では、災害や事故だけでなく、暮らしのリスクや社会とのつながりのリスクも取り上げています。24日の菅総理大臣の施政方針演説で、1年半前の「安心社会実現会議」に言及されていました。安心社会実現会議は、麻生政権の時に作られた会議で、「安心と活力の日本へ」という報告書をまとめました。委員には、宮本太郎北大教授らが入っておられました。
報告のポイントは、安心の中心には雇用があり、その回りに、子育て、教育、健康、老後があるというものです。そして、安心社会の実現のためには、高齢者支援を引き続き重視しつつも、若者・現役世代支援も併せて強化しながら、全生涯、全世代を通じての「切れ目のない安心保障」を構築することが求められる、と提言しています。

頑張れ浅川さん。国際機関での日本の貢献

2011年1月27日   岡本全勝

今日の朝刊に、財務省の浅川雅嗣副財務官が、OECDの租税委員会議長に就任することが載っていました。国際的な税制ルールづくりの場だそうです。国際機関で日本政府や日本人が活躍するのは、うれしいですね。
浅川さんとは、麻生内閣の秘書官として、一緒に仕事をしました。アメリカ発の世界同時不況に際し、日本政府がIMFに1千億ドル(約10兆円)の融資をし、中小国の資金繰りを助けたのは、その時の話です。国際金融の話は、私には新鮮で、たくさんのことを教えてもらいました。今朝、携帯電話にお祝いのメールを打ったら、夕方にパリから返事が来ました。

日本人の活躍とともに、このようなニュースが記事になることが、うれしいです。読者の関心がないのか、書く能力を持った記者が少ないのか、それを理解できる編集長がいないのか。このような記事は、めったにお目にかかれません。また、解説がないと、ほとんどの読者はわからないのではないでしょうか。
たぶん、それを書ける記者を、養成していないのだと思います。かつて書きましたが、日本の新聞やニュースの国内閉鎖性は、世界でも珍しいと思います。1億人の市場、日本(その国)だけで通じる日本語(言葉)、英語でなくてもできる大学教育。これを満たしている国は、日本くらいでしょう。フランス語やドイツ語、ロシア語は、1国だけではありません。エリートと財界人が、外国語(英語)なしで仕事ができる数少ない国なのです。
先に述べた1千億ドルの融資についても、総理記者会見の際に質問をした記者は、一人もいませんでした。また、大きな記事にならなかったので、ほとんどの日本人は知りません。そしてそれがどのような効果を持ったかも、記事になっていません。
日本が国際社会で貢献するには、輸出や援助も一つのバロメーターですが、このような国際経済対策やルールづくりも重要です。そして、それを理解して記事にできる記者を養成することも、必要ですね。次は、浅川議長の活躍を伝える記事を、期待しましょう。