8月6日の日経新聞「経済教室」は、長沢光太郎さんの「豊かな加齢支える産業、世界に先駆け育成を」でした。
日本の75歳以上人口は、現在1,400万人。20年後には2,300万人になります。ちなみに現在、東京都の人口が1,300万人、小中学生の数が約1,100万人です。経済から見ると、すごい規模のマーケットです。
そして、一般に思われていることと異なり、大半の人は自立しています。75~85歳で介護保険の要介護・要支援に認定されている人は約2割でしかありません。もちろん、身体の痛みなどを抱えておられますが、60歳以上の6割は、ほとんど毎日外出するなど行動的です。そしてよく知られているように、お金を持っています。65歳以上世帯の金融資産は平均で2,400万円、全世帯平均1,800万円よりかなり多いのです。
個人の側から見ると、この人たちが満足できるサービスが提供されること、経済社会の側から見ると、この人たちにお金を使ってもらえるサービスを提供することが重要になります。高齢化社会の問題を放置して暗い社会にするのか、対策を講じて明るいものとするのか。この分野は、企業・経済・行政にとって、大きなフロンティアなのです。
その際に、個人と社会に安心な制度を提供することは、行政の役割ですが、活力ある安心社会は、行政だけではつくることはできません。社会と経済がそれを提供し、欠けた部分を行政が補完するのでしょう。経済・企業の役割は大きいです。
日本が、世界で高齢化の先端を走っています。中国は、高齢化率は日本より低いですが、すでに65歳以上人口が1億人を超えています。そして、この問題についても、日本を追いかけてきます。先日、中国の州政府職員と話した時にも、この話題になりました。彼も、深刻な問題だと考えていました。
日本が、高齢者対策、高齢者も安心して暮らせる社会と経済づくりに成功するかどうか。世界が、注目しています。
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日本企業よりアメリカ企業の方が、長期経営
8月5日の日経新聞経済教室は、野間幹晴一橋大学准教授の「通説と異なる日本企業、アメリカ企業の方が、長期経営」でした。
それによると、「アメリカ企業は株主への配当が多いのに対し、日本企業の配当性向は低い」という通説は、調査結果で否定されています。日本の配当を支払っている企業の割合が8割を超えているのに対し、アメリカではこの20年で3割にまで下がっています。ただし、アメリカでは配当を払う一部の企業の配当額が大きいので、平均配当性向ではアメリカの方が高くなります。
これは、アメリカでは、株主に還元するよりも、事業への投資に利益を回しているからです。事業投資によって収益が上がれば、株価が上昇しキャピタルゲインが得られます。株主に対し、配当で還元するか、キャピタルゲインで応えるか。2つの方法があります。
また、「アメリカ企業は短期的な投資を行うのに対して、日本企業は長期的な視野に基づいて設備投資や研究開発投資を行っている」という通説も、調査結果から否定されています。どちらの投資も、日本企業の方が多く減らしているのです。
短絡的かもしれませんが、新しい投資先を見つけられない日本企業、新しい投資に消極的で利益を株への配当に回している日本企業という姿が見えてきます。もちろん、それを株主が支持しているということです。
中国人の日本認識の改善
8月3日の朝日新聞オピニオン欄で、小島寛之国際交流基金北京日本文化センター副所長によると、中国での日本旅行熱が高まり、また、青年知識層を中心に都市住民の日本への関心が、幅と厚みを増しているそうです。
新聞の世論調査では、15~20歳の若年層が、最も好きな国として日本を第1位に挙げたそうです。国民全体でも、最も好きな国で5位、最も行きたい国で3位です。中国大手旅行社の調査では、海外の人気旅行先で、日本は台湾と並んで3位です。しかも、1位の香港と2位のマカオは中国領ですから、日本が第1位ということです。
北京では、高級寿司店や日本料理屋、日本のファッションブランド店、日本人経営の美容院などが、中国人客でにぎわっています。今回のサッカーワールドカップ決勝トーナメント、日本対パラグアイ戦で、巨大スクリーンの前で、中国の人たちが日本を応援してくれたとのことです。急速に、対日感情が変化しています。
韓流ドラマが、日韓関係改善に果たした役割もありました。政府による努力も重要ですが、市民の間での相手国認識の好転の効果は大きいです。それには、人の行き来が増えることや、モノやサービスが売れることが重要です。
就職氷河期
今朝の新聞各紙が、大学卒業生の就職率を伝えていました。この春の大学卒業者数は、54万人。うち、就職した人は33万人で、61%です。進学も就職もしなかった人は8.7万人、16%です。大学院などの進学者は7.3万人、13%。アルバイトなど一時的な仕事に就いた人は1.9万人、4%です。
2010.08.06
今日は、地域経営コースの卒業式。男性はスーツを着てネクタイを締め、女性もそれにふさわしい服装です。学生代表謝辞の際に、代表者が、なかなか良い謝辞を述べました。式が終わって見送る際に、彼が「校長の講話を謝辞に盛り込みましたが、わかりましたか」と言ったので、「もちろん」と答えました。私の言いたかったことが、このように吸収反映されると、うれしいですね。