中野三敏「和本には身分がある」(「図書」2008年8月号)に、和本の中に上下があったことが書かれています。手書きの写本が上で、出版物の板本が下です。板本の中にはさらに身分があって、「物の本」「草紙」「地本」の区別があります。物の本は、仏典・漢籍・古典です。草紙は、娯楽的な通俗読み物です。地本はその中でも、京都に比べ文化的後進地である江戸で出版されたものだそうです。
ふーんと、納得しながら、ふだん使う「物の本に書いてある」という表現が、ここから来ていることを知りました。「ものの」という修飾語が何だろうと思っていたのです。広辞苑を引くと、「・・草紙に対して然るべきことの書いてある本。学問的な本・・」と書いてありました。
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政治と経済学者
8月6日付け日経新聞、経済教室60周年座談会から。
大竹文雄教授:日本の経済論壇の現状についていえば、まだまだ経済学に基づかない感情論が多いかも知れない。しかし、方向性としては少し前よりは良くなったと思う。やはり経済財政諮問会議の影響は大きかった。経済学者が閣僚になったり、日銀の政策委員会のメンバーに入ったりしている。そうしたところからの発言は経済学に基づいており、それを理解しないと物事が進まなくなってきている。
岩本康志教授:経済学者がトップレベルの意思決定に関与して官僚機構と戦うのは、緊急避難的な改革としてはありうると思うが、持続可能なシステムかどうか。政策担当者が経済学的な考え方をしっかり持ち、草の根で正しい意思決定がなされる形にすることこそ、本筋ではないか・・
政治とは過程
続上司の仕事:状況対応型と予測準備型・戦略実行型
昨日に続き、上司の仕事(戦略を立てること)を、書きます。
問題が起きたり指摘を受けてから、考えて対応するのが、「状況対応型」です。受け身の姿勢、待ちの姿勢です。追い込まれてから、あわてて動きます。しばしば、その場しのぎの対応になります。「状況対応型」などと、きれいな名前をつけましたが、簡単に言うと、「な~んも考えていない上司」「出たとこ勝負の組織」です。
これと反対なのが、「予測準備型」です。事前に、これからどのようなことが起きるか、どのように行動すると良いかを予測し、対応方針を決めておきます。達成するべき目標に向かって準備する場合は、「戦略実行型」になります。
予測準備型と戦略実行型において、上司の能力が問われます。どのような事態を予測するか、どのような目標を立てるかは、上司の責任です。これは、部下に任すことはできないのです。
さて、各課の目標による管理は、多くの場合、毎年の定例業務であり、すでに方針の決まった仕事です。これは、部下の行動を管理しておればすみます。ボトム・アップで、定期的に報告を求めればよいのです。
予測準備と戦略実行は、上司が考え、部下に指示を出す必要があります。これは、トップ・ダウンで行う必要があります。
なお、想定問答を用意することは、形式的には「予測準備型」に分類されます。しかし、必ずしもそうとは言えません。結論が「できません」というような想定問答は、意味をなしません。また、答えにくい問いを作っていない場合も、無意味です。さらに、360度にわたって、考え得る限りの想定をして答を作らせると、部下が過労死します。
予測準備型でも、的確な予測を立て、無駄な作業をさせずに目標を達成するのが、良い上司です。起こりそうにもないケースまで考え、部下に「完璧な」準備をさせるのが、悪い上司です。
打球が右寄りに来ることを予測して構え、なんなくさばくのが、良い野手。予測してなくて飛びつくのが、次によい野手。な~んにも考えずに構え、球が飛んできてから、あわてて球をそらすのが下手な野手。