年別アーカイブ:2005年

法律ができるまで10

2005年9月28日   岡本全勝
衆議院本会議で、会期の55日間延長が決まりました。8月13日、すなわち、お盆前までです。(6月17日)
22日に、参議院本会議で、行政手続法と公職選挙法が可決されました。これで、総務省提出法案はあと4本です。(6月23日)
今日、衆議院本会議で、郵政民営化法案が5票差で可決されました。議論は参議院に移ります。総務委員会の審議は、めどが立ちません。(7月5日)
参議院郵政特別委員会で、審議が続いています。26日から29日に、参考人質疑などの予定が決まりました。大臣の身体が空くので、26日に衆議院総務委員会の開催が決まりました。電波法改正のお経が、読まれる予定です。(7月23日)
今日、衆議院総務委員会の開催が決まりました。電波法改正のお経が、読まれました。質疑は28日の予定です。(7月26日)
28日に、衆議院総務委員会で、電波法改正が審議可決されました。29日に本会議で可決されました。(7月28日、30日)
3日に、参議院本会議で、電波法の趣旨説明と質疑がありました。衆議院本会議ではなかったのですが、参議院では与野党の合意により、行われました。(8月3日)
5日に参議院郵政特別委員会で、郵政民営化法案が可決されました。8日の本会議で採決されます。これを巡る政治状況については、マスコミが伝えているとおりです。霞ヶ関も、固唾をのんでみています。
総務省提出法案は、現時点では、参議院で審議中が1件、衆議院で審議に入っていないのが3件です。与党は、後者の3件については、継続審議とすることを決めました。(8月7日)
8日の参議院本会議で、郵政民営化法案が否決されました。総理は衆議院を解散し、この時点で「国会」はなくなりました。すなわち、審議中の法案は、継続手続きにはいることができず、廃案になりました。当省関係では、4本が廃案になりました。これらは、次期国会に改めて提出し、審議していただくことになると思います。
解散、選挙期日設定(総選挙は総務省選挙部の所管)閣議と、総務課長としては、緊張する一日でした。(8月8日)
(課長はつらいよ)
選挙が終わり、特別国会が近づいてきました。召集は21日とのことです。議員会館では、落選した議員の部屋が片付けられ、新しい議員を受け入れるための準備が進んでいます。関係者にとっては、大変なことです。民主主義や選挙とはこういうものかと、実感できます。
また、院の構成や法案審議の準備も、始まっています。閣僚や与党幹部の人事は、従前のままと報道されています。しかし、私がお世話になる衆議院総務委員会は、与野党とも理事や委員のかなりの方が落選され、新メンバーがどうなるか気になるところです。
特別国会は首相を指名するためのもので、通常だと1週間ぐらいとのことですが、今回は法案も審議するとのことです。そのかわり、臨時国会は開かれないとの予想があります。今国会は、40日程度と会期が短く、郵政民営化法案が優先されるので、私どもが準備している法案のうちどれが提案され、審議されるかも気になります。これらは、内閣と与党がお決めになることです。もっとも、今回は大臣らが留任との報道があるので、それならば大臣交代に関しては、私の出番は少なくなります。
うーん、先日まで通常国会が開かれていたと思ったら、もう次の国会ですね。そして暮れの予算編成があって、1月からは通常国会が始まり・・・。がんばろう、総務課職員のみんな(久しぶりの、HPを使っての職員向けよいしょです)。(9月14日)
第163回特別国会(2005年9月21日~)
21日に、第163回特別国会が召集されました。特別国会は、衆議院選挙後、総理を指名するために開かれるもので、通常は1週間程度です。今回は、郵政民営化法案などを審議するために42日間とされました。会期は本会議で決定されます。今回は、野党が反対したため、議院運営委員会で採決し、本会議でも採決されました。衆参両院でそれぞれです。例年だと秋には臨時国会が開かれるので、今回の国会は臨時会的特別会といえるでしょう。
21日には、常時閉じている本館の正面玄関が開けられ、議員が登院し、当選証書を確認の上、議員バッジを付けてもらっておられました。ニュースでご覧になったと思います。その後、議長と副議長の選出、総理の指名が行われました。総理は、官邸で直ちに組閣、といっても今回は全閣僚留任です。官邸での新閣僚会見も省略されました。宮中での親任式があり、初閣議、そこで新副大臣・大臣政務官が決まりました。これも欠員の補充でした。
22日には、各常任委員長が決まり、理事候補(理事は委員会で決めるので)も出ました。委員長や理事、委員の数は、基本的にはドント方式で各党に割り振られるとのことです。各会派代表者会議(議院運営委員会ができるまでそれに変わるもの)で決められているようです。与党の役員も欠員補充ですので、大きな異動はありませんでした。総務課長の仕事は、官房長と一緒に、新しい役職の方にご挨拶です。また、与党とは提出予定法案の説明が始まっています。(9月23日)
今日は、天皇陛下をお迎えして開会式が行われました。また、衆議院本会議・参議院本会議で、総理が所信表明演説をされました。(9月26日)
今日は衆議院本会議で、総理の所信に対する質疑がありました。明日は、参議院です。(9月28日)

日々の暮らし

2005年9月27日   岡本全勝

「暑さ寒さも彼岸まで」とは、よく言ったものです。先日まであれほど暑かったのに、台風が去って、東京は急に涼しくなりました。今朝は半袖では寒くなったので、長袖にしました。すると、ネクタイがないと様にならず、上着も必要となります。クールビズは自然と終了ですね。ただし私はスーツには戻らず、ズボンとそろいでないジャケットにしていますが。今年の霞ヶ関は、クールビズがすっかり定着しました。もっとも、定着したと言うためには、2~3年は必要でしょう。次は、秋から春までの間に、全員が紺のスーツを着るという「制服」でなく、もうちょっとおしゃれな服装がはやることですね。しかし、これは少々お金がかかるので、時間もかかるでしょう。
夏に、クールビズ商品が売れているというニュースで、店員さんが言ってました。「まずはお子さんの商品が売れます。次が奥様の商品、その次がペットの商品の順です。ご主人のものまで売れるのは、景気が上向いたからでしょうか」と。私は、これを聞いた瞬間に笑ってしまいましたが、その次には落ち込んでしまいました。「僕らはペットの次か」

政と官

2005年9月27日   岡本全勝
大臣や副大臣・大臣政務官が任命されると、官房長官から「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」(平成13年1月6日、閣議決定)「政・官の在り方」(平成14年7月16日、閣僚懇談会申合せ)などが渡されます。もっとも、「政・官の在り方」の方は、次のようなことが書かれていて、公務員の規範でもあります。
「「政」は、行政が公正かつ中立的に行われるよう国民を代表する立法権者として監視責任を果たし、また、国務大臣、副大臣、大臣政務官として行政を担う。「官」は、国民全体の奉仕者として中立性、専門性を踏まえて法令に基づき、主に政策の実施、個別の行政執行にあたる。
政策の決定は、「政」が責任をもって行い、「官」は、職務遂行上把握した国民のニーズを踏まえ、「政」に対し、政策の基礎データや情報の提供、複数の選択肢の提示等、政策の立案・決定を補佐する。」
政と官のあり方を定めた法令はないと思いますし、教科書にも載っていないので、たぶんこれが唯一の指針なのでしょう。その割には、存在自体があまり知られていません。ほとんどの公務員や新聞記者も、知らないのではないでしょうか。「大臣等規範」については、「省庁改革の現場から」に書いておきました。「政・官の在り方」は、その執筆後に出たものなので書いてません。

論文紹介

2005年9月24日   岡本全勝

「日本政治研究」第2巻第2号(2005年7月、木鐸社)に、木寺元君の「地方制度改革と専門家の参加」が載りました。近年の大きな地方制度改革(市町村合併と地方財政改革)がなぜ進んだか、その際に専門家の参加が重要だったことを分析した論文です。
政治家や自治官僚にとって利益にならない改革が進んだ要素として、「アイデアの力」と、それが専門家を通じて実現したということです。専門家の参加として、地方分権推進委員会と経済財政諮問会議を挙げています(地方分権推進改革会議は別)。
一時進まなかった市町村合併が、近年動き出した要因(アイデア)として、次のようなことを指摘しています。すなわち、シャウプ勧告の「市町村優先の原則」が、その後、国・県・市町村の「機能分担論」に置き替えられ、市町村が決められた事務の実施に「閉じこめられたこと」。それが、「補完性の原理」によって、市町村優先主義・市町村を総合行政主体とする方向に転換したこと。この分析は興味深いです。
地方財政改革(主に地方交付税改革)については、経済財政諮問会議の民間委員の役割が指摘されています。これら専門家の参加は、従来の審議会への参加を越えた働きをしているというのが、論文の主旨です。またそれは、これらの政策が不人気な政策であって、政治家はできるだけ決定を行わない「避難回避の政治」だからという指摘もあります。なるほどと思う指摘です。地方制度改革だけでなく、そのほかの政策についてもこの観点から、なぜ進まないか・進んでいるかを分析してほしいです。
「日本には地方自治に関心を持つ関係者が多数いて、その関係は政策共同体と呼ぶにふさわしい。この問題に関する数多くの月刊誌や書物がこの共同体の存在を物語っている」ことも紹介しています。そうなんです。行革や公務員改革などを議論するときに、このような政策共同体や媒体がないんです。
私の論文も、多く引用していただきました。木寺君は、私が東大大学院に教えに行っていた時の、塾頭の一人です。お礼を含めて、紹介しておきます(2005年9月11日)

13日の読売新聞は、見開きで日本地図を載せ、各県別の郵便局密度と今回の投票結果を分析していました。面積当たり郵便局の多い都市部の県では、自民党が得票を伸ばし民主党は減らしました。一方密度の低い地方部では、自民党も民主党も得票率を減らしています。
面積密度で比べるのが良いのか、人口当たり密度で比べるのが良いのか。また、無所属の候補者(郵政反対派)をどう数えるのか、といった問題はありますが、良い企画だと思います。引き続き、今回の選挙結果の分析を期待しましょう。単に、有識者の座談会で終わらせずに。(9月14日)

日本経済団体連合会は、9月20日に「平成18年度税制改正に関する提言」を発表しました。今回も、第一に税財政の抜本改革を主張する中で、2007年度を目途に消費税を10%に引き上げ、その後も段階的に引き上げることを提言しています。何度か書きましたが、日本で最大の納税者集団(?)が増税を訴え、政府はまだだと言う、不思議な構図です。

三位一体改革58

2005年9月22日   岡本全勝
9月2日の読売新聞「点検公約」第5回目は、地方分権でした。「問題は2つある。一つは、バランスが取れた『三位一体』の改革を実現できるかという点だ。・・もう一つの問題は、07年度以降も改革を継続できるのかということだ」(9月3日)
読売新聞社説は「三位一体改革、国地方の役割を問い直せ」を、毎日新聞「知っておきたい政策論争Q&A」では堀井恵里子記者が「三位一体改革」を解説していました。いずれの解説も、「各党は地方分権の意義を説くが、具体的な道筋は示していない」というものです。(9月7日)
8日の東京新聞は、「義務教育費国庫負担金8500億円どちらに、議論不足の二重計上」を大きく取り上げていました。朝日新聞社説は「公務員削減、分権なしには進まない」、読売新聞社説は「指定管理者制度、地域の活性化に生かせるか」を取り上げていました。(9月8日)
9日の読売新聞は、「改革を問う、05衆院選」「データで読む争点10」で、安江邦彦記者が税源移譲を図表入りで解説していました。また、「決戦、05衆院選」で、青山彰久記者が「進まぬ地方分権改革、国との分担乏しい論戦」を書いておられました。
「地方は長い間、『地域づくりとは、国の事業と補助金を導入すること』と考えて事業を乱発した結果、財政規律を失った。膨大な借金と利用率の低い施設が残り、次の世代に負担させる構造を招いた。この体質に終止符を打ち、人口減少時代でも人々が支え合って持続できる地域にするには、まず、無駄を洗い直し、地方に自立の志が必要になる。そして、責任をもって限られた税金を住民から集め、地域の現実に合わせて効率的に使えるよう、行政と財政を分権することが不可欠になる」
「分権改革は、国と地方の責任を決め、国の『統治構造』を転換する意味があり、衆院議員の重要な仕事だ。政党と候補者は分権改革の考え方を最後まで語ってほしい」
「論点」では、谷沢叙彦英国大使館一等書記官が「学校教育改革、英に学ぶ現場重視の発想」を書いていました。「英国では、来年度から始まる教育予算制度によって、自治体は学校に3年間、生徒数を基本に国が計算した通りの金額を交付しなければならない。国が自治体から教育査定権を剥奪するようなものである。・・・だが、大半の関係者が、この改革を中央集権化ではなく更なる分権化と捉えている」
「英国の校長は、企業経営者のような存在だ。中等学校の場合、予算は年間総額350万ポンド(約7億円)程度だが、現場の校長は、どの給与水準の教員や補助スタッフを何人雇うかを含めて、学校に交付される予算の使途を自由に決定できる。そもそも『教員給与費』という区分をして国が関与するような発想自体がない。つまり、学校現場に自由があることが、今回の改革の大前提になっている訳だ・・・」
興味深い比較です。ご一読ください。(9月9日)
総選挙を受けて地方6団体が、以下のような要旨の「地方分権改革の推進を求める共同声明」を出しました。
「今回の衆議院議員総選挙において、自由民主党、公明党の連立与党が圧勝した。このことは、小泉内閣が推進してきた『官から民へ』、『国から地方へ』の構造改革に対する国民の強い支持が表明されたものと考える。地方分権改革は『国から地方へ』の改革の最大の柱であり、待ったなしの改革である。
とりわけ『三位一体改革』については、自由民主党と公明党の連立与党重点政策で『残り6千億円の税源移譲を18年度までに確実に実現するとともに、19年度以降も地方の意見を尊重しつつ一般財源を確保のうえ、地方分権を推進する』とし、全力で取り組むとの決意が示されている。
今後、新たな政権においては、小泉内閣総理大臣の強いリーダーシップの下、我々地方6団体が政府の要請に真摯に応え二度にわたり提出した地方の改革案に基づき、3兆円の税源移譲、義務教育費国庫負担金を含め国庫補助負担金の地方案に沿った改革などを実現されることを強く求めるものである。」
至極もっともなことです。昨日の開票速報中、総理は郵政民営化以降の政治課題を問われ、三位一体改革を挙げておられました。(9月12日)
総選挙の結果をふまえ、各紙が今後の政治課題などを議論しています。例えば13日の日本経済新聞は、総理の12日の記者会見を次のように紹介していました。
「『郵政民営化が実現したら後の政策はないんじゃないか?とんでもない』首相は記者会見で強調した。年金、医療などの社会保障制度改革、国と地方の税財政改革(三位一体改革)、公務員制度改革、財政再建などを列挙し『今後も改革を進めていく』と宣言した」
そして、義務教育費の地方移管、医療費の伸び抑制、公務員給与・定員見直しの3つを別枠で解説していました。
この秋の、郵政民営化の次の課題は三位一体改革であることは、共通認識になっているようです。総理の改革にかける意気込み、そしてそれを期待して投票した国民の意思が実現することを期待しましょう。もっとも、この課題は抵抗が大きく、期待するだけでは進まないので、声高に叫び行動する必要があります。(9月13日)
21日に第3次小泉内閣が発足し、総理が記者会見されました。その中でポスト郵政の政策課題で、第一に三位一体改革と公務員人件費改革を取り上げ、「抵抗、反対が強いが、方針通り進める」と強調されました(22日付け日経新聞、朝日新聞など)。心強い限りです。それでも、各省は補助金廃止に抵抗するのでしょうか。(9月22日)