年別アーカイブ:2005年

三位一体改革52

2005年7月13日   岡本全勝
5日の毎日新聞は、麻生福岡県知事・淺野宮城県知事・増田岩手県知事・石井岡山県知事の会談を載せていました。三位一体改革の行方について、骨太の方針2005や義務教育費国庫負担金などを議論しておられます。
「明治以来の強固な制度、ヒエラルヒーを変えるわけだから、相当なエネルギー、破壊力が必要です。いろいろなあつれきが短期間にはあるでしょうが、それを経験しないと次の価値創造ができない」
「分権は極めて高度な政治問題です。この国のかたちをどう変えるのか、日本の将来をどうするのか。前回衆院選挙でも、各党がプログラムを出した。きちんと実行しようとしているのか、そういうことを検証し、迫っていかないと」
「我々は誘惑され、捨てられたようなものです。ただ、昨年、小泉首相が『3兆円の税源移譲をやれ』と言ったのは、すごい決断だった。これをものにしないと、次の機会はいつになるか。つい最近まで『補助金増やせ』ばかりやっていたのが一変したのはすごいこと。当然のように起きた変化ではなく、どこかでガラッと変わったんです」
「それはやはり小泉首相の登場が大きい。ただ、これだけ期待値、期待感が高まって、もし裏切られたら、ものすごい怒りに変わりますよ」(7月5日)
6日の朝日新聞「私の視点」には、木村良樹和歌山県知事が「地方の裁量広がる税源移譲を」を書いておられました。和歌山県では、高校の奨学金が税源移譲されたことを受けて、貸与の条件を見直したこと。また、補助金申請のための上京旅費が500万円節減できたこと。などの実績を紹介した上で、奨励補助金廃止によって地方の実情にあった事業ができること、それで住民の満足度が高くなることなどを主張しておられます。
5日に政令指定都市市長会が、残る6,000億円の補助金廃止案をまとめ、総務大臣に提出しました(5日日経新聞夕刊など)。
また、6日の朝日新聞や読売新聞は、地方6団体が、残る6,000億円の補助金廃止案として、約1兆円の削減リスト原案をまとめたと、伝えています。(7月6日)
麻生大臣が、新しい「あっ、そうだろう」を書かれました。「地方分権も教育も」です。
「・・・『地方分権は大事だ。しかし、教育の方がもっと大事だ』昨年、国と地方の協議の中で、そのようなご発言が席上ありました。私は、これを聞いて、『ああ、地方分権もここまで来たか』と、正直感慨深いものがありました。それまで、地方分権が良いものとされたのは、日本の社会経済各分野と深刻にぶつかることがない、お題目に過ぎなかったからです。財源と権限がセットになって地方のものとなり、地域主権が初めて現実のものとなるかもしれない、そのときに我が国の社会経済がどのように変貌するのか、誰もが確信を持てないのでしょう。
地方分権も大事、教育も大事です。そして、この2つは、概念上も、実際上も、対立するものではないはずです。これからの地域主権の世の中で、どのように義務教育を責任をもって実施していくか、という視点から、前向きに将来のシステムを検討していくべきだと考えます。・・・」(7月11日)
9日の毎日新聞は連載「知事たちの闘い-地方分権は進んだか」第17回を載せていました。「国との協議の場-距離というハンディ」です。(7月11日)
13日から徳島市で、全国知事会議が始まりました。13日の産経新聞社説(主張)は、「全国知事会、数合わせの改革にするな」を書いていました。日本経済新聞は「どうする義務教育・インタビュー」(下)で、中山文科大臣と石井岡山県知事へのインタビューを載せていました。
また、日経は1面で「どうする義務教育」を連載していました。国庫負担金廃止議論が、マスコミに教育について関心を持たせることになり、国民に教育を考える機会を創ったというところでしょうか。どんどん、教育の中身や質について、議論をしてほしいです。そして、ようやく文科省も議論に入った、と思いたいです。記事では、少人数学級すら認なかった事例が生々しく書かれています。
国庫負担行政・上意下達行政の悪弊を、早くやめたいですね。もっとも、文科省だけでなく、この状態に安住している教育委員会と教員の意識改革も必要です。(7月13日)

責任ある政治

2005年7月13日   岡本全勝

ドイツでは、9月にも総選挙が予想されています。それに向けて、キリスト教民主・社会同盟が、政策綱領(マニフェスト)を発表しました(13日づけ読売新聞ほか)。この党は、保守系最大野党です。記事によると、「所得税や雇用者負担を軽減するため、付加価値税(消費税)を来年1月から2ポイント引き上げて、18%にすると明言」しているそうです。「消費税増税という不人気策をあえて掲げることで・・」との解説もあります。
日本では、いつになったら、時期と税率を明確にして、増税を訴える政党や政治家が出てくるでしょうか。「この半世紀の間、わが国では、国民に本格的な税の追加負担をお願いしたことがありません」(拙著「新地方自治入門」p299)という国です、日本は。増税しなくてすんだ幸せが、えらい負の遺産になっています。
私は、講演会の度に、増税の必要性を訴えています。もちろんその前に、歳出カットも。私の話を聞いた人たちは、それなりに理解をしてくださいます。でも、会場の質疑や別室での質疑では、「冗談じゃない。増税は悪だ」と言う人が多いです。
私も、増税はしたくありません。でも、歳出カットでは、赤字国債はなくならないのです。政治家も財務省も面と向かって増税を言わないときに、一人それを主張するのは「バカなこと」なのでしょうか。5年後、10年後の評価を待ちましょう。

講演録やインタビュー

2005年7月6日   岡本全勝

(2)地方行財政
地方財政改革の方向と交付税の未来」2004年3月(宮崎県市町村課)宮崎で行った講演の講演録
これからの日本、これからの南砺」2004年6月(砺波地域町村合併協議会)井波町で行った講演の講演録
中沖県政24年の軌跡8:岡本全勝氏に聞く」富山新聞2004年11月6日
講演録「町村財政の将来」(奈良県北葛城郡町議会議員研修会2004年8月10日)『未来への旅立ち』(奈良県町村議長会、2005年3月)に収録

日本経済学会でのパネルディスカッション都市対地方-財政、公共事業、一極集中の是非をめぐって」『現代経済学の潮流2005』(東洋経済新報社、2005年)に収録。
日本経済学会2004年度秋季大会(岡山大学)の成果を載せた「現代経済学の潮流2005」(東洋経済新報社、2005年)が出版されました。第7章は、私も参加したパネルディスカッション「都市対地方-財政、公共事業、一極集中の是非をめぐって」の記録です。ふふふ、いろんなところで「副業」をしてますね。なお、私の意見の概要は、「財政論1」に載せてあります。

三位一体改革51

2005年7月4日   岡本全勝
25日の日経新聞は、「所得課税改革を読む」下「負担、国税から住民税へ-地方行政に厳しい目」を載せていました。住民税額が所得税額を上回る納税者が、全体の2割の1千万人から、4千万人に急増すること。そして、住民の自治体に対する目が厳しくなることを指摘していました。このことは、拙稿「続・進む三位一体改革」p151に解説しておきました。
また、ほとんどの人が住民税増税になる、と書いてありました。住民税の税率が5%から10%になる所得階層は、増税になることがわかりますよね。そして、税率10%が適用されていて変わらない人も、低い所得の部分は税率が5%から10%になるので、住民税は増税になります。もっとも、その分は所得税が減税になります。(6月25日)
24日の朝日新聞には、内田晃記者が「義務教育費の国庫負担金廃止-学校現場の自由度増すか」を書いていました。廃止派は「学級編成柔軟に」と主張し、存続派は「現制度でも可能」と主張し、対立が続いていることです。
私は、この主張の対立なら、結論は出ていると思います。廃止派の勝ちです。国庫負担金を廃止して何も不都合がなければ、廃止すればいいのです。それによって、地方団体の負担金申請事務の負担も減り、文部科学省の負担金配分事務も廃止できます。
今回の義務教育の場合、国庫負担金廃止のメリットをめぐる議論の設定が間違っています。文科省が法令で縛っている限り、地方の現場での自由度は増しません。公共事業とかとは、違うのです。メリットは、補助金事務にかかる事務の廃止と経費の削減です。そして、それが意識の面で地方の自立を促すのです。
文科省と中教審は、意図的に議論を「一般財源化しても、教育の内容は変わらない。だから、負担金のままで良い」に持ち込んでいるのでしょう。その議論に乗っては、いけないのです。主張すべきは、「一般財源化しても、教育の内容は変わらない。だから、一般財源化する」なのです。(6月24日)
27日の毎日新聞は、連載「知事たちの闘い-地方分権は進んだか」第16回「決を採る、ついにその時が来て」を載せていました。
また、野倉恵記者が「新教育の森」で「中教審を見る」「義務教育費めぐり議論激化」を解説していました。これについての私の解説は、何度も書いたとおりです。
記事の中で、次のような意見が紹介されていました。「『義務教育のあり方を問う中教審の最大の論点が、教員給与の出どころやそのつけ替えの問題に終始していいのか』。教室との乖離を指摘する声は少なくない。」その通りです。(6月27日)
28日の読売新聞「論陣論客」は、「三位一体改革の行方」として、麻生渡知事会長と持田信樹東大教授のインタビューを載せていました。
麻生知事会長「我々は小泉内閣を信用したのだ。3兆円の税源移譲をするというから、「必要な補助金廃止リストを」という政府の提案に応じ、廃止案を昨年夏に出した。それができないということになったら、総理と内閣に対する不信は決定的になる。政府・与党との信頼関係も崩壊する。3兆円の税源移譲は絶対に譲れない」
持田教授「先送りされている部分があるのは事実だが、日本の財政の歴史からみると、税源移譲を最初に決めて改革するのは画期的だ。昨年、与党が合意したことは重い」
「(現内閣に)最も欠けているのは、従来の日本の『行政的集権システム』をどの方向へ進めるかを示していない点にある。青写真を示せば、国も犠牲を払うが地方も払ってほしいと説明できる。政治が責任を果たしていない」(6月28日)
30日の朝日新聞「私の視点」には、麻生渡知事会長の「教育費の財源移譲、地域の独自性が人材を生む」が載っていました。
東京新聞「記者の目」には、高橋治子記者の「分権へ地方の気概を」が載っていました。「住民の関心が高い教育費を自治体に移すことで、住民は教職員の数を減らされないように、今まで以上に首長や教育委員会の動向に目を向けることになる。道路や橋を造るよりも、身近な学校の予算を増やすためならば、税収を上げようという住民意識も生まれやすい。税源移譲によるメリットでなく、自治体が教育費を減らすかもしれないリスクこそが、結果的に分権の起爆剤になり得るということを、地方側はもっと主張すべきだ」。
鋭い指摘ですね。もっとも、中教審の委員さんたちは、この主張が理解できるでしょうか。(6月30日)
4日の日経新聞は、三位一体改革についての知事緊急アンケート結果を載せていました。
骨太の方針2005に盛り込まれた三位一体改革についての評価は、「満足できる」がゼロ、「おおむねよいが不満も残る」が35人、「まったく不満」が8人です。不満の理由の第一は、第2期改革への言及がなかったことです。
義務教育国庫負担金廃止については、33人が賛成ですが、負担金堅持が5人おられます。この2年間の三位一体改革で地方の自由度は高まったかについては、「まあまあ高まった」が4人、「高まったと思わない」が38人でした。
さて、この後、三位一体改革の残る課題を実現することや、第2期三位一体改革への道筋を付けることも、知事会を始め6団体の力量にかかっています。(7月4日)

続・クールビズ

2005年7月4日   岡本全勝

3日の読売新聞が、「基礎からわかるクールビズ」を特集していました。
「岸田一郎さんは『クールビズが始まる以前から、『ノーネクタイでもきちんとした格好はできる』という意識が男性たちの間に広がっていた。国のお墨付きを得たので、今後、定着していくのではないか』と話す」
「『何をしてもいい』という自由を与えられると、戸惑ってしまうのが日本人の特徴とされてきたが、『最近の日本人は変わってきた』と岸田さん。『今は多様化、個性化の時代。半数は戸惑っていても、半数は歓迎しているのでは』と分析する」。
コシノヒロコさんの談。「日本のビジネスや政治の世界では、おしゃれを考えることは『男らしくない』と、妻任せにする人も多い。しかし、自分の魅力も知らずして、国や社会のことを考えられるのかしら」
「男たちがネクタイを取った点は進歩ですが、『ただネクタイや上着を取ればいい』という横並びの発想やTPOを考えない着こなしに見えるのが残念です」。