カテゴリー別アーカイブ: 再チャレンジ

行政-再チャレンジ

家庭の収入による子の体力格差

11月18日の朝日新聞スポーツ欄「子の体力格差、家庭の収入が一因に」から。
・・・収入が少ない家庭の子どもほど体力がない――。そんな「スポーツ格差」があることが、筑波大の清水紀宏教授(スポーツ科学)の研究チームによる実証研究でわかった・・・

清水教授の発言
「収入が高い家庭の子の方が、低収入家庭より、体力テストの総合点が高い。地域クラブや民間のスクールといった学校外スポーツプログラムへの加入率も同傾向でした。特にシャトルランと50メートル走で差が顕著です。運動習慣や頑張ったら褒められる環境で育っているか、が関係するのかもしれません」
「スポーツの習い事化が進む中、家庭の経済的な条件による格差が確認されたことで政策的な提言もできると思います。特に、格差が幼児段階から現れていることに注目すべきです。親頼みになる就学前のスポーツ習慣にも焦点を当てる必要性がわかったからです。格差は学年の進行とともに広がっており、幼少期のスポーツ投資の成果が蓄積されると推察されます」
「体力が高い子は、『何でも話せる友だちや仲のよい友だちがいる』と回答する率が高いのに対し、体力が低い子は孤独を感じている傾向がみられます。休み時間を、体力が低い子は、教室で一人で過ごす傾向がある。学校生活が心身発達のベースになることを考えると深刻です」

コロナ禍による生活危機の安全網

11月16日の朝日新聞オピニオン欄、清川卓史・編集委員の「コロナ、広がる生活危機 期限切れ迫る支援策、次の一手を」から。

・・・新型コロナウイルスで緊急事態宣言が出た4月から、雇用・生活相談や炊き出しの現場に足を運び、取材を続けてきた。感じるのは、想像以上に広範な層が生活危機に直面しているということだ。
リーマン危機(2008年~)による貧困拡大局面では、工場で働く派遣社員など非正規雇用の男性(現役世代)を中心に、まず問題が顕在化した。「派遣切り」で職と住まいを失った人を支える「年越し派遣村」の取り組みは、広がる貧困を可視化して強い印象を残した。
今回のコロナ禍では、飲食業などの自営業者や正社員、フリーランスの芸術家やインストラクターなど、多様な職種の人々が生活の困窮状態に陥った。女性の雇用が大きなダメージを受けていることも特徴として指摘される。奨学金とアルバイトで生計を立てる大学生から、年金不足で仕事を続ける高齢者まで、年齢層も幅広い。日本で暮らす外国人の深刻な危機も表面化している・・・

・・・ 貧困危機への公的支援をみると、リーマン危機後の数年間は生活保護の利用者が急増した。11年度には、現行制度下で最多だった1951年度を上回る約207万人に。2015年3月(約217万人)にピークに達し、その後は減少傾向が続いていた。
今年4月の生活保護申請は前年同月比24・8%増とはね上がったが、5~8月の申請は前年水準を下回っている。要因として指摘されるのは、生活保護の手前の安全網を国が大幅に拡充し、それを多くの人々が利用していることだ。
柱は、家賃補助にあたる「住居確保給付金」(原則3カ月、最長9カ月)と、社会福祉協議会が窓口になる無利子・保証人不要の特例貸し付けだ・・・
・・・こうした安全網の大胆な拡充が今まで一定の歯止めになってきたことは間違いない。だがコロナ禍の影響で解雇や雇い止め(見込みを含む)にあった人は厚生労働省の集計で7万人を超え、厳しい雇用情勢は続いている・・・一時的な給付金や貸し付けの延長に加えて、追い詰められた人を生活保護につなぐ態勢づくりが求められる・・・

記事についている図「コロナ禍による生活危機の安全網」が、わかりやすいです。

命の相談電話

11月11日の朝日新聞生活面「命のSNS相談、急増する一方で… 「非正規切りされた」「寂しい」目立つ若者」から。
・・・近年は減少傾向にあった自殺者数が7月以降、増加している。目立つのが若者だ。国はSNSを使った相談窓口の整備に力を入れているが、急速な相談の増加に、応じる側の手が足りない現実もある。

今年の自殺者数は、7月から4カ月連続で前年同月を上回り、10月は前年同月比4割増の2153人にのぼった(速報値)。9月の年代別では20歳未満が1・2倍、20代が1・6倍と若い世代が増えていた。
国は若者の自殺対策として2018年3月から、SNSによる相談事業への補助を始めた・・・国が相談事業に補助している4団体の一つ、NPO法人「東京メンタルヘルス・スクエア」(東京都豊島区)。18年3月からSNSの相談窓口「こころのほっとチャット」を運営している。

・・・月平均1千件程度だった相談は、新型コロナの感染が拡大した4月以降に急増。7月以降は月2千件を超えている。
「親といるのが嫌なのに、家に居ざるをえない」「非正規切りにあい、生活に困っている」「寂しい」。内容はさまざまだが、新型コロナによる外出自粛や経済悪化などで、それまでも抱えていた問題が表面化したケースが多いという。カウンセリングセンター長の新行内勝善さん(51)は「影響が長期化し、先が見えないと感じている人が多い」と話す・・・

再チャレンジのできない日本

10月20日の朝日新聞オピニオン欄、公益社団法人「日本駆け込み寺」代表・玄秀盛さんへのインタビュー「新型コロナ 歌舞伎町で見えたもの」から。

――苦しい人たちが、もっと「助けて」と声を上げることはできないのでしょうか。
「うかつに『助けて』って言ったら、周りから、もうこいつ終わりやなって思われるから、言わない。それは、歌舞伎町とか夜の街だけのことではない。まして会社員ほど『助けて』って言わない。弱みを見せたら、悪い評価がつけられるんちゃうか、と思うからや。だから、『助けて』どころじゃない。今の日本は、いったん脱線したら終わりで、再チャレンジはでけへん」

 ――なぜ、そうなのでしょう。
「だって、いまだに成功した人から学びましょう、偉くなった人から学びましょうって言われるやろ。失敗した人から学ぶという考えがないねん。どんな過去があってもやり直しがきく、再チャレンジできるシステムがない限り、どんどん無傷で痛みがわからんやつが上がっていくから、みんなで痛みを分かち合おうとはしない」

 

いのちの電話、運営困難

10月13日の読売新聞夕刊が「いのちの電話 運営ピンチ」を伝えていました。
・・・新型コロナウイルスの影響で、自殺を防ぐため電話相談に応じる各地の「いのちの電話」で、相談員不足が深刻化している。コロナ禍で生活苦や家庭内暴力(DV)などの相談が増加傾向にあるが、電話がつながりにくい状態が続いており、各団体が頭を悩ませている・・・

・・・一方、年中無休・24時間の相談体制は、外出を控える高齢の相談員もいるため縮小している。団体は仮眠室での感染を防ぐため4~8月、深夜・早朝の相談を休止した。
・・・背景には、コロナ禍による影響に加えて、慢性的な人手不足がある。
全国の相談員は2001年の7933人をピークに減少傾向にあり、現在は約5900人にとどまる。相談件数は東日本大震災などの影響で12年に約75万8000件に達したが、昨年は約62万件だった。佐合信子・事務局長は「相談が減っているわけではなく、相談員の減少で対応し切れていないのが実情」と明かす・・・

いのちの電話の解説もついています。「ロンドンで始まった自殺予防のための電話相談を参考に、1971年にドイツ人宣教師が東京で始めた。センターは43都道府県に50か所あり、各地の社会福祉法人やNPOが運営している。相談件数は年間60万件以上。運営費は寄付や行政・民間の助成金などで賄われている」とのことです。
大震災の際にも、いのちの電話には協力をいただきました。「よりそいホットライン