長時間労働是正の条件

3月19日の日経新聞経済教室「長時間労働是正の条件」、黒田祥子・早稲田大学教授の「在宅勤務、生活との境界課題」から。

・・・図はフルタイム男性雇用者の長時間労働者の割合を示したものだ。左側の超長時間労働者(週60時間以上)の割合は急速に低下してきている・・・だが右側の週49~59時間働く労働者の割合はあまり変化していない。週49時間以上全体で考えれば、依然どの企業規模でも男性の3人に1人は週に少なくとも10時間以上の残業をしている。労働時間が上限規制のシーリング(天井)に張り付いているとも解釈でき、長時間労働是正はいまだ道半ばといわざるを得ない・・・

・・・筆者が山本勲・慶大教授と経済産業研究所のプロジェクトで実施した調査によれば、震災が起きた11年夏の節電対策として約6割の企業が残業抑制や業務効率化を進めたと回答し、翌年以降も取り組みを継続する予定と答えていた。当時も人々の働き方を変えるきっかけになることが期待されたが、労働時間減少は一時的で、12年には震災以前の状態に戻った。未曽有の大災害でさえも日本の働き方を変えるのは難しかった・・・
この項続く