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三位一体改革の経緯(簡略版)

2006年1月2日   岡本全勝
詳しい経緯は地方財政改革の経緯
年 月
決定・実施事項
14年6月




15年度予算


「骨太の方針2002」閣議決定。
国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を三位一体で検
討し、それらの望ましい姿とそこに至る具体的な改革行程を含む改革案を、今後
1年以内を目途にとりまとめる。
三位一体改革の芽だし
・国庫補助負担金5,625億円の削減
・義務教育費(共済長期給付、公務災害補償)2,334億円の一般財源化(1/2
を特例交付金、1/2を交付税)
15年6月



16年度予算









「骨太の方針2003」閣議決定
「改革と展望」の期間(18年度まで)に、国庫補助負担金については、おおむね
4兆円を目途に廃し、縮減等の改革を行う。

1兆円の補助金改革
・税源移譲に結びつく改革 4,749億円
(公立保育所運営費 2,440億円、義務教育退職手当等 2,309億円)
・スリム化、交付金化    5,527億円

税源移譲等
・所得譲与税       4,249億円
(公立保育所運営費 2,198億円、義務教共済長期等15年度改革分 2,05
1億円)
・税源移譲予定交付金 2,309億円
(義務教育退職手当・児童手当)
16年6月






8月



9~11月


11月







17年度予算

「骨太の方針2004」閣議決定
平成17年度および18年度に行う3兆円程度の国庫補助負担金改革の工程
表、税源移譲の内容および交付税改革の方向を一体的に盛り込む。
そのため、税源移譲は大旨3兆円規模を目指す。その前提として地方公共団体
に対して、国庫補助負担金の具体案を取りまとめるように要請し、これを踏まえ
て検討する。

地方の改革案を政府に提出
・税源移譲 21年度までに8兆円程度、18年度までに3.2兆円
・国庫補助負担金の見直し 21年度までに9兆円程度、18年度までに3兆円

国と地方、政府部内、政府与党の調整
国と地方の協議の場 7回、四大臣会合 17回、政府与党協議会 4回

政府与党合意「三位一体の改革の全体像」
概ね3兆円規模の税源移譲を目指す。
その8割方(24,160億円)について次のとおりとする。
・義務教育費(暫定)      8,500億円
 (17年度分  4,250億円)
・国民健康保険、公営住宅等 9,100億円
・16年度分            6,560億円

補助金改革 1.8兆円
一般財源化 1.1兆円
(所得譲与税化7千億円、税源移譲予定特例交付金化4千億円)
17年4月

6月


7月

10~11月

11月

18年度予算

総務大臣から地方6団体に対し、残る6,000億円の改革案検討を依頼

「骨太の方針2005」閣議決定
残された課題については、平成17年度秋までに結論を得る。

地方6団体改革案(2)を政府に提出
・18年度移譲対象補助金(9,973億円)を選定
・19年度以降「第2期改革」
・「国と地方の協議の場」の制度化

国と地方、政府部内、政府与党の調整
国と地方の協議の場 4回、四大臣会合 12回、政府与党協議会 2回

政府与党合意
追加補助金改革(税源移譲対象) 6,540億円(昨年度までの決定分3.8兆
円に加え、4兆円を上回る国庫補助負担金改革を達成)
・義務教育 小中学校を通じて負担割合を3分の1とする(8,500億円)。
・児童扶養手当(3/4→1/3)、児童手当(2/3→1/3)。生活保護の適正化
に取り組む(負担率引き下げは行わない)。
・施設費 5割の割合で税源移譲対象とする。
今回の補助金改革(税源移譲6,100億円)を含め、合計3兆90億円程度の税
源移譲を行う。18年度は全額を所得譲与税とし、18年度税制改正で所得税か
ら個人住民税へ移譲する。

補助金改革 1.2兆円
税源移譲額 0.6兆円
(税源移譲総額3兆円、18年度は全額を所得譲与税(都道府県2兆1,794億
円、市区町村8,300億円)、19年度に住民税へ。)

(作成協力 森山正之さん、鈴木雄介さん)
(最終加筆2006年1月2日)

教育の分権

2005年12月18日   岡本全勝

16日の朝日新聞「私の視点」では、新藤宗幸千葉大学教授が「義務教育の中央統制を排せ」を書いておられました。「文科相と官僚機構、中教審の多数の委員は終始、『負担率2分の1は優れた制度保障だ』として堅持を強く主張した。ところが政府・与党の最終合意では、負担金制度を維持したまま負担率を3分の1に引き下げて8,500億円を削ることが決まった」
「この決定後、文科相も、中教審の議論を官僚顔負けにリードした教育学者も、その理由や評価について目立つ発言をしていない。負担率の『2分の1堅持』と『3分の1への引き下げ』には、いかなる論理的整合性があるのか。『現行負担割合こそが教育を安定させる』『文科省の省益追求ではない』と繰り返された主張はどこへ行ってしまったのか」「透けてみえるのは、ただひとつ、義務教育制度に中央統制の足掛かりを残しておくという意向である。文科省にとって負担率は4分の1、5分の1でも構わないのではないか」
15日の毎日新聞は連載「教育分権」第8回で、「少人数学級、地方の挑戦、法を超え」として、県が国の定めた基準より少ない人数で学級編成をしようとしたところ、文科省から「法律違反」と言われたことを書いていました。2001年の話です。2004年度に、文科省も方針を転換しました。

三位一体改革66

2005年12月17日   岡本全勝
(地方からの評価)
地方6団体は、12月1日に、次のような声明を出しています。
「3兆円という大規模な税源移譲を基幹税により行うこととしており、これはこれまでにない画期的な改革であり、今後の地方分権を進めるうえにおいて大きな前進である」。
また、生活保護費が盛り込まれなかったこと、施設整備費を対象に採り入れたことは、地方の意見が反映されたものとなっているものの、児童扶養手当や児童手当、義務教育費国庫負担金の負担率の引き下げなどは、地方分権改革の理念に沿わない内容や課題が含まれていると批判しています。
そして、「今回の内容は、地方分権の今後の展望を拓くための第一段階と受けとめており、引き続き平成19年度以降も更なる改革を進めるべきである・・・。我々地方六団体は、真の地方分権改革を着実に実現するため一致結束し、改革を前進させるためにも「国と地方の協議の場」の制度化を求めるとともに、地方分権改革が国民各位の幅広い理解が得られるよう一層努力していく」と、決意表明しています。
12月4日の読売新聞は、47知事のアンケート結果を詳しく載せていました。それによると、評価できると答えた知事は9人、評価できないが25人だそうです。評価できない点は、地方案にない項目での税源移譲が23人、義務教育国庫負担率引き下げが15人、地方案の反映度が低いが13人などです。
2日の日経夕刊では、47知事のアンケート結果は、どちらかといえば評価できるが12人、評価できないが6人、どちらかといえば評価できないが19人でした。政令市長13人では、どちらかといえば評価できるが11人、どちらかといえば評価できないが1人でした。
知事と市長の反応の差は、県負担である義務教育の国庫負担率が引き下げられ、市の負担(町村部は県負担)である生活保護がいじられなかったことなどが、主な理由でしょうか。
2日の毎日新聞では、47知事のうち、評価するが9人、評価しないが19人、どちらともいえないが19人です。また、小泉首相の指導力については、15人が発揮された、発揮されなかったが8人、どちらとも言えないが24人でした。(12月13日)
(解説・評価)
12月1日の読売新聞では、青山彰久記者が「地方の提案力、次に生かして」を解説しておられました。「大正デモクラシー期までさかのぼる日本の自治・分権の歴史からみれば、この改革はどう位置づけられるのか」
「今回の骨格は、これまでに前例がない3兆円の税源移譲を掲げたり、族議員と各省の頭越しに地方へ改革案を求めたりした点で、首相主導でつくられた。西尾勝国際基督教大学教授の指摘によれば、各省間の折衝で合意できたものだけを閣議にかける『霞が関の慣行』に穴を開けたのが、小泉政権の成果の一つといえる。きっかけは、橋本内閣で創設を決めた経済財政諮問会議だ。これを小泉内閣が最大限に活用した。各省が反対しても同会議で決めた骨太方針は閣議決定され、従来のルールを崩した」
「たしかに、95年から6年間続いた政府の地方分権推進委員会が税源移譲には進めなかったことを思えば、一定の成果といえる。だが、最終的にまとまった補助金改革と税源移譲の姿はどうか・・・」「地方が国の下請けになる構造を変え、地方に税源と責任を与えて効率的な政府体系を作るのがこの改革のゴールとすれば、まだ遠い」
「改革の再出発には、公共事業、社会保障、義務教育などで、改めて国と地方の任務を決め直す制度設計が必要だろう。その際、今回の改革過程で生まれた『国と地方が同じテーブルで協議する』という方法は生きる。これまで霞が関の各省に政策立案を依存してきた地方が、補助金改革や生活保護制度などで新しい制度を提案した経験は貴重だった。これをステップに地方が責任ある政策の提案力を高め、全体の制度設計を提案し参加する体制を整えることが、次の改革の扉を開けることにつながるように思える」
5日の日経新聞では、中西晴史編集委員が「地方分権、生みの苦しみ」として、大きく解説しておられました。「政府が地方分権推進の議論を本格化してから10年。今回決着した国と地方の税財政改革(三位一体改革)で、地方側は初めて国から大規模な税源移譲を勝ち取った。『画期的』と評価する声もあるが、『補助率引き下げなど国の関与が残る内容が多く、自治体の創意工夫を生かすには不十分』との批判が多い。残る地方交付税の見直しは手つかずで、真の地方の自立への道はなお険しい」。
「初の税源移譲、10年で勝ち取る」「施設整備には風穴」「交付税には及び腰」「敵は霞が関だけではない、潜む地域間の溝」という小見出しが並んでいます。
7日の朝日新聞では、坪井ゆづる論説委員が「三位一体総括・上」で、「分権への効果期待外れ」「省益温存許した首相、『脱霞が関』貫く覚悟なし」を書いておられました。
「そもそも、改革の出発点は中央集権型の行政のなれの果てといえる政府と自治体の計800兆円近い借金だ。だからこそ、財政再建と同時に、分権社会への転換が声高に叫ばれた。霞が関の現状を前提にしたような議論で進む改革ではない。中央集権のもとで経済成長を志向してきた国と地方の関係を見直すものであり、『この国の統治構造を変える改革』(石原信雄元官房副長官)とも位置づけられた。だが、小泉首相はこの局面で『脱霞が関』を貫き、この国を根っこから変える必然性への自覚も、その覚悟もなかったようだ」
「最初に火花を散らしたのは、財政再建とりわけ地方交付税の減額を迫る財務省と、それに税源移譲で対抗した総務省だ・・・。財務、総務両省の『肉を切らせて骨を切る戦法』の具体化を迫られた各省は、それぞれの
方法でかわした。文部科学省は・・・単なる数合わせで、中教審答申の論理的な正当性をないがしろにしてまでも、制度堅持は果たした格好だ。厚生労働省は、『地方への負担引き渡し路線』だった。安倍官房長官と連携し、懸案の生活保護負担率引き下げをめざした。その揚げ句に、何の議論もないままに児童手当など別の負担率を下げた。・・・国土交通省では交付金化が目立った。・・国交省が補助金配分業としての権限を温存する実態は変わらない。各省とも、自治体が自己責任、自己負担で自己決定する分権社会への流れを、あえて無視しているようにしか見えない」
「自治体側は小泉首相から要請された補助金廃止案づくりを、2度まとめた。利害の異なる自治体が結束して培った政治力が、内閣官房長官のもとに初めて国と地方の協議の場を設けさせた。だが、最終局面の政府与党の協議には結局、外側から注文をつけただけだった・・・。一方で自治体側、とくに知事会は反転攻勢の機会を逸した。今年9月の総選挙である。候補者アンケートで、義務教育や生活保護の負担率引き下げへの賛否を確認しておけば、それを担保に国会議員への発言力を確保できた可能性がある」
「自治体側は、さらなる改革を求めている・・。だが、自民党も各省もうんざり顔だ。『地方要求通りに補助金を削ったら、うちの局がなくなる』と言う局長もいる・・・だれが首相でも霞が関依存体質のままでは、今回と同じ結果になるのは明らかだ。そのときは民主党の存在感が相対的に増すかもしれない・・霞が関との縁遠さも利点になりうるからだ」。
8日の「下」では、松田京平記者たちが、「広がらぬ自治体の裁量」「反映しにくい地域事情、権限の多く国に残る」「改革リード意欲も必要」を書いていました。
それぞれ、幅広い視野に立った的確な指摘だと思います。
3日の読売新聞「談論」では、吉田和男京大教授、神野直彦東大教授、片山善博鳥取県知事が、評価を述べておられました。片山知事は「一連のドタバタ劇は『霞が関の病理』そのものだ。過去の合意事項をこっそり読み替えるし、権限も手放そうとしない。国民からみてつまらない補助金の配分も、役人には権限になり、財政当局にとっても予算査定を通じた『うまみ』らしい。・・真の改革には、霞が関の改革が急務であることを改めて認識させられた」。(12月15日)
(これからの動き)
今回の三位一体改革(第1期)に対する私の評価は、12月11日に書いた通りです。①補助金廃止・税源移譲が3兆円も実現することは、画期的なこと。②しかし、地方の自由度が高まったとはいえない。③今後、補助金廃止・税源移譲が進めば、今回はその突破口として大きな評価がされるであろう。しかし、これだけでとどまるなら、良い評価にはならないだろう、ということです。
となると、今後、第2期改革をどう進めるかが、課題となります。「霞ヶ関と永田町は、もううんざりしている」と伝えられています。今回の課程で、地方から案を出したこと、国と地方の協議の場を作ったことは、大きな前進です。しかしながら、昨年も今年も最後は国(政府与党)が決め、地方の参画はありませんでした。それに対し、政府与党案の決定について、官僚機構(補助金所管省と財務省)は大きな影響力を持っています。
補助金廃止・税源移譲は放っておいては、進みません。このまま立ち消えることが、霞ヶ関にとっては好都合なのです。第2期改革を進めるためには、地方側は作戦を練り、団結して当たらなければばなりません。
①改革の目標・内容
まず、どの補助金をどれくらい廃止するのか、を決めなければなりません。これについては、6団体は昨年大枠を決め、国に提出しました。しかし、義務教育が中途半端な形になりました。施設整備は税源移譲対象となりましたが、移譲額は2分の1になりました。これらをふまえ、もう一度整理し直す必要があります。そして、どの税金を移譲してもらうか。これについては、議論が進んでいません。
②戦術・戦略
もちろん、6団体が結束して、国に案を突きつけることが必要です。しかし、国と地方の協議の場の「限界」も見えました。すると、その経路以外の攻勢も、考える必要があるでしょう。今回、地方は、生活保護負担金切り下げ案に対して、事務の返上で対抗しようとしました。このような「場外乱闘」が有効なのか、そのほかの手段はないのかを議論すべきでしょう。
そして、回りくどいようですが、味方を増やす必要があるでしょう。国会議員、マスコミ、オピニオンリーダーたちです。国民にも支持してもらえるようにする必要があるでしょう。分権・三位一体改革は、連日のように新聞の1面を飾るようになりました。かつてなく盛り上がっています。ほとんどの人が総論は賛成ですが、各論になると異論が出てきます。これを最終的に押し切るのは、やはり世論でしょう。
次の節目は、6月にも予定される「骨太の方針2006」でしょう。ここに、どう書き込むか。地方に与えられた時間は、それほど多くはありません。(12月17日)

祝、雑誌掲載

2005年12月16日   岡本全勝
月刊「中央公論」11月号のp283「ブログ・ハンティング」に、このホームページが取り上げられました。官僚が書いているウェブサイトの、紹介記事でです。
「『岡本全勝のページ』は、匿名のブログが多い官僚のなかでは珍しい例外である。本名のみならず職歴まで明らかにしており・・。『法律ができるまで』や『三位一体の改革』、あるべき官僚の姿など豊富な内容だ」
取り上げてもらった上に、お褒めいただき、ありがとうございます。もっとも「読みたいタイトルをクリックしても全く違う文章が置かれていることがままある。・・・残念だ」との指摘もあります。申し訳ありません、修復を怠っていて。週末、少し修復作業をしました。
その記事にもありますが、官僚もののウェブサイトは、匿名ばかりですよね。「匿名が多い」と書いてありますが、私はこのHP以外に、官僚が実名で仕事について書いているページを見たことがありません。趣味のページはいくつもありますが。まあ、これも「官僚の問題」なのでしょう。批判をおそれて、実名では書かないという問題です。もちろんこれは、本来の仕事にあっても実名を出さない=責任をとらないことと、通じています。

三位一体改革65

2005年12月12日   岡本全勝
(評価・項目別)
三位一体改革の政府与党合意が決まったようです。まずは、結果がまとまったことを喜びましょう。地方団体の評価を待ちたいと思いますが、取り急ぎ、昨日書いた評価基準で簡単に見てみましょう。
結論が出て、目標金額を達成し、3兆円税源移譲できることになったことは、○。
地方団体が拒否していた生活保護国庫負担金が対象とならなかったことは、○。ただし、児童手当などが負担率引き下げとなったことは、×。
義務教育国庫負担金が8,500億円一般財源化されたことは、○。ただし、中学分の全額でなく小中分の負担率引き下げなので、それについては、×。
国債対象である施設費補助金が、一般財源化対象になったことは、○。もっとも、税源移譲が半額であることは、△としましょう。
全体像を見て、地方の自由度が高まったかについては、×に近い△でしょうか。第2期への見通しは、よくわからないので、△。
政治主導については、官房長官裁定が出たことは○ですが、ここまでもつれたこと、地方に案を作らせながらそれを採用しなかったことを考えると、△ですかね。(11月30日)
(評価・その全体像について)
今回決まった三位一体改革の項目別の評価は、前回(11月30日)書いておきました。新聞などの評価も、ほぼ同じだったと思います。「では、全体としてどう評価するのか」というお尋ねが、記者さんたちからありました。私の考えは、次のようなものです。
1 短期的には
この3年間(三位一体改革を進めた期間)でみると、高い評価ではない。新聞が書いているように、数値目標は達成したが、分権の目的である地方の自由度が高まったとはいえないので。
2 長期的には
かけ声だけで進まなかった「補助金廃止・税源移譲」が3兆円も実現することは、画期的なこと。大きな前進。
3 大きな歴史の中では
今回の三位一体改革の評価は、今回だけでは定まらない。すなわち、今後引き続き補助金廃止・税源移譲が進めば、今回はその突破口として大きな評価がされるであろう。しかし、これだけでとどまるなら、分権の歴史の中では良い評価にはならないだろう。(12月11日、パソコンが復旧したので今頃書いています。)
昨日までの三位一体:パソコン故障で載せることができなかったものを、記録のために書いておきます。日々のニュースは割愛し、解説や主張などを中心に紹介します。)
(12月1日の各紙社説)
共通した部分が多いので、それは省略します。
朝日新聞は「公約は果たしたけれど」として、「初めて3兆円という大規模な税源移譲が実現する。全国知事会の麻生渡会長が『画期的だ』と語るのも、あながち誇張ではない」
「しかし、内実は苦しい数字合わせに終始した。そもそも何をめざす改革だったのか。こんな疑問がどうしても膨らむ・・・。単純化して言えば、自治体側は地方分権を、霞が関は財政再建と権限温存を考えていた。この食い違いを乗り越えるには、国と地方がそれぞれ担うべき役割を整理し、時代の変化に応じて分担のあり方を見直す構造改革が必要だった」。
この社説の指摘の通りですが、その構造改革議論は簡単には進みません。改革を拒む勢力が権力側にいるのですから。何度か指摘したように、三位一体改革の進行過程そのものが、政治改革なのです。
毎日新聞は「小泉政権後に不安残すな」で、「国の『下請け』に甘んじてきた地方が一連の改革をリードし、政府の政策決定のあり方にも変化をもたらした点は評価すべきだろう。しかし中身をみると『地方にできることは地方に』という原点は忘れ去られ、数字あわせに終始したのが実態である」
「制度に踏み込めなかったことに加えて気がかりな点がある。曲がりなりにも今度の改革が進んだのは、『改革派知事』が各地で誕生し、全国知事会の発言力が増しただけでなく、これが小泉純一郎首相の志向と合致した事情も大きい。果たして、『小泉後』もこの流れが続くのか。今回の交渉過程を見ても、各省庁の抵抗は極めて激しく、担当閣僚も従来通り省庁の代弁者に過ぎなかった。地方側は07年度からの3年間を第2期改革と位置づけて、さらなる補助金廃止と税源移譲を求めることにしているが、こうした姿を見ていると、『小泉後』がはなはだ不安になるのだ。政府と地方が協議する場を制度として明確にするなど、後戻りをさせない仕組み作りも必要だ」
これも、指摘の通りです。後段の「第2期」については、そのほかの新聞も主張していました。
日本経済新聞は「第2期の三位一体改革に踏み出せ」で、「国から地方への補助負担金は約20兆円もある。これほど巨額の補助負担金を使って、地方に口出ししている国はない。4兆円削減の第1期改革では、各省はこの体制を実質的に存続させる形で逃げ切った。これでは構造改革の名に値しない。政府・与党合意は今後の改革についてはややあいまいだが、本筋に戻した第2期改革に踏み出すべきだ」。
産経新聞は「これで終わってはならぬ」として、「三位一体改革の目的は、国と地方の役割分担を明確にし、財源を効率的に使うことで財政を再建することだ。それには継続的な改革が必要となる。地方分権の確立のためにも、今回の決着で終わりにしてはいけない」。
読売新聞は「国と地方、痛み分けの税源移譲」で、「地方側の言い分も盛り込まれたが、補助金削減では国の関与が残るケースが目立ち、双方、痛み分けの決着、と言うことも出来よう」と述べていました。
確かにそういえるのですが、国の関与が残るのでは分権にはならないのです。やや切れ味の悪い主張ですね。
(残る課題:交付税)
三位一体のうち補助金廃止と税源移譲が決まったので、残る課題は地方交付税であると、新聞は報道しています。もっとも、論点は平成18年度の地方交付税総額がどうなるか=いくら削減されるかになっています(12月1日付け朝日新聞、12月6日付け日経新聞など)。財務省がもっぱら国の財政再建=国の歳出削減の観点から、交付税総額の大幅な削減を主張しているという構図です。
このHPでも何度か解説しましたが、交付税総額は、毎年度の地方財政計画の歳出額と歳入額を積み上げ、その不足分を計算することで決定されます。そして、歳出の多くは、国が基準を決めています。収入の大きな部分である地方税は、その標準が国で決まります。国庫補助金は、国が総額を決めます。地方債は、公共事業などの額が決まれば、ほぼ自動的に決まります。そしてこれを比較して、足らない部分を交付税などで埋めています。国税の一定割合である地方交付税額(実力)で埋まれば問題はないのですが、近年は大幅に足らないので、国から特例の加算をしてもらい、地方も赤字地方債を出しています。
この特例を減らしたいのは、関係者みんなの思いですが、そのためには、地方税収が増えること、あるいは歳出総額が減ることが必要なのです。(12月12日)