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被災地で考える公共哲学

2011年8月23日   岡本全勝

古くなりましたが、8月9日の朝日新聞オピニオン欄で、多田欣一岩手県住田町長のインタビューが載っていました。6月下旬から、被災者を対象とした東北地方の高速道路無料化が実施されました。無料通行には、被災証明書が必要です。住民の求めに応じて、停電や断水だけでも被災証明を出し、全世帯に発行する市町村もでました。その中で、住田町は岩手県内で唯一、「停電だけでは被災証明を出さない」方針を貫きました。以下、町長の発言です。

・・停電は被災ではない、という認識ではありません。ハウス栽培の農家などでは大きな物的被害がでますから当然、被災したことになる。ただ、停電が物的な被害に直結するとは限りません。住田町では、物的な被害があった場合は被災証明や罹災証明を出しますが、それ以外は基本的に証明書は発行しないという立場です。
国が東北の高速道路無料化を制度化したのは、大きな被害を受けた人の復興支援という趣旨のはずです。津波ですべてを流された人と、半日停電しただけで物的被害もない人が、同じレベルで復興支援の恩恵を受けるのは、本当に正しいのかと考えました・・

(同じように停電したのに、住田町だけ出さないのは不公平ではないですか、との問いに対して)
・・今回、無料化された区間は、東北自動車道をはじめ大半が内陸部です。大きな被害を受けた沿岸部の人は、あまり利用することがない。私が公務で高速道路を利用する回数は、1年に3~5回くらいですよ。本当に被災して困っている人は、ほとんど利用せず、わずかな被害しかなかった内陸部の人たちが無料で頻繁に利用している。それはかえって不公平ではないのか・・

(被災証明によく似たものに、罹災証明書があります。これは内閣府に基準があります。これによって、支援が受けられる場合もあります。しかし、被災証明書は、各自治体の裁量に任せられていて、それぞれの市町村で基準が違います。
被災証明にも、国の指針があった方がいいと考えますか、という問いに対しては)
・・それは違うと思います。こんなときこそ、自治体がそれぞれの良識で判断すべきでした。右へならえで全世帯に被災証明を出せば、国の役人に「やはり市町村には任せられない」と言われてしまう。もう少し頑張ってほしかったという思いはあります・・

ごく一部を紹介しました。あなたは、どう考えますか。マイケル・サンデル教授になって、考えてみてください。

避難所と仮設住宅の環境調査

2011年8月21日   岡本全勝

今日は、復興大臣と、石巻市に避難所と仮設住宅の視察に、行ってきました。石巻市は、16万人の市が中心部を襲われ、津波被害が最も大きい市です。がれきだけでも、岩手県内市町村の総量に匹敵します。
最大時では5万人の人が、260か所の避難所に、避難しておられました。現在は、2,300人の方が、64か所の避難所におられます。先日書きましたが、全国では8,600人、宮城県では5,700人おられます。
石巻市では、仮設住宅建設も進み、9月には全員が住宅に移ることができる予定です。今なお全員が住宅に入っていないのは、避難者の数が多かったことと、広範囲に浸水したため仮設住宅建設適地が無かったのです。
今日は、避難所1か所と仮設住宅団地を、見せてもらい、話を聞いてきました。避難所や仮設住宅の生活環境の問題を調べに行ったのですが、ここでは大きな不満はありませんでした。いくつか注文をもらったので、市役所と対応を検討します。

皆さんの要望の第一は、早く町の復興計画をつくって、元の住宅に戻れるのか移転する必要があるのかを、決めて欲しいということでした。皆さんの意識が、復興の段階に入っていることが、良くわかります。市役所は、既に計画(住宅を建てる場所の線引き)の案をつくっています。これから住民の意見を聞き、同意を得て進める予定です。町の将来を決めるのは、住民であり、議会と首長です。
石巻は、港湾と漁港の町です。漁港と水産施設の復旧計画も、順次進んでいるようでした。まずは、応急復旧です。町の中のがれきも、片付いていました。もっとも、壊さなければならない建物が、たくさん残っています。

いわき市と茨城県の被害

2011年8月20日   岡本全勝

今日は、復興大臣のお供をして、福島県いわき市と茨城県に、行ってきました。
福島県はご承知のように、浜通りの真ん中(双葉郡)が原発で避難していて、沿岸部の南部では、いわき市だけが残っています。原発事故以来、双葉郡からの避難者を、多数受け入れています。いわき市自体も自主避難をしたこともあり、生活必需品が届かなくなって、大変な苦労をされました。一時2万人おられた避難者も、今日で避難所を解消しました。
しかし、市長は、これからも、双葉郡からの避難者のうち、当分地元に帰ることができない人たちを受け入れるとの意向を示されています。また、放射能汚染されたがれきの処理など、たくさんの課題があります。

茨城県は、東北3県の陰に隠れていますが、大きな被害を受けました。住宅被害は17万戸に及んでいます。津波被害は3県ほどではなかったのですが、地震被害が大きいのです。住宅のほか港湾施設の被害、田畑での液状化、風評で観光客が来ないことなどです。
現場に行くたびに、どのような点に悩んでおられるかが分かり、私たちが取り組まなければならない課題の優先順位が分かります。大臣や私たちの仕事の都合で、視察が土日曜になってしまいます。受け入れてくださる地元市町村や関係団体、住民の方には申し訳ないのですが。

復興本部事務局の体制

2011年8月19日   岡本全勝

事務局は、各府省から職員を派遣してもらい、日に日に職員を増やしています。体制(班編制)が一段落したので、ホームページに組織図を載せました。見ていただくとわかるように、総括企画系統、インフラ構築系統、住民支援系統、産業振興系統に、大きく4系統になっています。その中に、班をたくさん置いています。班長は参事官(課長級)で、一人でいくつもの役割を兼ねてもらっています。職員数は、常勤で約130人になっています。

もっとも、私たちの仕事は、前例がなく定型でないことが多いので、手探りの部分も多いです。「分担」は、あって無きの状態です。仕事を片付けてもらってから、分担表を書き換えています(笑い)。
「前例がありません」「それは私の分担ではありません」という台詞が通用しない、「世間で批判される官僚組織とは違う珍しい組織」です。職員はみんな、新しい仕事これまでにない仕事に、積極的に取り組んでくれています。ありがたいです。しかも、仕事が素早い点も。感謝しています。

復興状況視察

2011年8月19日   岡本全勝

昨日18日今日19日と、五百旗頭真復興構想会議議長のお供をして、宮城県と岩手県で、被災地の復興状況を視察してきました。現地では、がれきの片付けや仮設住宅の建設も進み、避難所を解消したところもあります。復旧が本格化し、復興に向けて、復興計画の策定に取り組んでいます。
地理的条件や、被災の状況が違うので、復興計画も町によって異なります。平地の少ない場所では、高台移転が必要です。一方、水産加工業などは、津波が来たら逃げることを前提に、元の場所で再建を計画しているところもあります。地震被害の場合は、その場所での再建が主になりますが、津波の場合は同じ場所に建てると、また被害に遭うのです。かといって、リアス式海岸の場合は、平野は少なく、難しいです。
19日午前は、ちょうど大船渡市で、岩手県沿岸12市町村の会議があったので、私は本隊と別れそこに出席し、現在の国の取組を説明してきました。帰りの新幹線は、地震の影響で遅れました。
移動の間に、防衛大学校長である五百旗頭議長と会話する機会に恵まれ、いろんなことを教えてもらいました。役得ですね。

復興本部では、できる限り地方自治体の要望をお聞きすることを、心がけています。現地に行くと、いろんな意見を聞くことができます。「基本方針」を策定する際も、関係自治体から意見を聞きました。その意見をどのように反映したか。概要をホームページに載せるとともに、各団体には個別に文書で回答しました。聞きっぱなしに、しないようにです。