カテゴリーアーカイブ:行政

大震災12年 災害法制を進化させよ

2023年3月13日   岡本全勝

3月12日の朝日新聞社説「大震災12年 災害法制を進化させよ」から。

・・・東日本大震災から12年を経て、津波被災地の復興事業はほぼ完了した。復興基本法第2条の「基本理念」がうたう「21世紀半ばにおける日本のあるべき姿をめざして」の成果が問われる段階を迎えている。
これまでの歩みを顧みて、評価できるのは政府が従来の「国土の復旧」に加えて、「生活の再建」にも乗り出したことだ。
国と県で4分の3を出すグループ補助金、販路開拓や新製品開発での大企業とのマッチングといった「官と民」の柔軟な連携は斬新だった。「行政哲学を転換した」ともいわれ、その後の災害にも継承されている。
一方で旧態依然の手法の弊害が厳しく指摘され続けた。
道路、農地、防潮堤など省庁縦割りの事業はスピード優先で費用対効果が二の次にされ、過大な公共工事を多く生んだ。復興庁の元事務次官が「止めたくても止められなかった」と認める現場もあったほどだ・・・

・・・実情を踏まえた現場の声を教訓として生かし、時代の要請に合った新制度を設計してゆく。そうやって災害法制を進化させることが、東日本大震災を経験した世代の務めのはずだ・・・

3.11から12年

2023年3月11日   岡本全勝

今日は3月11日。2011年3月11日の東日本大震災から、12年が経ちました。
津波被災地では、復旧・復興工事は終了しました。今後の地域の持続と振興が課題です。
原発被災地は、早期に避難指示が解除された地域、その後に解除された地域、まだ解除されていない地域で、復興度合いに差があります。まだ、時間がかかります。

ふくしま復興とSDGsを考える県民シンポジウム

2023年3月5日   岡本全勝

今日3月5日は、「ふくしま復興とSDGsを考える県民シンポジウム」に出席するため、福島県いわき市まで行ってきました。会場は、参加者で満員でした。「福島中央テレビニュース

今年は、復興とSDGsの両方が主題になっています。「ふくしまSDGsアワード」に応募した29団体から、3団体を表彰しました。私も審査に参画したのですが、それぞれに、熱意と工夫の入った取り組みです。
福島中央テレビの取り組みは、地元ニュース番組内の「ブンケン歩いてごみ拾いの旅」で、県出身の俳優が住民と一緒にごみを拾う姿を放送しています。約3年間、毎週放送されています。地域の問題を取り上げ、住民もその活動がテレビに映る、そして社会に貢献するという、素晴らしい企画です。

SDGsの取り組みは、役所が提供するサービスではなく、住民が取り組まなければなりません。住民は客体から、主体になるのです。「行政は何かしてくれるもの」という意識に慣れた戦後日本社会では、大きな転換です。そこに、難しさがあります。
ふくしまSDGs推進プラットフォーム ポータルサイト

「平成の地方制度改正をひもとく」2

2023年3月2日   岡本全勝

山﨑重孝・元自治行政局長を中心とした座談会「平成の地方制度改正をひもとく」(月刊『地方自治』)、2023年2月号は職務執行命令訴訟の改正についてです。(1月号

2000年に行われた分権改革以前は、機関委任事務という分類がありました。地方公共団体が処理するのですが、首長(知事、市町村長)が法令に基いて国から委任され、「国の機関」として処理する事務です。
機関委任事務について国は包括的な指揮監督権を有し、知事が機関委任事務の管理執行について違法や怠慢があった場合に職務執行命令訴訟を経て主務大臣による代執行を行うことができるうえ、総理大臣による知事の罷免が可能でした。公選による知事の身分を奪うことはおかしいので、知事罷免制度は1991年の地方自治法改正により廃止されました。

なぜ機関委任事務や職務執行命令訴訟という仕組みがあったのか、そしてなぜ廃止されたのか。この座談会を読むと、よく分かります。

男女不平等、搦め手から攻める

2023年2月28日   岡本全勝

2月19日の日経新聞「風見鶏」、大石格・編集委員の「「正当な差別」などない」から。

・・・差別をなくすにはどうすればよいか。3年前に亡くなった米最高裁のギンズバーグ元判事は弁護士時代にからめ手から攻めた。目標は女性の権利擁護なのだが、男性の権利を守れ、という訴訟を起こした。
当時、親などの介護にかかる費用を補う所得控除は独身男性には認められていなかった。結婚して妻に介護させればよい、と思われていたからだ。

男性に不利な制度はおかしいとの訴えはあっさりと認められた。最高裁は男女で扱いが異なる制度は憲法違反と判決に書いた。ギンズバーグ氏は以降、この判決を盾にして女性の扱いが不利な事例で次々に勝訴していく。戦略がまんまと当たったわけだ・・・