カテゴリーアーカイブ:行政

定額減税の事務負担

2024年2月26日   岡本全勝

2月14日の日経新聞に「定額減税、事務負担に苦慮 企業・自治体1回限り」でも改修」が載っていました。

・・・岸田文雄首相の肝煎り政策である定額減税を盛り込んだ所得税法改正案が13日の衆院本会議で審議入りした。減税開始まで半年を切り、企業や自治体からは事務負担への懸念が強まってきた・・・
詳しくは本文をを読んでいただくとして。事務負担の課題は、大きく3つあるようです。
一つはこの記事にあるように、1回限りの減税でも、企業などは従業員への給与支払いの際に源泉徴収するので、そのシステム改修が必要です。
もう一つは、今回の減税は所得税3万円、住民税1万円で合計4万円。家族がいるとその人数分です。一月の源泉徴収額がこの数字を超えていれば、その金額を減額すればすみますが、引き切れない場合は、翌月以降から引き去ります。その計算が必要です。

さらに面倒なのが、次の問題です。
税金を納めていない低所得世帯は、この減税の恩恵を受けることができません。その世帯には10万円給付します。これで二本立てになります。さらにこの間に、税金は納めているけれども、減税額までは納めていない世帯があります。その世帯には、減税しきれない額を給付します。これはかなり複雑になります。

そもそも減税は、税金を納めていない、あるいは少ない納税額の低所得世帯には効果がない、効果が少ない政策です。その人たちを念頭に置くなら、減税より給付金の方がはるかに簡便です。マイナンバーカードに銀行口座を紐付けておけば、簡単に給付できます。

日本での政策の作られ方

2024年2月25日   岡本全勝

2月10日の朝日新聞に、元アマゾンでロビイストをしておられた渡辺弘美さんの話「ロビイスト、企業が政策を動かす」が載っていました。

・・・ 企業の立場から政策を動かす「ロビイスト」への注目が高まっている。巨大IT企業が国家をしのぐ影響力を持ちはじめるなか、政策をゆがめる恐れはないのか。政府と企業の関係はどうあるべきなのか。霞が関から米アマゾンに移り、ロビイストの草分け的存在として長年、日本政府と向き合ってきた渡辺弘美氏に聞いた・・・

―ロビイングとは何でしょうか。
「私は政府の認識や理解、行動を正しい方向、多くの人がそうだと思う方向に補正する作業がロビイングだと考えています。これを利益誘導と混同しているロビイストが多い。私はアマゾンという企業と、社会の利益が一致するときにだけ動いてきました。会社から『何とか政府を説得しろ』と言われて、『できません』と断ったケースもいくつもあります」

―日本でのロビー活動は欧米と違いますか。
「欧米と日本では政策のつくられ方が違うため、ロビー活動の方法は異なります。米国などでは議員が多くのスタッフを抱え、影響力のある法律をつくるケースが少なくない。日本は、ほぼ霞が関の中央省庁が法律の原案や細かいルールを作ります。我々ロビイストも、霞が関の方との関係づくりや情報交換が重要になります」

―ロビイングは必要なのでしょうか。
「政府が100%スマートなら、ロビイングは必要ないと思います。しかし現実はそうなっていません。役所の職員は与党や官邸から飛んでくるボールを拾うだけで精いっぱいです。一部の学者がいくつもの審議会や有識者会議を兼務し、法に基づき企業がつくった報告書を読んでいるのか怪しいときがあるし、発言にバイアス(偏り)がかかっているように見えるときもある。政策の透明性が高まり開かれたものになるのなら、ロビイストの活動を規制してもよいと思います」

―企業が影響力を強めすぎると、民主主義をゆがめることになりませんか。
「それはその通りだと思います。でも、ぜんぶ官僚と政治家に任せればよいのでしょうか。私はそうは思いません。企業以外の人たちの声も、もっと政治に届けることが答えになると思います。欧米ではNGO(非政府組織)や消費者団体が熱心にロビー活動をしています」

IMF、所得税減税の効果疑問視

2024年2月24日   岡本全勝

2月10日の日経新聞が「IMF対日経済審査、所得税減税の効果疑問視」を伝えていました。

・・・国際通貨基金(IMF)は9日、日本政府が6月に実施する所得税と住民税の定額減税について「成長に及ぼす影響は限定的と予想される」との見解を表明した。物価上昇率が日銀目標の2%程度に落ち着くと見込み、大規模な金融緩和を終わらせ、段階的な利上げに踏み切るよう促した。
年に1度の対日経済審査を終え、声明を公表した。
日本の財政政策に関して、厳しい見方を示した。経済が引き続き回復していることから、歳出抑制など引き締め策に軸足を移すべきだと提起した。
なかでも、岸田文雄首相が打ち出した所得税減税は債務状況を悪化させると指摘・・・
このほかにも、補正予算を毎年編成する慣行も、改めるべきだと訴えています。

至極まっとうな議論と思うのですが。
日本人、特に日本の報道機関などは、世界からの評価を気にするのに、このようなことは気に掛けないのですかね。自分に都合のよいことだけ、引用するのでしょうか。

障害児の親への支援

2024年2月21日   岡本全勝

2月5日の日経新聞ダイバーシティ欄に「障害児の親への両立支援に光」という記事が載っていました。

・・・世の中には仕事との両立を阻むハードルが多数存在しているが、これまで支援の網から漏れていた課題にようやく光が当たろうとしている。障害児や医療的ケア児を育てる保護者の両立問題だ。一般的な子育てと違って成長とともに親の負担が軽くなるとは限らず、既存の子育て支援では追いつかない。国が育児・介護休業法改正案に支援拡充を盛り込むなど官民が動き始めた・・・

詳しくは本文を読んでいただくとして。障害を持っていて特別支援学校などに通う児童生徒数は約62万人、全体の6.5%になります。その親の多くは、仕事と子どもの世話を両立させる苦労をしています。他方で、多くの企業は特に配慮していません。

健康な人にとっても、障害は他人事ではなく、誰もが持つ可能性のあることです。これまで、見てみないふりをしていたこと、配慮しなければならないことがたくさんあります。

『市政』2月号「地域でこどもを守り育てる」

2024年2月20日   岡本全勝

全国市長会の機関誌『市政』2月号の特集は、「地域でこどもを守り育てる」です。
こども食堂支援で活躍している湯浅誠さんが、「こども食堂から考える こどもの居場所づくりと行政支援の在り方」を寄稿しておられます。

子ども食堂は、家庭の事情で食事が満足に食べられない子どものために開設されていますが、子どもの居場所つくりというより大きな目的があるようです。そして、子どもだけでなく、年齢を問わない居場所を目指しているところも多いようです。
この特集にもあるように、子どもを孤立させない対策が広まっています。

現代社会の大きな問題である孤独・孤立対策のために、子どもだけでなくすべての世代に対して開かれた居場所が求められています。
そして、居場所という概念にとらわれず、地域のつながりという機能を強くする必要があります。これが、地域の安心を作る次の課題です。