カテゴリーアーカイブ:行政

時代遅れ

2004年7月20日   岡本全勝
今日(20日)の朝日新聞夕刊東京版は、財務省の仮眠室「ホテルオークラ」が書かれていました。家に帰る時間を惜しんで、職員が仮眠するための部屋です。かつては、「エリート公務員記事」の定番でした。
よかったですね、残業がそれだけで価値だった時代は。「昔、貧乏な日本では、官僚も徹夜して・・」と、プロジェクトXの世界でしょうか。
しかし、残業時間を誇る時代は過ぎたと思います。それによって「どれだけ良い成果」が出たかを評価すべきでしょう。成果(アウトカム)を測定せず、残業時間(インプット)を自慢する。官僚のもっとも悪いことの一つです。
久しぶりにこんな記事がでて、びっくりしました。新聞はこんな記事を、いつまで書くんですかね。
私も、家に帰らず職場で仕事した、あるいは泊まり込んだことについては、人後に落ちないと思っています。1週間自治省ビルを出ず、2週間家に帰らず・・の記録を持っています。でも、今にして思えば・・・。

私たちの選択

2004年7月14日   岡本全勝
12日の朝日新聞夕刊文化欄で、大澤真幸京大助教授が「参院選の結果を読む」を書いておられました。見出しは、「われわれは何も選んでいない 『枠組み』変える担い手の不在」です。
そこでは、今回の争点は「イラクでの多国籍軍への参加」と「年金問題」ではなかったか・・。と始まっています。詳しくは本文を読んでいただくとして、ここで紹介したいのは、その後半部分です。
「・・・そのために必要なのは、決定的な構想力(想像力)と結果責任への覚悟である。だがそれらを担う者はどこにもいなかった」
私の批判する「戦後日本に政治はなかった」(「新地方自治入門」p265~)に、相通じる指摘だと思います。

解釈学から想像力へ

2004年6月17日   岡本全勝

官僚の役割、それは、この社会をよりよいものとすることです。「この国のかたち」をつくること。それは、変わりありません。しかし、社会の変化に応じて、目標と手法は変化します。20世紀に期待された官僚像を、私たちの先輩たちは立派に果たしました。そして、21世紀に期待される官僚像は、大きく変化しています。そこに必要なのは、翻訳や解釈学ではなく、想像力と創造力です。日本社会の求めに応えるためには、私が、そしてあなた達が、「この国のかたち」を社会に問い続ける必要があるのです。

「この国のかたち」を創る

2004年2月3日   岡本全勝
昨年まで私は、自治財政局交付税課長をしていました。今話題の「三位一体改革」「地方交付税改革」の担当です。これまで50年間、地方交付税制度はよく機能し、日本の地域社会の発展に貢献してきました。北海道から沖縄まで、大都会から山村離島まで、教育・福祉・衛生といった行政サービスや、道路・上下水道といった社会資本を整備できたのは、地方交付税があったからです。しかし、成功し定着したが故に、交付税制度を改革することは大変です。
関係者に説明するだけでなく、活字として私見を世に問い、マスコミの取材に応え…と。理解を得る努力をしました。講演会は年間40回。平成14年からは、東京大学大学院の客員教授も務めています。日本地方財政学会総会で、神野直彦東大教授、齊藤愼阪大教授、金子勝慶大教授といった学者の前で基調報告もしました。全国紙の1面に実名が載るという「おまけ」もありました。

官僚の仕事の変化

2004年1月2日   岡本全勝
日本は、明治維新以来、近代国家をめざして、いろんな制度や社会資本を整備してきました。また、第2次大戦後は、経済発展をナショナルゴールとしてがんばってきました。その際に官僚に求められたことは、欧米先進諸国から制度を輸入し、日本中に行き渡らせることでした。そして、日本の官僚はそれに成功し、日本社会も豊かになりました。
すると、官僚の仕事も変わったのです。これまでの仕事のやり方は、簡単に言うと、外国から「輸入」すること、先輩が作ってくれた制度を「拡張」することでした。しかし、それらを達成しあるいはメドをつけると、官僚に期待されることは、社会に生まれてくる新しい問題を拾い上げること、また社会を変えていくために制度を創造することに変わったのです。
先に述べた総務省の法案は、いずれも先進諸国から「輸入」できるものではありません。また、これまでのようなハードウエアでなく、新しいソフトウエアです。21世紀の日本の官僚には、20世紀の官僚とは違ったことが求められるのです。詳しくは、拙著「新地方自治入門―行政の現在と未来」(時事通信社)をご覧ください。