カテゴリーアーカイブ:行政

国立公文書館、近現代の文書管理の歴史

2022年2月21日   岡本全勝

先日、国立公文書館に行ってきました。企画展「近現代の文書管理の歴史」を見るためです。官僚の一人として、公文書の作成や保管には関心があります。かつて知人が働いていたこともあり、何度か訪れています。

今回の展示は、明治以降の国家の公文書の変遷です。どのような様式が定められたか、どのように保管されたのか。勉強になりました。明治6年の宮殿の火事、大正の関東大震災、敗戦と焼却。保管されていたたくさんの文書が、灰になってしまいました。
昔から「文書が多すぎる」と、その是正をするための行政改革がされていたことも、驚きでした。

公務員でなくても、近現代史が好きな方には楽しめます。無料です。お土産には、平成と令和の文字が入ったクリアファイルなどもお勧めです。
国立公文書館の業務を簡単に紹介した動画があります。これは分かりやすいです。こちらも、ご覧ください。

拡大自殺、若者の生きづらさ

2022年2月21日   岡本全勝

2月10日の読売新聞解説欄は、「「拡大自殺」背景と対策」でした。
・・・他人を道連れにして死のうとする「拡大自殺」と呼ばれる犯罪が相次いでいる。電車内やクリニックなど公共の場で起こされるケースもあり、人々の安全を脅かしている。背景にはどのような問題があり、どんな対策が考えられるのか・・・

土井隆義・筑波大教授の「「生きづらさ」抱え込む若者」から。
・・・将来を悲観し、自暴自棄になって起こされる事件の多くが、「拡大自殺」に該当すると考えられる。中には若者による犯罪も少なくない。背景にあるのは、現代の若者たちに特有の「生きづらさ」だ。
社会が右肩上がりだった時代は過ぎ去り、国内総生産(GDP)は1990年代から低迷が続く。人生が山を登るような感覚だった80年代までと異なり、現代の若者たちは今日も明日も変わらない平地を歩くイメージで生活している。
しかも、今いる場所から一度でも「転落」すると、二度とはい上がれないという感覚にとらわれている。それが、「生きづらさ」の主たる要因だ。
インターネットの影響も大きい。多様な価値観が広がるネット社会では、人々はかえって不安になり、同じような学歴や趣味、目標などを持つ同質の人とのつながりを深める。若者は特にこの傾向が強い・・・

・・・「生きづらさ」を緩和するためには、人間関係を広げることが有効だ。一つの居場所を失っても、別の居場所があればセーフティーネットになる。視野が広がり、「転落」という発想から解放される。
物事にチャレンジする意義を伝えることも重要だ。例えば、望んだ仕事でなかったとしても、とにかくやってみれば、新たな可能性や楽しみを発見できるかもしれない。そうした体験は自信となり、失敗や挫折を乗り越える意欲につながる。
それでも孤立してしまった若者に対しては、行政だけでなく、民間の支援団体を含む社会全体でアプローチすることが大切だ。そうした周囲の助力によって社会とつながることができれば、行政による職業訓練のプログラムなどを通じ、立ち直っていけるのではないか。
人生には色々な道がある。人は皆、つまずきながら成長していくものだ。若者たちに繰り返しそう伝えていく必要がある・・・

行政以外の政策実行主体

2022年2月19日   岡本全勝

2月7日の日経新聞夕刊に、斉藤徹弥・編集委員が、「新たな官民連携「GaaS」 政策実行の主体が多様に」を書いておられます。

・・・新型コロナウイルス下で国や自治体の行政が逼迫しています。人口減少や財政難でコロナ前から人員を抑えてきたこともあり、民間のNPO法人や企業が肩代わりする場面が増えてきました。これまで自治体が担っていた政策を実行する主体が多様になり、官民連携の幅が広がっています。
ガバメント・アズ・ア・サービス(GaaS、ガース)という言葉があります。必要なときに必要な行政サービスを提供するデジタル政府を指すことが多いようですが、総務相を務めた増田寛也東大客員教授は別の意味を持たせます。
そのときに最適な交通機関を使うMaaS(マース)に倣い、行政サービスによって国や自治体、NPO、企業のうち最適な主体が実行するという考え方です・・・

記事では、次のような事例が紹介されています。一人親の子どもに食事を提供する事業について、経費を国が全額負担するのに、手を上げた市町村は1割もありません。コロナ対応で手一杯が理由だそうです。NPO法人のフローレンスは、市町村を介さずに直接NPOに予算を渡す仕組みを国に提案して、認められます。

私も、東日本大震災の際に、企業や非営利団体にさまざまな提案をいただき、また実行してもらいました。そこから考えて、連載「公共を創る」で「公私二元論から官共業三元論へ」を説明してます。

母子手帳の効果

2022年2月17日   岡本全勝

日経新聞の医療健康面、毎週火曜日に、板東あけみ・国際母子手帳委員会事務局長が、母子手帳について連載しておられます。2月1日の第1回は「日本生まれの母子手帳」でした。
母子手帳が日本で発明され、海外にも広がっていることは有名です。ここでは、学生たちが自分の母子手帳を読み返す効果が書かれています。

大学の授業の際に、自分自身の母子手帳を持参してもらうのだそうです。自分の母子手帳をじっくり見るのは、多くの学生にとって初めてです。
学生の一番目を引く場所は、余白に書かれている記述だそうです。初めて寝返りができた、離乳食が進まないなど、何気ない喜びや悩みが書かれていて、自分が大事に育てられてきたことを実感します。
それが、自己肯定感につながっているようです。

「国難災害と緊急消防援助隊 」

2022年2月16日   岡本全勝

室田哲男著『国難災害と緊急消防援助隊 (緊急消防援助隊の災害対応力の強化に向けて) 』(2022年、近代消防社)を紹介します。

警察(都道府県)や消防(基本的に市町村)は自治体の業務であり、国が運営している自衛隊とは、国全体で見た場合に運用の形が違います。現場に近い方が、より密着した活動ができるのですが、大規模災害などに出動する場合は、自衛隊は大臣の命令でできますが、消防や警察は他団体への応援になります。阪神・淡路大震災の際にこの問題が認識され、より効率的な活動ができるように改革されてきました。

この本は、「大規模災害時に全国から被災現場に駆け付け救助活動を展開する緊急消防援助隊の仕組や実態、課題について、体系的に解説した唯一の書」です。
国全体で対応しなければならない、しかし実行は自治体が担う場合は、いろいろな場合があります。社会福祉、教育などです。平時では議論する時間があるのですが、緊急時は対応が急がれます。最近では、新型コロナ感染症対策で「緊急事態における国・地方関係の在り方」が議論になっています。緊急消防援助隊の指揮・調整は、その参考になります。