カテゴリーアーカイブ:地方行政

地方分権改革 提案募集方式

2018年3月14日   岡本全勝

月刊『地方財務』3月号が「地方分権改革 提案募集方式の展開」を特集しています。巻頭に、大村慎一・内閣府地方分権改革推進室次長が「提案募集方式の成果と今後の課題」を概説しています。
第一次分権改革は、「委員会勧告方式」で進みました。それは、全国共通の制度について勧告を受け、法令を見直しました。平成26年からは、「提案募集方式」をとっています。全国一律でなく、地域の個性を生かすこと、地方の発意を生かすことが、特徴です。

4年やってみて、提案に対する実現や対応の割合は、平成26年の64%から年々上昇し、29年では90%になっています。
提案内容は、放課後児童クラブ、保育所、給食費のコンビニ納付、タクシーの貨客混載、所有者不明土地など、生活に密着したものとなっています。
また、提案が実現することになったもののうち、法律改正が20%、政省令改正が7%、告示や通知が53%、自治体への情報提供が20%です。法令ではなく、運用が支障になっていることがわかります。
具体的な提案と改善例が紹介されています。ご関心ある方は、お読みください。

シェアリングエコノミーで地域活性化

2018年2月13日   岡本全勝

シェアリングエコノミーが、一つの流行になっています。「個人が保有している遊休資産の貸出を仲介するサービス。それもインターネットを介して行われるもの」というのが定義のようです。はやり言葉ですから、きっちりとした定義はありません。
これを活用して、地域活性化につなげようという動きがあります。
三井住友海上火災が、シェアリングエコノミー協会と、自治体向けに、先進的な取り組みを紹介するセミナーを開くそうです。
おしらせ プログラム

行政だけでなく、民間の知恵と力を活用して、地域を元気にしようとする試みです。
総務省でも、いろんな取り組みをしています。

人口減少地区でのサービス維持

2018年2月10日   岡本全勝

1月29日の日経新聞が、「小売店などの撤退で生活に支障をきたしている地域を抱えた自治体が4割に上ることが判明、自治体主導で店舗やガソリンスタンドを設ける事例もあった。小規模集落を抱えたところも多く、住民の生活をどう支えるのか試行錯誤している」と伝えています。「店舗閉鎖「生活に支障」4割 人口減市町村
調査対象は、2015年の国勢調査人口が、2010年に比べて10%以上減少した220市町村です。回答は175です。
市町村は、ガソリンスタンドや商店を設けたり、バスを走らせたりしています。集落が消滅する事例も出ていますが、住民が減った地域でどのように商業サービスを維持するか。新しい課題です。

地方議会の課題

2018年2月3日   岡本全勝

2月1日の朝日新聞オピニオン欄は、前長野県飯綱町議会議長・寺島渉さんの「地方議会は変えられる」でした。
・・・なり手不足を解消しようと、夜間議会、日曜議会、若手への報酬の増額などを始めている議会がありますね。形式的な改革ばかりをしても根本的な解決にはなりません。なり手がいないし、議員も多すぎるといわれるし、安易に定数削減をすると、二元代表制を弱める危険性すらあります。
今の地方議会には魅力がない。身近に議員がいなくて、話す機会もない、何をやっているのかわからない。そんな不信感から住民が議会から遠ざかっている。そこを改善しなければなりません。
地域の課題が変化しているのに、議員が変わっていない。昔は生活の基礎、農道や用水路のハード整備など鮮明な行政への要求がありました。現在は地域のインフラ整備も一段落し、子どもをどのように地域で育てるのか、高齢者の福祉をどうするのか、集落ではなく町全体で共通の課題を考えなければいけなくなった。そのために、議員は政策立案していくことが求められますが、その姿勢がない。首長の追認機関のままでいいという議員もいる。それが住民との間にギャップを生んでいます・・・

・・・議員を出す地域の機能が低下しているんです。集落は行政、農業、生活、住民自治の基礎ですが、若者が流出し、高齢化で基礎がぐらついている。昔は農協青年部の米価闘争など政治活動を学ぶ場所が身近にあった。
今はいかに個人がインターネットなどを使って稼ぐか。横の連携が弱くなって、集落の中で人々が個々に分断されています。集落が男性中心の運営で昔から変化しないことも問題です・・・

北村亘先生の新著『地方自治論』

2017年12月16日   岡本全勝

北村亘・大阪大学教授が、『地方自治論 2つの自律性の狭間で』(2017年、有斐閣)を出版されました。お三方の共著です。
大学での地方自治論の入門的教科書です。「これまでに出版されてきた研究書や論文の成果をできるだけ取り入れて、わかりやすく書いたつもりです」と書かれています。
また、「地方自治の研究者の関心を意識すると、学生の視点から乖離する。そのバランスをどう取るかについて苦労した」との趣旨のことが書かれています。

そこなのですよね、大学の授業や教科書を書く際の苦労は。相手が地方自治を専門に学ぶ人や自治体職員なら難しくてもよい、いえどんどん詳しくしてもかまいません。
しかし、学部生は、彼らの関心の一つとして地方自治論の授業を取っています。また、地方公務員になる人も多くはありません。
すると、話を何に絞るか、最低限何を理解してもらうかを考えなければなりません。そして、興味を持ってもらうことも、必要です。
本書では、制度論だけでなく、地方政治や地方行政の運用や実態について、多くの記述がされています。学生には、取っつきやすいでしょう。

本書では、2つの自律性に着目しています。一つは、地域社会に対する地方政府の自律性です。住民自治の世界です。もう一つは、中央政府に対する地方政府の自律性です。団体自治の世界です。
また具体政策分野として、教育、子育て、高齢者福祉を取り上げています。わかりやすい、読みやすい教科書です。