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東日本大震災 復興が日本を変える-行政・企業・NPOの未来のかたち

2016年3月1日   岡本全勝

2016hukkou
(2016年3月) 
アマゾン
紀伊國屋ぎょうせい
丸善・ジュンク堂


大震災以来5年。私は、引き続き政府の復興の中枢で、事務方の責任者を務めました。その間の経験と考えたことと、何を変えたかを本にまとめました。また、大震災直後からの対応と復興の記録とともに、これからの地域づくりの指針を示しました。
今回の復興では、企業やNPOの貢献が目立ちました。また、産業再生やコミュニティ再建が必要でしたが、行政だけでは有効な政策を打てません。そこを、企業やNPOとの連携で進めたのです。そこで、藤沢烈さん、青柳光昌さんと共著で、行政と企業とNPOの役割分担と連携を論じました。第1章と第4章を私が書き、第2章を藤沢さんが、第3章を青柳さんが執筆しました。
役所の報告書のような硬めの文章でなく、読みやすい語り口にしました。写真も、たくさん載せました。
私が5年間にしたことと、考えたことの総括です。とともに、行政、企業、NPOに向けての、プロパガンダになっています。
私が伝えたかったことは、次のようなことです。
1 未曾有の大災害に対し、政府はどのような対応をしたか。これまでにない新たな対策を次々と打ちました(ただし、原発事故は私の所管外でしたので、含まれていません)。
2 急きょ立ち上げた被災者生活支援本部を、どのように運営したか。
3 被災者支援と復興の過程で、「国土の復旧」から「暮らしの再建」へと、施策を広げ、哲学を変えたこと。
4 町を復興するには、インフラだけでは不十分で、産業の再生とコミュニティ再建が必要であること。
5 地域づくりは、行政だけでなく、企業やNPOも大きな役割を担っていること。
6 これからの地域づくりには、行政・企業・NPOの連携が必要であること。しかし、その取り組みは、これからの課題であること。
また、第2章と第3章では、企業の貢献やNPOの活躍事例が紹介されています。新聞などでは個別に取り上げられていますが、分野や手法などを総合的に分析した報告は、この本が初めてではないでしょうか。企業にあっては、本業の再開が重要なことと、お金や物資といった無償支援でなく本業を生かした貢献が広がったことが、今回の特徴です。NPOにあっては、個人ボランティアの労働奉仕だけでなく、組織的かつ継続的に技能を持って活動するNPOの役割が認識されたことが、特徴です。(2016年3月1日)

書評などは「東日本大震災 復興が日本を変える2」へ。

(目次)
はじめに―日本を変えよう
第1章 変化する行政
第1講 試された政府の能力、第2講 初めての支援と新しい制度、第3講 哲学の転換
第2章 公共を支える企業
第1講 企業は復興をいかに支えてきたか、第2講 企業と社会貢献
第3章 被災地を支えるNPO
第1講 NPOの活動に変化が生まれた、第2講 NPOが社会課題へ向き合うこと
第4章 日本社会の変化
第1講 町の暮らしを再建する、第2講 公と行政の変化

「はじめに」から抜粋
2011年3月11日、マグニチュード9.0という巨大地震が起き、千年に一度の大津波が、東日本の太平洋沿岸に未曾有の被害をもたらしました。続いて、東京電力福島第一原子力発電所が炉心溶融と水素爆発を起こし、大量の放射性物質を放出するという大事故が起きました。
「東日本大震災が大きな被害をもたらしたのに、日本社会は変わっていない」という人もいます。しかし、私は、この言い方について、次の2つの面から疑問があります。
まず、大災害が起きたら、社会は変わるものでしょうか。確かに、大震災は日本社会に大きな衝撃を与えました。大津波はたくさんの街並みを飲み込み、多くの人命を奪いました。原子力発電所の事故は、原発の安全神話を吹き飛ばすとともに、科学技術への信頼も揺るがしました。自然の脅威や科学技術への信頼について、国民の意識を変えたことは、間違いありません。しかし、社会に大きな衝撃を与え、国民の意識を変えたとしても、それだけでは社会は変わりません。無常観や不信感が広がるだけです。その衝撃をきっかけに、国民が行動を起こし仕組みを変えなければ、日本社会は変わりません。
第2次世界大戦の敗戦は、日本社会を大きく変えました。それは、戦後改革が行われ、民主化や自由化が進んだからです。阪神・淡路大震災で、ボランティア活動が社会に認識されました。それは、多くの若者が支援活動に駆けつけたからです。社会が変わるには、私たち日本人が変えようとしなければならないのです。
次に、東日本大震災によって、日本社会は実際に変わったのかどうか。私は、日本社会は変わったし、変わりつつあると考えています。その中で、私たちには今、何をどのように変えようとしているのかが、問われているのです。「大災害が起きたら社会は変わる」というだけでは、何がどう変わるかがわかりません。
大震災をきっかけに、何がどう変わりつつあるのか。本書では、行政の変化、企業の活動、NPOの活躍といった、3つの「主体」の変化を紹介します。国や自治体は、これまでにない対応を行いました。企業は事業を素早く再開することで、復旧を支えました。その後も、社会責任と社会貢献によって、復興を支援しています。また、今回も多くの個人ボランティアが被災者支援に駆けつけましたが、それに加えて組織ボランティアとしてのNPOが専門能力を生かして復興の支援に活躍しています。それぞれが、大震災を契機に、新たな取り組みを行ったのです。
行政、企業、NPOが、それぞれ様々な活動を行いました。それは一見、ばらばらな動きに見えますが、日本社会を変えるという視角で見ると、同じ方向に向かっていることが見えてきます・・・

(詳細目次)
はじめに―日本を変えよう

第1章 変化する行政
第1講 試された政府の能力
「前例がない」への挑戦、責任組織の設置と運営、官僚の本分、組織を進化させる
第2講 初めての支援と新しい制度
きめ細かな支援、新しい政策
第3講 哲学の転換
「防潮堤で守る」から「逃げる」へ、「国土の復旧」から「暮らしの再建」へ、課題解決先進国ニッポンへ

第2章 公共を支える企業
第1講 企業は復興をいかに支えてきたか
社会貢献が新しいビジネスをつくる、本業を通じて社会に貢献する、支援企業と被災地をつなぐ
第2講 企業と社会貢献
日本企業は社会貢献といかに向き合ってきたか、企業による社会貢献に関する3つの先行理論、企業による地域へのかかわり方の3ステップとは、セクターを越えて連携できる企業・行政・NPOとなるために

第3章 被災地を支えるNPO
第1講 NPOの活動に変化が生まれた
NPOが覚醒する、地域での連携・地域を越えて連携を推進し社会課題に向き合う、行政との連携で課題解決を追求、資源調達をサポートする専門機関の登場
第2講 NPOが社会課題へ向き合うこと
ボランティアからNPOへの変遷、連携と「コレクティブ・インパクト」、NPOの今後―経営基盤強化と新しいリーダーシップ

第4章 日本社会の変化
第1講 町の暮らしを再建する
町をつくるモノ・機能・つながり、進化する復興、地域の財産
第2講 公と行政の変化
社会を支える3つのシステム、行政の変化、自治体・企業・NPOへの期待 

執筆。平成27年の回顧、その2

2015年12月30日   岡本全勝

さて今年は、少し執筆が進みました。
『地方財務』2015年4月号に、「復興の現状と課題―未曾有の事態へどのように対応してきたのか」を書きました。これは、4年経った時点での復興の現状と課題だけでなく、これまでにない課題にどのように対応したか、そしてどのように組織を作ったかを書きました。私と職員たちの、この4年間の努力=技と作品=苦労の記録です。
続いて、もうじき発災5年になるので、これまでの記録を残しておこうと、原稿を書いています。役所的な記録でなく、読み物にしました。私がしたことや見たこととともに、企業やNPOの貢献も書こうと、民間人2人と共著です。
これまで何度も、書きかけては挫折したのです。すぐに時間が経って状況が変わり、書いた原稿が使い物にならなくなりました。しかし、5年ということは、もう限界でしょう。今回は、編集長に締めきりを決めてもらい、また2人を引きずり込むことで、退路を断ちました。3月には、出版される予定です。乞うご期待。今日も、その校正をしています。
もう一つは、連載「明るい公務員講座」です。「明るい係長講座」(1996年)を、いつかは本にしようと考えていたのですが。これも、なかなかきっしょが立たず(「きっしょをたてる」は関西弁だそうです)。今回、連載の形で、自分を追い込みました。
こちらの方は、まだ連載7回です。原稿は第10回まで渡してあるのですが、編集長に今後の予定を聞いたら、30回までの発行日程が送られてきました。え~、そんなに続きまへんわ。
というので、この9月からは、単行本と連載の原稿執筆とで、「二正面作戦」を余儀なくされていたのです。しかし、私の経験を後輩に伝え、世間に理解してもらうことも義務だと心得て、休日に頑張っています。好きな美術館巡りや散歩も辛抱して。

省庁改革の現場から

2015年11月27日   岡本全勝

2001年、出版社ぎょうせい刊

平成13年1月に省庁改革が実行され、省庁の数は半分に削減されました。新しく内閣府も作られました。経済財政諮問会議が作られたのも、この改革です。私は、この改革を準備するために内閣に設置された「改革本部」に2年半勤務しました。その体験と現場から見た改革をまとめたのが、この本です。
明治時代に内閣制度ができて以来、初めての本格的省庁改革でした。また、単に数を減らすだけでなく、政治主導、政策評価、独立行政法人など、行政システムの改革でもありました。戦後いくつかの行政改革がありましたが、もっとも成功した例でしょう。
本書では、今回の改革の概要と、またなぜ改革が成功したかを解説してあります。あわせて、改革後の国家行政機構の概要も説明してあります。

平成14年2月10日の読売新聞読書欄にも、取り上げられました。国の行政機構の入門書にもなっています。これから国家公務員になろうと思っておられる人は、一度お読み下さい。類書がないので、役に立つと思います。

「省庁改革の現場から」

「省庁改革の現場から-なぜ改革は進んだか」
目次
第一章 中央省庁等改革推進本部
1 平成10年の夏
2 事務局の仕事
第二章 何が変わるか、変わったか
1 省庁の再編
 (初めての大幅削減、省庁間の政策調整)
2 政治主導の強化
 (内閣機能の強化、内閣官房の強化、内閣府、副大臣・大臣政務官)
3 スリム化
 (国の行政組織の概要、組織整理、公務員の定数削減、機能の減量)
4 独立行政法人制度の創設
5 評価と公開
 (政策評価、情報公開)
第三章 どうして改革は進んだか
1 経過
 (行政改革会議、基本法)
2 今なぜ省庁改革か
 (戦後50年の成果と負の遺産、これまでの行政改革)
3 なぜ改革は進んだか
4 地方自治体に活かせること
 (スリム化からシステム改革へ)
第四章 残されたこと
1 批判と課題
2 「この国のかたち」と次なる改革
 (改革の構図)
最終章 平成13年1月6日

「新地方自治入門-行政の現在と未来」

2015年11月27日   岡本全勝

2003年10月発行

 

東京大学での講義(2002年度)を加筆し、専門誌『地方行政』(時事通信社)に「地方自治50年の成果と課題」という表題で連載しました(2002年7月~03年4月)。それを、単行本にまとめ「新地方自治入門-行政の現在と未来」として、2003年10月に時事通信社から出版しました。

これまでの地方自治の教科書は、地方自治法の解説です。本書は、制度の解説だけでなく、それが果たした機能や、果たしていない問題点を中心に解説しました。これまでにない本だと自負しています。地方公務員や議員さん、一般の方にも読んでもらえるよう、記述にも工夫を凝らしました。
私は、戦後の日本の地方自治体は、ナショナル・ミニマムと社会資本整備という課題を、実に良く達成したと考えています。日本の経済成長の成果の上に、行政機構や地方財政制度がうまく機能したからです。「明確な目標」「潤沢な財源」「効率的な行政機構」が、成功を支えた要件でした。しかし、豊かになったのに、日本人は幸せを感じません。住民も、地方自治体に対し、満足を感じません。自治体がこのままの路線を続けても、住民は評価してくれないでしょう。これまでの課題がほぼ達成された今、地方行政は次なる目標を探しあぐねています。また、現在の地域の課題に必ずしも的確に答えていないと思います。
地方行政そして日本の政治は、目標を転換するべき時がきています。それはまた、日本経済・日本社会・日本人の思考の転換でもあります。成功の3条件はそれぞれ「目標の喪失」「財政の制約」「行政の機能不全」という足かせになりました。これまでの行政は、「モノとサービス」の充実でした。それは、お金があれば「買え」ました。それに対し、これからの地方自治に求められているのは、「関係と参加」です。これまでの成果を振り返り、「豊かな社会の政治と行政」に求められていることは何かを考えることで、日本社会を分析しています。

先日予告していたように、第4刷りができました。一昨年の10月に出版してから、2年間で4刷りです。嬉しいですねえ、多くの人に読んでいただけるのは。いくつかの大学や大学院の授業で、テキストや参考書に使っていただいているようです。
本人は、「これからの地方行政の標準的教科書」と思っています。だって、これまでの教科書は、地方自治法の解説であったり、地方財政制度の解説であって、地方行政の全体像を書いた本ってないですよね。また、その機能や効果、そして問題点も書いていません。それに比べ、拙著は入門と銘打って、コンパクトな本ですが、かなり広く高度なことが書いてあるんですよ。「類書がない」というのが、自慢です。目指せ、売り上げ部数『バカの壁』(こればっかり言ってますね。笑い)。(2005年6月30日)

(拙著が、大学入試に使われました)
今日、ある予備校から、書類が届きました。何だろうと思ってみると、私の著書の転載使用許可を求める依頼でした。なんと、拙著『新地方自治入門』の文章が、大学入試に使われたとのこと。その予備校では、2014年度大学入試小論文問題集を発行するので、問題を転載するのだそうです。
私の文章を使ってくださったのは、金沢大学人間社会学部です。拙著の第11章「住民の意識」から6ページ分を引いて、3つの問を作ってあります。それぞれ、200字~300字で答を書く、小論文試験です。
この本の第3部では、これからの地方行政を考える際に、取り組むべき課題(対象)、誰が解決するのか(主体)、どのように解決するのか(手法)という「機能としての地方行政の課題」とともに、地方公共団体に何を期待するのか、そして住民の意識を変える必要があるという「思想としての地方行政の問題」があることを述べました。その最後の部分です。
この本は、東大の大学院での授業を本にしたものですが、大学生だけでなく自治体の職員や議員さんに読んでもらうように平易に書きました。また、この第3部は、狭い意味の行政学でなく、日本社会の問題として広い視野で書いたので、高校生にも理解してもらえるのでしょう。もちろん、高校生が読むような本ではないので、受験生は初見だったでしょう。取り上げてくださった先生に、感謝します。
それにしても、うれしいですね。とともに、出版から、もう11年も経っています。版元でも、在庫はなくなりました。古本では、出ているようです。こんなに評価してもらえるのなら、早く改訂しなければなりません。でも、他に書かなければならないテーマがあって、そちらも放置したままですし・・。(2014年6月9日)

(拙著が、大学入試に使われました。2)
先日、拙著『新地方自治入門』の文章が、金沢大学の入試に使われ、ある予備校の入試小論文問題集に、それが載ることを書きました(6月9日)。
今度は、別の出版社から、同じような転載許可の求めが来ました。うれしいですねえ。
ところで、受験生にとって、私の文章は難しいのでしょうか、また入試の設問は難しいのでしょうか。(2014年8月19日)

目次

第Ⅰ部 地方行政の成果
第一章 地方自治五十年が得たもの
1 戦後日本の経済発展 2 地方行政の成果 3 成功を支えた条件 4 成功の先にあるもの

第Ⅱ部 地方行政の現在
第二章 地方行政の仕組み
1 中央政府と地方政府 2 地方公共団体の仕組みと仕事 3 仕事の仕組み
第三章 地方公共団体の問題点
1 規模の問題 2 分権の必要性 3 総合行政主体を目指して
第四章 地方財政の現状
1 暮らしと地方財政 2 市の財政 3 地方財政と国家財政の関係 4 財源保障と財源調整の仕組み
第五章 地方財政の課題
1 巨額の財政赤字 2 財政再建のために  3 国からの自立を目指して 4 住民自治を支える
第六章 地方行政がなすべきこと
1 地域社会の課題と地方行政の仕組みの課題 2 新しい地域の問題群 3 新聞記事と市の総合計画のずれ 4 豊かな社会の地方行政を考える

第Ⅲ部 地方自治の未来
第七章 地域の財産とは
1 住み良い町の条件 2 広い社会的共通資本 3 行政目標の再検討を
第八章 公の範囲
1 公共主体の分散 2 サービスの主体 3 公の機能とは
第九章 行政の手法
1 手法の分類 2 評価の必要性 3 手法が難しい政策分野
第十章 政治と行政の在り方
1 地方政治と地方行政の違い 2 政治に期待されること 3 公と政治の在り方
第十一章 住民の意識
1 意識の分権の必要性 2 私たちの思考の枠組み 3 二十世紀型思考を超えて