カテゴリーアーカイブ:社会の見方

日本国債の格付け

2007年7月3日   岡本全勝
3日の東京新聞が、日本国債の格付けを解説していました。アメリカの格付け会社スタンダード・アンド・プアーズは、4月に日本の長期国債の格付けを、AAー(ダブルエー・マイナス)から、AAに引き上げました。「財政再建、金融政策の正常化、構造改革に進展が見られる」との説明です。
2001年までは、最上位のAAAだったのですが、その後、国債発行残高の急増や財政硬直化を理由に引き下げられました。今回の引き上げは喜ばしいことなのですが、手放しでは喜べません。この格付けは、チリや香港並み、G7ではイタリアの次に低いのです。別の会社のムーディーズでも、G7で最低、台湾、チリ、ボツワナより低いのです。
2002年に、日本国債が「ボツワナより下になった」ことが問題になりました。ボツワナには失礼なのですが。その際の議論を、調べたことがあります。財務省は、格付け会社宛の意見書の中で、次のような主張をしました。
「1 日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。
2 格付けは財政状態のみならず、広い経済全体の文脈、特に経済のファンダメンタルズを考慮し、総合的に判断されるべきである。例えば、以下の要素をどのように評価しているのか。
 ・マクロ的に見れば、日本は世界最大の貯蓄超過国
 ・その結果、国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている
 ・日本は世界最大の経常黒字国、債権国であり、外貨準備も世界最高」
これに対し、格付け会社のフィッチ・レーティング社は、回答の中で次のように述べました。
「・・・日本政府は紙幣の発行か債務不履行のいずれかでしか抜け出すことのできない、国内債務の罠に填ってしまうかもしれません。そのようなシナリオでは、日本政府は巨額な国内債務の残高全額の紙幣発行に至るような財務破綻や経済不安のリスクを取るよりはむしろ、債券保有者との債務リスケジュール(返済繰延べ)を実施する可能性があります。」
すなわち、財務省は、日本は対外的に債権国であり、国債はほとんど国内で消化されているから問題ないと主張しました。一方、格付け会社は、巨額の政府債務=国の財政運営を問題視し、国債の格付けを低くしたのです。問題視されたのは日本経済でなく、国の財政運営能力でした。

失敗したアジア通貨基金構想

2007年6月30日   岡本全勝
30日の朝日新聞変転経済は、アジア通貨危機「97年9月、基金設立は失敗した」でした。
1997年のアジア金融危機は、夢物語に過ぎなかった「アジア通貨圏」が現実の課題だということを域内各国に意識させた。その一歩となるはずの「アジア通貨基金」構想は、日本の覇権を警戒する中国がそっぽを向いて失敗する・・
経済というのが、いかに政治と関係しているかが、よくわかります。

骨太の方針2007の意義2

2007年6月27日   岡本全勝
25日の日経新聞経済教室は、大田弘子経済財政担当大臣による「骨太の方針」の解説でした。(6月25日)
日経新聞経済教室「経済財政改革」は、26日は鶴光太郎さんの「社会保障・歳入一体で。負担論議、正面から」でした。
・・諮問会議が政策決定に関与するこれまでの会議と大きく異なるのは、民間人を含む比較的少人数の会議で実質的な議論が行いやすい上、3営業日後には詳細な議事要旨が公表されるという徹底した透明性にある。先天的に色がついていたり、ビジネスモデルがあるわけではないという面でも透明な存在だ。むしろその特色は、その時の首相の要因(その置かれた政治的状況、信条)、経済財政相の要因(政治的手腕、信条)、さらに首相と経済財政相の関係という3つの要因の組み合わせで、どのようにでも変化しうる点にある・・
また、竹中大臣の対決型から、与謝野大臣の協調型に変化したと分析し、「協調型の諮問会議を活用すべきである」との主張しておられます。
27日は、中谷巌さんの「諮問会議、求心力取り戻せ。象徴的事業を発信」でした。

国民生活白書

2007年6月27日   岡本全勝
26日に「国民生活白書」がでました。今年のテーマは、つながりが築く豊かな国民生活です。26日の日経新聞夕刊が、比較的詳しく解説していました。
白書では、家族・地域・職場の3つのつながりで分析しています。家族を最優先する人が増えていますが、長時間労働や塾通いで、家族が一緒にいる時間が少なくなっています。サラリーマンや単身者は地域から孤立しがちで、5人に1人は地域社会から孤立しています。
私は「新地方自治入門」p258で、地域の財産として、関係資本や文化資本が重要であると主張しました。このような地域の力が弱くなったことも、指摘しました。そして地方行政の課題として、モノとサービスの20世紀から、関係と参加の21世紀に変化することが必要であると述べました(p346)。

世論調査とは何か

2007年6月24日   岡本全勝
24日の朝日新聞は、「本社世論調査に見る世論って」を詳しく解説していました。
世論調査を受けた際に、直感で答える人が60%、じっくり考えて答える人が32%です。内閣支持の基準は、期待が46%、評価が41%です。好きかどうかの印象は、6%でしかありません。政治家が世論をつくっていると考えている人は20%、逆に政治家が世論に迎合していると見ている人が31%です。メディアが世論を作っていると考えている人は50%に上ります。