カテゴリーアーカイブ:社会の見方

日本と世界の経済の動き

2016年4月11日   岡本全勝

滝田洋一・日経新聞編集委員が「世界経済大乱」(2016年4月、日経新聞出版社、日経プレミアシリーズ新書)を、出版されました。なかなか刺激的な表題ですが、昨今の経済状況を見ると、なるほどと思います。それは、読んでいただくとして。
2016年に入ってから、世界経済が変調を来しています。中国経済の減速、原油を初めとした資源安。それにヨーロッパの政治と社会の不安定化、中東の混乱、アメリカ大統領選挙の行方・・・。日本の政治経済も、これらの国際条件を抜きに、語ることはできません。
日本と世界の経済の直近の動きを知りたい人は、ぜひお読みください。日本と世界の、そして表と裏の情報を知り尽くした記者の新著です。
2008年秋、麻生内閣が発足したとき、リーマンショックが世界を襲いました。それに対して、1929年世界大恐慌を再来させないことを念頭に、主要国の首脳が連絡を取りつつ努力をしたことを思い出します。当時、アメリカは震源地でありながら大統領選挙中、ヨーロッパはサブプライムローンの影響が大きく身動きが取れませんでした。世界第2位(当時)の経済大国日本と、麻生総理に促されて、3位の中国が財政出動に動いたのです(本書p123。当時、総理秘書官としてこれに当たっていたのが、浅川雅嗣・現財務官です。本書にもしばしば登場します)。
ところで、一番新しい経済の動きは、毎日の新聞やニュースが伝えてくれます。しかし、私たちのように直接関わる仕事をしていないものにとっては、それらのニュースを追うことは、手間がかかります。他方で、学者や研究者が分析してくれるものは、1年以上も後になります。その間を埋めるのが、このような新書です。高度に分析してくれる月刊誌があれば、有用なのですが。

若者の見方、将来は明るい

2016年4月8日   岡本全勝

朝日新聞4月8日朝刊1面の世論調査結果から。今回の調査18歳、19歳の人3千人を対象にして、回収率は70%です。
収入などの格差については、「行き過ぎている」と考える人が59%、収入などの格差があるのは「社会のしくみによる面が大きい」とした人も59%です。いまの日本は、努力しても「報われない社会だ」と考える人も56%。収入や就職の面で、若い人たちが「自立しにくい社会だ」とした人は82%にもなります。他方で、 自分の将来について尋ねた質問では、「明るい」とみる人59%が「明るくない」30%を上回っています。これはよい結果ですね。

建築の職人さん

2016年4月4日   岡本全勝

富山県建築士会が、『建築職人アーカイブ―富山の住まいと街並みを造った職人たち』(2016年、桂書房)を出版しました。
家を建てる際にお世話になる職人さんたちの紹介、聞き語りです。木挽、製材、大工、左官、瓦葺き、畳、造園などなど。聞けば、知っている職人さんたちです。大阪城を建てたのは誰か、というなぞなぞがあります。答は豊臣秀吉ではなく、大工さんです。でも、大工さんだけでは家はできないのですよね。建築士会は、建築士=設計者の団体です。社会的地位も高く、有名な建築家や事務所は知られています。それに比べて、職人さんたちは身近な存在であり、「高名」ではありません。しかし、職人さんがいなければ、家は建ちません。
私も読み始めましたが、なるほどと勉強になります。私の家も、この人たちにお世話になって、できたんですよね。
畏友の小林英俊さんから、「宣伝せよ」との指示が来たので、紹介します。小林さん自身が建築士で、この本の編集を担当しました。私にとっては、富山県庁時代のバンドマスターです。当時は、県庁職員でした。ほかにも専門家的趣味があり、異能の人です。睡眠時間を削って、頼まれた仕事や頼まれもしない仕事をする、「偉大な世話役」です。

「日の丸」救済策に限界

2016年4月3日   岡本全勝

4月1日の読売新聞「論点スペシャル」「シャープ買収で見えたもの」から。その2。大橋弘・東大経済学部教授の発言。
・・・アジアの産業は、かつて日本が引っ張る雁行型の発展を遂げてきた。最初は、日本の繊維が栄えた。次第に技術で追い上げられ、繊維は後発国に移る。代わりに日本では、鉄鋼、機械などが成長し、それが順に後発国に移った。つまり、電機も昔の繊維のようになったということだろう。
その後、繊維では東レや帝人などが技術革新で次の発展を遂げた。電機産業が今後どこに進むのかが今、問われている・・・
そうですね。かつて日本の電機産業は、欧米の電機メーカーを廃業に追い込みました。彼の地では、テレビを作る企業がなくなったのです。ビデオテープレコーダーは、日本がほぼ独占しました。
それと同じことが、30~40年遅れでアジアで起きています。そして生き残るためには、次の事、新しいことを考えなければなりません。シャープの液晶「亀山モデル」の歴史を見ると、どんな立派な技術でも「安住」はないと言うことですね。

優れた技術だけでなく、生活を変革する製品を

2016年4月2日   岡本全勝

4月1日の読売新聞「論点スペシャル」「シャープ買収で見えたもの」から。石川正俊・東大情報工学系研究科長の発言
・・・シャープの液晶が優れた技術であることは間違いない。しかし、製品の根幹となる液晶のような技術を磨いていればモノが売れる、という産業モデルは時代に合わなくなっている。日本はとっくにそのことを学んでいたはずだ・・・
・・・大事なのは、技術力を磨くだけでなく、新しい社会価値を生みだす製品や市場を作ることだ。それを実現したのが米アップルの「iPhone」だ。暮らしや経済を変えるシステムを生みだした・・・
・・・私は長年、ICT分野で産学連携をしている。その体験から言えるのは、日本企業には貪欲さが乏しいことだ。私の研究成果が新聞などで報じられると、欧米、台湾、韓国の企業はすぐにメールや電話で接触してくる。日本企業は、早くて1か月後だ。社内の了解を取るのに時間を費やしている・・・