カテゴリーアーカイブ:社会の見方

世間で広がる英会話

2024年8月21日   岡本全勝

先日の地下鉄駅でのことです。外国人旅行者と思われる家族連れに、駅員さんが英語で話していました。説明を受けて家族は、出口に向かって進んで行きました。
駅員が手すきになった頃合いを見て、質問しました。「英語は必須ですか」と。駅員さん曰く「はい、しゃべれないと仕事になりません」とのことでした。
車内放送でも、録音でなく、車掌さんが英語で説明しています。

東京の地下鉄や鉄道は、外国人観光客がたくさん乗っています。ロンドンやパリでも、観光客と思われる人がたくさんいますから、東京も同じようになったということですね。
外国企業を相手にするような専門の職場だけでなく、訪日外国人が増えて多くの職場で英語が必要になりました。ホテルはもちろん和風旅館でも、従業員が英語を話すようになりました。中国語を話す従業員も増えています。

かつては、「私は英語は話せません」と変な自慢をする人がいました。中学3年間、高校3年間、場合によっては大学4年間(予備校1年間)も英語を習っていながら、話せないのはおかしいですよね。難しい学術用語を使うのではなく、日常会話です。
学校での英語教育は、将来使わない場合は教養でしかありませんでした。しかし職業に必要となると、習得に力が入るでしょう。

博物館の外国人訪問者

2024年8月20日   岡本全勝

先日、キョーコさんのお供で、東京国立博物館「神護寺展」に行きました。暑い日が続いていますが、今行っておかないと行けないだろうと決心しました。
展示物については、それぞれに素晴らしいものですが、それについては実物を見ていただくとして。千年もの間引き継がれてきたことに驚きます。それらは、紙、絹、木でできています。火災や虫、盗難の危機を乗り越えて、守られてきたのです。

ここで述べたいのは、その混雑ぶりです。夏休みの時期もあるのでしょうが、大変なにぎわいで、切符売り場には長蛇の列ができていました。事前に切符を入手していたので、並ばずに入りましたが。
会場も、混雑していました。展示物は、仏像と掛け軸、書類ですから、美術展とは異なりそれほど華やかではなく、わかりやすいものでもありません。子どもを連れて行ったら、「つまらない」と言いそうです。

私の観察では、この会場と本館では、半数以上が外国人観光客と思われる人たちでした。でも、ルーブル美術館に行っても、大英博物館に行っても、プラド美術館に行っても、大半が外国人観光客とおぼしき人ですよね。
私はかつて外国からのお客さんに、東京国立博物館(特に埴輪)、皇居東御苑、大名庭園跡を勧めていました。訪日外国人が増えると、日本らしさを見るために、博物館に行く人も増えるのでしょう。
しかしその観点からすると、東京国立博物館は狭いですね。上野の森にいくつも文化施設が集まっているのは、よい発想でした。ほかにも、そんな地区があればよいのですが。

日本語苦手な子7万人、10年で倍増

2024年8月20日   岡本全勝

8月9日の日経新聞に「日本語苦手な子、6.9万人で最多 学習環境追いつかず」が載っていました。

・・・外国生まれなどで日本語指導が必要な小中高生が2023年度時点で約6万9000人に上り、約10年前から倍増したことが8日、文部科学省の調査で分かった。このうち1割が日本語について特別な指導を受けておらず、支援体制の構築が追いついていない現状も明らかになった。
政府は国内の人手不足を補うため、海外人材の受け入れを拡大し、家族呼び寄せの道も広げている。子どもの学習機会を確保し、人材の定着を促すことが急務だ。

調査は各教育委員会を対象とし、日本語で日常会話が十分にできない公立小中高校の児童生徒らについて聞いた。前回調査の21年度時点(約5万8000人)から18.6%増え、12年度時点(約3万3000人)からは約2倍になっていた。
国内では23年末時点の在留外国人数が約341万人で過去最多となり、学校に通う子どもも増えている・・・

・・・外国籍児童生徒の母語別の在籍割合を見ると、ブラジルなどで使われるポルトガル語(20.8%)が最も多く、中国語(20.6%)やフィリピノ語(15.4%)が続いた。
要支援者が増える一方、学校側の対応は追いついてない。日本語の基礎を学ぶプログラムや各教科の補習など、特別な指導を受けている児童生徒は外国籍で90.4%、日本国籍で86.6%。21年度比でそれぞれ0.6ポイント、1.5ポイント減少した。
特別な指導を行っていない自治体からは、理由として「日本語指導の教員がいない」「個別に対応する人材が不足している」といった声が寄せられ、国への要望として人材配置や財政面での支援などが挙がった。
進学状況にも依然として課題がみられた。中学生の高校などへの進学率は全中学生を8.7ポイント下回る90.3%で、高校生の大学などへの進学率は全高校生を28.4ポイント下回る46.6%。高校段階での中退率も全高校生の7.7倍にあたる8.5%だった。日本語能力が学習や学校生活における困難につながっている可能性がある・・・

現実と離れた移民政策

2024年8月19日   岡本全勝

8月8日の日経新聞経済教室、鈴木江理子・国士舘大学教授の「移民政策のいま、現実直視し社会統合進めよ」から。

・・・2024年6月、技能実習制度を発展的に解消し、育成就労制度を創設する改定入管法などが成立した。深刻な人口減少・労働力不足を踏まえれば、労働力確保として活用されている技能実習制度の実態から目を背け「国際貢献」という目的を掲げ続けることの限界に、ようやく向き合った制度改定といえる。
だが一方で、法案審議の参院本会議で、岸田文雄首相は「政府としては、国民の人口に比して一定程度の規模の外国人およびその家族を、期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする、いわゆる移民政策をとる考えはない」と答弁している。成長戦略の一つとして「外国人材の活用」を打ち出した安倍晋三元首相の発言を継承する見解だが、一般的な移民政策の定義からすると奇異である。
移民政策には、国境通過にかかる移動局面の政策と国境通過後の居住局面の政策の2つがある。前者は好ましい移民(外国人)と好ましくない移民の線引きによる出入国政策であり、後者は領土内に居住する移民に対する社会保障や政治参加、住居や言語、労働や教育などの政策である・・・

・・・では、なぜ政府は移民を否定するのか。
移民の明確な定義はないが、通常の居住地以外の国に移動し、少なくとも12カ月間居住する人を「(長期)移民」とする国連定義に照らせば、技能実習生も留学生も移民となる。
日本は「期限を設けることなく」外国人を新規に受け入れてはいないが、家族帯同が可能で、永住や国籍取得への道が開かれている定住型の外国人を移民ととらえれば、日本で暮らす約340万人の外国人(23年末時点)の8割強が移民だ。日本生まれの2世や3世も増えている。
にもかかわらず、移民ではなく「外国人材」という言葉にこだわるのは、有用性を強調することで、欧米諸国が直面している移民問題とは無縁だと、人びとの警戒心や不安を払拭する意図があるとも推測される。
だがかえって誤ったメッセージを与え、人びとの理解を妨げているのではないか。受け入れ後発国である日本は移民社会の現実と向き合い、欧米の教訓を学ぶ必要がある。「われわれは労働力を呼んだが、やってきたのは人間だった」というスイスの作家マックス・フリッシュの言葉が示唆する通り、居住局面の政策が極めて肝要だ。移民政策の国際比較(20年)によれば、日本は56カ国中35位で「統合なき受け入れ」グループに分類される・・・

・・・日本語学習機会の提供など、取り組みの多くが自治体任せであることも変わっていない。19年6月に日本語教育推進法が施行されたが、ドイツやフランス、韓国などで実施されている公用語学習の公的支援制度はいまだ導入されていない。
日本語学習環境の整備や情報の多言語化など、言葉の壁を越える取り組みが地域で実践されている一方で、権利の拡大にかかる施策はなく、制度の壁の解消は進んでいない。
外国籍の子どもの就学実態全国調査が実施されるようになったが、外国人は義務教育の対象ではないとする政府見解は変わらず、今なお学びの権利が奪われている子どもがいる。第2世代以降の社会統合が重要な鍵であることは欧米の経験に照らせば明らかだろう・・・

巨大インターネット企業独占への戦い

2024年8月18日   岡本全勝

8月7日の日経新聞に「グーグル検索、違法な独占 米司法省の訴え認める」が載っていました。
・・・米裁判所は5日、米グーグルの検索サービスが独占に当たると認める判決を出した。バイデン米政権は巨大テクノロジー企業の行き過ぎた市場支配力の是正に動いてきた。裁判所が規制当局の主張を認めたことで、米アップルなどに対価を支払ってスマホに検索機能を標準搭載する商習慣の見直しを迫られる。
「グーグルは独占企業であり、独占を維持するために行動してきた」。米首都ワシントンの連邦地方裁判所は5日、原告の米司法省などの主張を認めた・・・
・・・特に問題となったのはグーグルがアップルなどのスマートフォンメーカーに対価を支払う代わりに、グーグルの検索を標準にしてもらうという契約だ。裁判資料によると費用は21年で260億ドル(約3兆8000億円)にのぼる。
巨額の資金を駆使した手法が他社の参入を阻み、独占を生んでいるという司法省などの主張を連邦地裁が認めた・・・

・・・米国では独禁当局の訴訟が業界構造の変化を促してきた歴史がある。1970年代には司法省が通信大手AT&Tを訴え、その後の会社分割と料金競争につながった・・・バイデン政権ではテック企業の肥大化による問題の是正に動き、司法省がグーグルとアップルを、米連邦取引委員会法(FTC)がアマゾン・ドット・コムとメタをそれぞれ提訴。いわば分担するかたちで5社すべての巨大テックに対峙してきた。
欧州連合(EU)も巨大テック企業の活動を制限するデジタル市場法(DMA)の本格運用を開始し、アップルの違反を指摘した、消費者保護を強化するデジタルサービス法(DSA)と一般データ保護規則(GDPR)という3法で巨大ITの傍聴に対応している。
日本の公正取引委員会も同様だ。23年10月には米グーグルの検索サービスについて独占禁止法違反の疑いで審査を始めた・・・