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社会

天野馨南子著『まちがいだらけの少子化対策』

天野馨南子著『まちがいだらけの少子化対策: 激減する婚姻数になぜ向き合わないのか』(2024年、金融財政事情研究会)を紹介します。

社会を維持できなくなるような少子化が進んでいます。政府は、子ども子育て支援に力を入れています。子どもを育てやすい社会をつくるためです。これはこれで必要なのですが、それでは少子化は止まらないというのが、著者の主張です。それを、数字で説明します。
「夫婦が子どもを持たなくなっている」と言われますが、夫婦当たりの出生数は微減です。主たる原因は、婚姻数が激減していることです。では、若者は結婚したくないのか。いえ、若い男女の結婚願望は昔とそれほど変わらないのです。子どもの数を増やすには、未婚対策が必要です。

題名にあるように「まちがいだらけの」政策を、事実を基に説明しています。お勧めです。天野先生には、市町村アカデミーの研修動画にも、登場してもらっています。

『男はなぜ孤独死するのか』

6月29日の日経新聞の書評欄に、多賀太・関西大学教授が「『男はなぜ孤独死するのか』トーマス・ジョイナー著 失う関係性 再構築のために」を書いておられました。

・・・米国では年間の男性の自殺者数は女性の4倍近い。日本でも1998年以降、男性の自殺者数は毎年女性の約2倍かそれ以上だ。いったいなぜなのか。本書によれば、その謎を解く鍵は男性の「孤独」にあるという。そういえば、日本では「孤独死」も圧倒的に男性に多い。単身で暮らす高齢者男性は女性の約半数だが、孤独死する高齢者男性の数は女性の約5倍とのデータもある・・・

・・・青年期までは友人に恵まれていても晩年になると孤独に陥る男性は少なくない。そこには複数の要因が関わっている。
まず「甘やかされる」こと。子供の頃も大人になってからも、男性は女性に比べて対人関係を築く努力をしなくても他人(特に女性)から気遣ってもらいやすい。この特権の上に胡座(あぐら)をかいている間に、男性は人間関係を築き維持するスキルを学ぶ機会を逃し、そのツケは晩年に回ってくる・・・

大震災の仮設住宅でも、孤立するのは、圧倒的に中高年の男性です。それを防ぐためにいろんな催し物をしても、出てきてくれません。町内会を立ち上げるような会合でも、出席者は女性ばかりで、男性は少ないのです。
これも、男性は働きに行くという昭和の通念(家庭や地域より職場を優先する意識。しかもそれが上位だという意識)、家庭での男尊女卑の慣習の悪い結果かも知れません。「幸福はよき人間関係から

本を読まずに書評を引用するという「手抜き」ですみません。何かと忙しく、こんなズルをしています。最近読んだ本で取り上げたいものもたくさんあるのですが、整理が追いつきません。そのうちに、読んだ内容を忘れてしまいます。

「自分の将来イメージは暗い」日本人

読売新聞1面コラム「編集手帳」、7月1日に次のよう文章が載っていました。
・・・ここまで開きがあるのかと驚いた。博報堂生活総合研究所が先ごろ発表した、日本、中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)での生活者調査である◆対象は各国の15~59歳の男女計1万1000人。「自分の将来イメージは暗い」と答えた人が日本では40%に上り、2番目に高いシンガポール(14%)以下と比べ、突出して多い。出生率低下や年金への不安、周辺国からの圧力…等々、周りは暗い話題であふれている・・・

博報堂生活総合研究所「日本・中国・アセアンの8か国調査 第2回 「グローバル定点2024」 結果発表」2024年6月7日

これが、日本の停滞を長引かせてる原因です。当初は、日本の経済発展が止まり、バブル経済が崩壊し、そして停滞したことから、「将来は暗い」と思うようになったのですが、その後は、この意識が停滞を長引かせています。

「粗品」「愚息」

物をいただくときに、「粗品ですが」とか「つまらないものですが」と言われることがあります。頂き物に「粗品」と書かれたのし紙が、ついていることもあります。へりくだっているのでしょうが。
へそ曲がりは、「そんなつまらないものではなく、もっと立派なものをくださいよ」と言いたくなります。

でも、中身はつまらないものではなくて、よいものが多いのですよね。お店で選んだよい品物を「つまらないものですが」と表現すると、お店の人に失礼ですよね。食事に誘って「粗酒粗餐」でと言うと、料理人に失礼です。
私は、「これは、××で選んだよいものです」とか、「この店の食事はよいでしょう」と表現します。お店を出るときに、料理人に挨拶する際にも「おいしかったです」と言い、連れて行った人にも「よかったやろう」と自慢します。

「愚妻」「愚息」という表現もあります。これもやめた方が良いですね。
キョーコさんに「愚妻」などという表現を使うことは、考えられません。娘も息子も立派に育ってくれたので、自慢の子どもです。
「愚息」なんて言わずに、「うちの立派な子どもです」と言いたいです。孫も、私には自慢の孫たちです。「立派に育ってくれて」という表現もあります。でも、娘の場合は「愚娘」という表現は使わないですね。

高ストレスの教職員

6月28日の読売新聞に「「高ストレス」の公立校教職員は過去最高の11・7%…業務量や保護者対応が要因」が載っていました。

・・・全国の公立小中高校の教職員が加入する「公立学校共済組合」の2023年度調査で、医師による面接が必要な「高ストレス」の教職員が過去最高の11・7%に上ったことが27日、わかった。事務的な業務量や保護者への対応がストレスの要因になっている。
共済組合は16年度から労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック」を実施している。昨年度は約32万人の教職員が受検した。
高ストレス者の割合は、調査を開始した16年度(8・9%)以降、コロナ禍で休校が続くなどした20年度を除き、毎年上昇している。中学、高校の教職員にストレスを感じる割合が高く、30~40歳代が多い・・・

最多のストレス要因は、報告書の作成など「事務的な業務量」で、以下、「対処困難な児童生徒への対応」、学校の業務を分担する「校務分掌」、「保護者対応」です。
常に思うのですが、教員の悩みは、授業の進め方ではないのですよね。大学での教員課程では、これらの課題をどの程度教えているのでしょうか。