アドラーの心理学、今日は劣等コンプレックスと優越コンプレックスから脱却する方法について。テキストp52~。
・・・劣等コンプレックスや優越コンプレックスから脱却するためには、まずは今、自分が優越性についてどう解釈しているかを意識化することが必要です。自分では正しい優越性の追及を行っていると思っていても、実は間違っているケースが非常に多いのです。
多くの人が陥りやすい間違いの一つは、優越性の追求を「競争」だと思ってしまうことです。私たちは普段、競争社会で暮らしているため、ともすると優越性の追求を「他者よりも優れていようとすること、他者を蹴落としてまで上に登ろうとすること」と考えてしまいます・・
・・しかし、アドラーのいう優越性の追求とはそういうものではありません・・
・・健全な劣等感とは、他者と比較して自分が劣っていることで感じるものではなく、理想の自分との比較の中で生まれるものであり、健全な優越性の追求とは、先に引用したアドラーの言葉を使うならば、自分にとっての「マイナス」から「プラス」を目指して努力するということです・・・
・・・アドラーは、人間の悩みはすべて対人関係の悩みであると考えていますが、対人関係の軸に「競争」があると思っている限り、人は対人関係の悩みから逃れることはできません・・・
劣等コンプレックス、優越コンプレックスがある人の問題は、自分のことだけを考えて生きているという点にあります。自分を大きく見せようとする人は、他者を意識しているように見えますが、他者から認められたいと思っているということなので、自分のことしか考えておらず、他者のことを考えていません・・・
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アドラー、優越コンプレックス
先日の「劣等コンプレックス」に続いて、今度は優越コンプレックスについて。テキストp46~。
・・・自分を実際よりも優れているように見せようとするのが、優越コンプレックスを持つ人の特徴といえます。本当に優れている人は自分を誇示したり自慢したりしませんが、優越コンプレックスがある人は、背伸びをして自分を実際よりも大きく見せようとします。学歴や肩書きを誇示したり、高価なブランド品で身を飾ろうとしたり、過去の栄光にすがりつき、自分が輝いていた時代の話ばかりする人、知り合いの手柄をまるで自分のことのように自慢する人も優越コンプレックスがあると考えてよいでしょう・・・
・・・そのような人は他者からどう見られているかを気にしますが、実際には、自分が思っているほど誰も自分に期待も注目もしていないはずです・・・
・・・また、優越コンプレックスを持つ人の中には、自分のことを自慢するのではなく、他者の価値を貶めることで、相対的に自分を上に置こうとする人もいます。例えば、仕事とは無関係のことで部下を理不尽に叱りつける上司がそれです。彼らは、仕事の部分では自分は優れていないと思っているので、部下を叱りつけて優位に立とうとするのです・・・
わかりやすいですね。あなたの周りにも、思い当たる人がいるでしょう。ご関心ある方は、テキストをお読みください。本体価格524円です。こんな安さで、大変な勉強になります。
部下の仕事の進行確認
古くなって申し訳ありません。2月16日の日経新聞キャリアアップ欄「指示、的確に伝わる論理的思考法」から。
・・・部下に的確な仕事をしてもらう、もう一つの留意点は「進行確認」だ。「7・3・1の法則」といい、「仕事の達成度が7割、3割、1割の時に進行状況を確認し擦り合わせることにしている」と平谷さん。特に気をつけるべきは「3」だ。
達成度3割の時点は、仕事を果たすための計画は立てられたが、実行される前の段階。7割はいったんその計画が実行された状態だ。
「7割の時点で上司に報告する人は多いが、それだとやり直しなどの負担が大きくなり、生産性も落ちる」(平谷氏)。進行度1割(仕事の内容を説明した段階)の時点で、3割の段階になったら報告するよう、またそれが部下にもメリットがあると伝えておくのがコツという。自分から報告してこない部下には自ら聞きに行き、それを嫌がられない関係を気づいておくのが望ましいという・・・
一部だけ紹介したので、原文をお読みください。
アドラー、劣等コンプレックス
NHK100分で名著2016年2月は、岸見一郎さんの「アドラー『人生の意味の心理学』」です。アルフレッド・アドラーは、フロイトと同時代の、オーストリアの心理学者です(1870年~1937年)。テキストp43から。
・・・では、劣等コンプレックス、優越コンプレックスとは、具体的にはどんな状態を指すのでしょうか。まずは劣等コンプレックスについて説明しましょう。
アドラーの心理学では、劣等感を「言い訳」に使うことを劣等コンプレックスと呼んでいます。劣等コンプレックスとは、「AであるからBができない」、あるいは「AでないからBができない」という論理を日常生活で多用することです。このAとしてトラウマや神経症など自他ともに否定できないことを持ち出し、だからBができないなのだと主張するのです・・・
このあと、朝起きて学校に行きたくない子どもが「お腹が痛い」という例を挙げていますが、私には、次の例の方がわかりやすいです。p44。
・・・赤面症を治したいという女学生が「赤面症が治ったら何をしてみたいですか」とたずねられ、「思いを寄せている男性に告白したい」と答えたとします。本人は「赤面症だから男性とつきあえない」と思い込んでいますが、実際には「告白してふられるのが怖いから、その人との対人関係に入っていきたくない」ので、対人関係を回避するための理由として赤面症を創り出しているのです。
本来、劣等感は建設的に補償するしかありません。例えば自分が理想とする状況に到達していないと思った場合は、もっと勉強しよう、もっと努力しようと考えて、建設的な努力をするしかないのです。しかし劣等コンプレックスのある人は、しないこと、できないことの言い訳ばかりを探し、現実の課題から目を背けようとしてしまいます・・・(