カテゴリーアーカイブ:人生の達人

会社をつぶした記者会見

2011年10月23日   岡本全勝

昨日の日本広報学会には、企業の不祥事の際のおわびのプロもおられました。「私もプロですよ」と、少し経験談をお話ししてきました(2007年1月31日の記事)。
そこでお会いした、村上信夫さんの『会社をつぶす経営者の一言―失言考現学』(2010年、中公新書ラクレ)を、紹介します。
この本では、食品の賞味期限偽装、牛肉偽装、自動車の欠陥隠しなど、会社名を出すと、皆さん「そういえば、そのようなことがあったな」と思い出される事件の数々が、紹介されています。その際の不祥事そのものではなく、それが発覚した後の記者会見のまずさを、分析・整理してあります。そして、下手な記者会見=隠したことがばれて会社がつぶれた例と、うまく記者会見をして=できる限り情報を出して早く事件が終息した例が載っています。
「こうすべきだ」といった抽象的な教訓より、実例を読んだ方が、勉強になりますよね。一読をお勧めします。
これだけも豊富な実例が載るということは、それだけ事例が多い、まだ懲りていない、ということでしょうか。なお、会社が起こした事件の実例については、奥村宏著『会社はなぜ事件を繰り返すのか―検証・戦後会社史』(2004年、NTT出版)などがあります。

受け身の仕事と攻めの仕事

2011年9月23日   岡本全勝

この仕事をしていて、「なぜこんなに毎日バタバタして、疲れるのだろう」と思うことが、続いています。私は、自分の仕事の進め方について、そこそこ仕事の段取りが上手で、処理がうまい方だと、自信を持っているのですが。どうも最近は、「疲れる」のです。
いま取り組んでいる仕事は前例がなく、また幅が広く、大変なことは間違いありません。しかし、最近は睡眠時間を削らなければならないほどは、忙しくありません。びっくりするような突発事案が、出るわけでもありません。部下も優秀で、指示した以上の仕事をしてくれます。上司も合理的で、人間関係に悩むこともありません。では、なぜ「疲れる」のか。

その理由の一つが、受け身の対応だと、気づきました。
出勤すると、職員が次々と、報告や相談にやってきます。それを片付けると、あるいはその途中で、電話が入ります。読みかけの書類や電子メールは、広げたままで片付きません。その上に、秘書が新しい書類を載せてくれます(笑い)。
あっという間に、お昼になります。弁当を食べているところに、「食事中にすみません」と、急ぎの相談が入ります。朝に確認した「今日の岡本次長の予定表」はかなりスカスカなのに、実際はそうは行きません。時々、予定表を見ながら、秘書に、「うそつき」と冗談を言います(笑い)。秘書さんを困らせては、いけませんね。

でも、 一つの作業をしている途中に、別の仕事が入ることって、困りますよね。例えば、複数の関係者に連絡している途中だと、し残した人への連絡を忘れてしまいます。その場その場で指示を出し、その作業を完結させないと、失敗も生じます。そして元の仕事に戻るには、もう一度思考をリセットしなければなりません。10分間で終わる仕事が、5分経過時点で中断されると、残り5分では片付かないのです。
このような仕事の進め方って、ストレスがたまるのですよね。受け身の処理は、予定が狂う、自分の時間が確保できないのです。忙しくても、事前に予定があってその通りに進んでいるのなら、それほど疲れないのですが。
また、新しい仕事が次々と入っても、それぞれの締め切りまでに時間に余裕があれば、ひとまずノートにメモをしておけばすみます。そして後で、ゆっくり考える。これも、そんなには、ストレスはたまらないでしょう。しかし、次々と入る課題が、その場その場の処理を求められる場合が、やっかいなのです。

受け身の処理の反対が、攻めの仕事でしょう。また、先を読んだ仕事の仕方です(2011年5月15日の記事)。皆さんもそうでしょうが、追われる仕事より、先を読んでする仕事の方が楽しいですよね。
次の計画を立てて、それに従って進める。この場合は、ストレスが少ないでしょう。もちろん、計画通りに進まないのが、世の常です。また、難しい課題なら、計画や作戦を立てる作業に、ストレスがたまるかもしれません。
若い時に、「できる課長の仕事術」といったたぐいのノウハウ本を、たくさん読みました。私自身も、『明るい係長講座』を書きました。「受け身でなく、攻めの仕事をせよ」「仕事に追われるな、先を読め」は、どこにでも書いてあることです。職位によって、求められる管理者能力が違うことなども、紹介しました(2011年6月9日の記事)。しかし、攻めの仕事をしにくい職位もあります。その場合のコツも、考えて整理しなければなりませんね。

仕事の仕方、瀬島龍三さんの教え

2011年9月18日   岡本全勝

日経新聞「私の履歴書」9月は、元伊藤忠商事会長の室伏稔さんです。9月17日と18日に、瀬島龍三さんの思い出を、書いておられます。
・・重要な部署ほど少数精鋭が、瀬島さんの考えだった・・
・・総合商社にとって強さと弊害の両面性を持つ「部門縦割り」に、部門横断的な総合調整機能という「横ぐし」を通すことの重要性を、瀬島さんは耳が痛くなるほど強調された・・
・・戦略は戦術をカバーするが、戦術は戦略をカバーできない・・
・・日常業務で指導されたのは、①報告書は必ず1枚にまとめる、②結論を先に示す、③要点は3点にまとめる―の3点だ。3枚以上の報告書は絶対に受け取らず、突き返していた。また、「どんな複雑なことでも要点は3つにまとめられる」が口癖で、我々に物事の本質を見極め、整理する習慣を身につけさせた・・

幹事大好きな友人

2011年8月17日   岡本全勝

先日の「お任せ民主主義と飲み会の幹事」(8月15日の記事)を読んだ、友人M君からのメールです。M君は「慰労会をするから、早く夜の時間を空けろ」と、しょっちゅう催促してきます。
・・面白く読みました。最近、この手の話も入っているところを見ると、貴兄のお仕事もちょっと落ち着いてきたのかなって感じます。
ご存知の通り、私もよく「飲み会の幹事」を引き受けます。私の場合は、「こんなお店は嫌だ」と文句をつける人は、「無視」する。日にちが合わなくても、「無視」する。ドタキャンならまだ良いほうで、「ドタサン(参加)」でもいいようなお店を選ぶ。貴兄が言う「幹事の大変さ」は、微塵もありません。したがって、今回の貴兄の意見には、賛同しかねます・・

ははは。M君、みんながあなたのようだったら、お任せ民主主義ではありませんよ。
慰労会は、もう少しお待ちください。明日から4日間、被災地への出張です。

お任せ民主主義と飲み会の幹事

2011年8月15日   岡本全勝

先日、あるところでの会話です。戦後の日本政治(国民の政治参加)の欠点は、「お任せ民主主義」であるという説に、多くの人が賛成してくれました。
これは、難しいこと(嫌なこと)は誰かに考えさせて、本人は批判だけするという立場です。批判はするのですが、代案を考えたり、代案を提示することはしません。これは、まことに身勝手な立場です。
増税をはじめとする負担増や、ゴミ処理場など嫌な施設の立地決定の際に、端的に表れます。

その人曰く「負担増は、けしからん」
責任者曰く「じゃあ、どうするのですか。歳出削減は、もう限界ですよ」
その人曰く「それは、あなたが考えることだ」

その人曰く「みんなが嫌だという施設を、なぜここに作るのだ」
責任者曰く「じゃあ、どこに作るのですか」
その人曰く「どこか県外に、持っていくべきだ」
責任者曰く「どこが、受け入れてくれますか。どこも、嫌がっていますよ」
その人曰く「それを、あなたが考えるべきだ」

その議論の場では、これに対する対応策も、提案されました。「飲み会の幹事をさせること」だそうです。飲み会を設定すると、メンバーの中には「こんな店は嫌だ」とか、いろいろ文句を言う人が出てきます。そんな人に幹事をさせて、幹事がいかに大変かを体験させるのです。
店を決めるのに、みんなの意見が合わない。日にちが合わない。さらには、当日にドタキャンする。そのような身勝手な人に、幹事をさせると、幹事の大変さが分かるというのです。
そして、その結果は。
まず、そのような人は、幹事を引き受けない。あるいは、それ以降参加しない。ははは・・。