カテゴリーアーカイブ:人生の達人

味の素、決める会議以外は廃止

2018年9月19日   岡本全勝

9月18日の読売新聞「経営者に聞く」は、西井孝明・味の素社長でした。
味の素では、2017年から1日の労働時間を、7時間15分に短縮しました。

・・・具体策として進めたのは、まず会議減らしです。改革を本格的にスタートさせたのは16年度からですが、15年度の全社平均の総労働時間は1947時間。その中身を詳しく調べてみると、1日平均10時間の労働時間のうち、4時間を会議が占めていることがわかりました。どこの職場も似たようなものです。

「そんなに会議は必要なのか」と強く感じました。そのため、報告のためだけの会議は一切やめることにしました。会議は、すべて何かを決めるために開きます。
会議で発言しない人が座って聞いているだけの時間、議事録を紙にまとめて会議に出ていない人に知らせるための時間-報告のためだけに時間を費やす仕事は、いっぱい隠れています。それは価値を生む仕事ではない。
報告だけならインターネット上の社内の掲示板にアップし、必要な人はそこに見に行く仕組みにしました。会議の改革は、ペーパーの削減にもつながります。

象徴的な改革事例は、全国の支店長や事業部長ら約80人を集めて3か月に1回開いていた業務報告会です。1人が5分報告し、質問はゼロ。報告に3時間以上かかり、そのために用意する資料はものすごく分厚い。直前に資料の差し替えが起きると、経営企画部のスタッフは深夜まで子ポーの取り直しです。
この会議を年1回に減らしました。そして、社長からのメッセージを伝える重要な会議に変えました・・・

仕事のリズムを取り戻す

2018年9月14日   岡本全勝

今年の8月はとても暑かったので、原稿を書くなどの生産活動はできませんでした。本を読むことくらいでした。異業種交流会は熱心に行い、ホームページの更新も行いましたが。

しなければならないこと、やりたいことは、一覧表に書き出していたのですが。なかなかエンジンがかかりませんでした。「まあ、まだ時間はあるわな」と。これまでなら、夏休みでも、原稿書きに追われていたのですが。締め切りが迫っていないというのも、理由です。『明るい公務員講座』で批判した「夏休み症候群」です。

今週から、ようやく涼しくなりました。大学授業の再開も迫ってきたので、のんびりしていられなくなりました。10月には合計5つの講演などを引き受けていて、主催者から準備の催促が届き始めました。
「明るい公務員講座」第3巻の編集も始まりました。次の連載の準備もしなければなりません。引き受けた原稿も、書きかけの途中で放置してあるし・・・。

それぞれ締め切りが近づくと、追い込まれて、進むのです。進まない仕事を進める方法は、『明るい公務員講座』に書いたように、締め切りを設定する、他人に催促してもらうことです。
そろそろ、仕事のリズムを、取り戻さなければなりません。

電子メール誤送信防止・フールプルーフ

2018年9月14日   岡本全勝

「フールプルーフ」という言葉をご存じですか。英語で、fool proofです。
辞書には、「利用者が間違えた操作をしても、危険な状態を招かないようにする仕組み」というような説明があります。

電子レンジが出始めた頃の話です(うろ覚えなので、不確かなのですが)。水虫を治そうと、足を入れて作動させた人がいたそうです。体内の水分が沸騰して、大やけどになります。そこで、扉を閉めないと、作動しないようにしたのです。
この時に、フールプルーフという言葉を覚えました。私は英語を直訳して、「バカ防止装置」と理解しました。「不注意による失敗防止装置」の方が、正しいですね。
(インターネットで調べると、そのような事件はでてきません。そもそも電磁波が外に漏れ出さないように、扉を閉めないと作動しないようにしてあるそうです。すると、私の記憶は間違いですね)

さて、何を言いたいか。ケアレスミスといわれる不注意による失敗は、通常なら起こらないのですが、何かの拍子にやってしまいます。職場でよくある失敗は、ファックスや電子メールの誤送信です。そこで、いろんな防止策がとられています。
・ファックスで送る場合は、2人以上で確認すること。
・電子メールを送る際に、「宛先は間違いないですか」と警告が出る仕組み。
・電子メールで、添付ファイルを送る際に、「その添付ファイルは間違いないですか」と警告が出る仕組み。
・外部の人に電子メールを送る際に、送信ボタンを押してから実際に送信するまでに、数分間時間をおいて、取り消しができるようにする仕組み。

私の職場でも、いくつかの仕組みが入っています。
私は、すべての電子メールの送信の際に、「確認画面」が出るようにしています。「面倒だなあ」と思うことがありますが。この仕組みのおかげで、何度か失敗を防ぐことができました。

役に立つ肝冷齋

2018年9月7日   岡本全勝

漢文の識者である肝冷齋は、難しい中国古典を解説してくれるのですが、時に難しすぎて、あるいは妖怪変化が多く、私の理解を超えることがあります。
たまには、わかりやすい教訓も書いてくれます。
包容力は、努力で具わる

・・・明初の名官僚で、その有能と誠実を以て、史上屈指に血なまぐさいこの時代に何度も失脚しながら復職し、戸部尚書を通算三十年ぐらい務めた夏原吉は、
徳量閎厚、人莫能及。
徳量閎厚にして、人よく及ぶ莫し。
包容力が広く、厚く、誰も敵わなかった。
と言われる。「徳量」はとりあえず「包容力」と訳しておきますが、要するに人を容れる「器量」のことです。

あるひと、問うて曰く、
量可学乎。
量は学ぶべきか。
「包容力というのは、後天的な努力で具わるものですか」
夏は答えた・・・

身につけた経済力を生かす

2018年9月1日   岡本全勝

日経新聞夕刊「人間発見」、先週は大和証券グループ本社会長 日比野隆司さんでした。「危機は乗り越えられる」第3回、8月29日から。入社3年目に、ロンドンに赴任されます。

・・・ロンドンに到着したのが早朝5時。迎えにきてくれた先輩と朝食をとると8時にはオフィスへ。着くやいなや仕事でした。
顧客からの電話ががんがん鳴ります。国債や円建て外債(サムライ債)の注文に、こちらから価格を提示しなければなりません。かたことの英語しか話せませんから脂汗でした。昼休みに英語で市場コメントをテレックスで送り、午後また電話対応。夜はニューヨークへファクス。へとへとの初日でした。
そのくらい業務が急拡大していました。円の国際化が進み、ユーロ円債市場も発展する時期です。「ザ・セイホ」と呼ばれ、日本の機関投資家の動きを世界が注目していました。ロンドンの金融街シティで、日本人が肩で風きって歩いた唯一の時代といっていいでしょう・・・
・・・日本は80年代の圧倒的な存在感を持続できず、実力も上げられなかった。正気を失い、バブルに踊った結果、大変な不良資産を抱えてしまった。日本にとって痛恨だったと思います・・・

日本経済が世界第2位の地位にあり、さらに円が圧倒的に強かった時代。それを生かすことはできませんでした。世界の有名ビルや会社などを買収しましたが、成功した例はほとんど無いようです。
経済学では、バブルの分析がたくさんなされています。また、当事者たちの証言も出ています。
私が知りたいのは、そのような経済分析や当事者の行動でなく、日本社会がなぜその実力を生かせなかったか、そしてそこから得た教訓はなにかです。

将来、日本が第2位の経済大国になることはないでしょうし、バブル経済はあっては困ります。しかし、身につけた(経済的)実力を、どのように活かすか。「あの頃は良かった」という懐古趣味ではなく、また「金融政策が間違っていた」という原因論や責任論でもなく。日本社会として、教訓を共有しておくべきです。

日本は、貧乏な国から出発して、戦前は一等国に、戦後は経済大国になりました。しかし、そこで浮かれて、それぞれ「敗戦」してしまいました。貧乏から努力することは得意なのですが、金を持ってからの生き方に慣れていないようです。
これに対し、ヨーロッパやアメリカの富裕層や金融機関、会社なら、どのように対処したか。彼らには、浮き沈みを含めて、長年の経験があります。その経験を踏まえて、「金持ちとしての振るまい」を身につけましょう。
司馬遼太郎さんなら「この国のかたち」として、鋭く分析してくださったでしょう。

なお、文中に次のような文章も出てきます。ここは、私と同じですね(日経夕刊コラム「仕事人間の反省」)。
・・・いつも会社にいるので、「会社の備品だな」と先輩に呼ばれましたね・・・