カテゴリーアーカイブ:明るい課長講座

具体の従業員学び直し

2025年6月22日   岡本全勝

6月8日の日経新聞に「米ウォルマート、AI時代に「脱単純労働」 30万人にリスキリング迫る」が載っていました。

・・・米小売り大手ウォルマートが毎年30万人の従業員にリスキリング(学び直し)の機会を与えていくと表明した。30万人は全従業員の15%にあたる。オンラインに販売の主軸が移り、人工知能(AI)導入を進めるなか「単純労働」はなくなると判断した。米国の最大雇用主である同社の方針は、他の企業にも波及しそうだ。

ウォルマートは4〜6日、従業員大会と株主総会、メディア説明会などのイベントを本社がある南部アーカンソー州で実施した。毎年、関係者を集め経営戦略を説明している場で今年はリスキリング計画を表明した。世界約200カ所の研修拠点に、あわせて毎年30万人分のリスキリングプログラムを導入する。
これまで店舗で荷出しや顧客対応、オンライン注文の発送作業などを担当していた従業員がリスキリングの対象だ。資格が必要な技能職への転換を促す。自動化装置の保守、空調や冷蔵などの電気機器の管理、フォークリフト操作や庭園管理などだ。

「将来すべて自動化された現場で、何に投資すべきだろう。私たちは(従業員の)皆さんに投資し、成長し続けるのを見守りたい」。ダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)は6日、従業員大会に集まった数万人の従業員を前にリスキリングの意義を説き、発破をかけた。
なぜリスキリングが必要か。「小売り現場の労働力は変質している。手作業の荷詰めや簡単な機械操作はもう必要ない。新しくてより高度なスキルが求められるようになっている」。RJ・ザネス副社長は、単純労働は必要なくなっていくからだと端的に説明した・・・

次の文章に納得しました。
「これまで店舗で荷出しや顧客対応、オンライン注文の発送作業などを担当していた従業員がリスキリングの対象だ。資格が必要な技能職への転換を促す。自動化装置の保守、空調や冷蔵などの電気機器の管理、フォークリフト操作や庭園管理などだ」

「学び直し」(リスキリング)という話をよく聞きますが、具体的に何をするのか。私には理解できませんでした。これから必要とされる技能、転職先で使える技能を示さないと、単にリスキリングと言われても困るでしょう。

人事担当者が見る卒業生活躍の大学

2025年6月21日   岡本全勝

6月11日の日経新聞に「人事が見る 卒業生活躍の大学ランキング 一橋大トップ 上智大2位」が載っていました。
・・・卒業生が企業で活躍している大学はどこか。日本経済新聞社と就職・転職支援の日経HRが調査を実施したところ、総合ランキングは一橋大学が首位となった。上位10校のうち8校を国立大学が占めた。採用を増やしたい大学では金沢大学が首位だった。上場企業と一部の有力未上場企業の人事担当者に、採用した学生の資質や姿勢などを聞いた。
調査は各大学の卒業生について、「行動力」「コミュニケーション能力」「知力・思考力」「成長力」の4つの分野で評価した・・・

それによると、1位一橋大学、2位上智大学、3位名古屋大学、4位京都大学、5位南山大学、6位熊本大学、7位鹿児島大学、8位東京科学大学、9位千葉大学、10位筑波大学です。東京大学は20位、慶応大学が11位、早稲田大学が16位でした。

評価項目が、「行動力」「コミュニケーション能力」「知力・思考力」「成長力」の4つの分野というのも、納得できます。

管理職はつらい、対処策

2025年6月14日   岡本全勝

5月27日の朝日新聞オピニオン欄「管理職はつらい?」、小林祐児・パーソル総合研究所主席研究員の「罰ゲーム化、抜け出そう」から。

・・・日本の管理職は「罰ゲーム化」しています。バブル崩壊以降の日本企業では組織のフラット化が進み、管理職が減って部下の人数が増えた。ダイバーシティーの推進により、男性正社員中心の職場に女性や非正規雇用の従業員が増えたことは、マネジメントを複雑にしました。
だめ押しとなったのが、パワハラ防止の法改正と働き方改革です。接し方に過敏にならざるを得ず、気軽な声かけすらためらう場面も増えました。働き方改革も効率化にはつながらず、「労働時間の削減」だけに焦点が当たってしまった。しかも対象は一般社員に限られ、管理職は“はみ出た仕事”を一手に担う形に。

ですが、これらは会社の外にある要因にすぎません。本当に問題なのは、外部環境が厳しくなった時、企業の内部の判断が、管理職の負荷を上げる方にばかり向かうことです。
日本の経営者は「管理職を鍛え上げればなんとかなる」という発想で、研修ばかり増やしていく。この発想は、「管理職が経営の要」という期待感と一体です。「耐えてこそ真のリーダーが生まれる」という言説もふりまかれています。

すぐにできることはいくつかあるでしょう。例えば、「管理職だけ」ではなくメンバーにも研修を受けさせる。組織を動かす時にメンバーも同じことを知っている方がスムーズです。社内のつながりを生む仕掛けを作ることも大切です。会議で他の管理職にダメ出ししたり、「そっちは大変だね」とひとごとだったりするより、協力し合える方がいいですよね。
もう一つ提案したいのは、「鍛え上げる」対象を早めに絞ることです。20代のうちにエリート層を選抜し特別な経験や研修をする一方、他の管理職は定期的に部署や業務が変わるジョブローテーションの幅を狭くし、専門性を磨いてもらうのです。

「絞り込む」提案をすると必ず「選ばれなかった者のモチベーションが下がる」と言われますが、おかしいですよね。これまで多くの女性は管理職の道を早々に諦めてきました。どうして男性が諦めるようになったとたんにケアしようとするのでしょうか・・・

電子決裁の限界、顔が見えない

2025年6月4日   岡本全勝

私の勤務先である市町村職員中央研修所でも、電子決裁が進みつつあります。起案者は便利になります。ところが、決裁者には、少々困ったことが起きます。

その一つは、ちょっと聞きたいことがあっても、前に起案者がいないのです。画面を使って質問をするか、出かけていって聞くことになります。本質的な疑問なら、それをいとわないのですが、ちょっとしたことの場合は困ってしまうのです。私は、出かけていきますが、面倒な人はそのまま了解するのでしょうね。

もう一つは、職員と顔を合わす回数が減りました。大部屋なら、決裁や相談がなくても顔を合わせます。しかし個室では、案件がないと部下は来てくれません。
「いやな上司と顔を合わさなくてもすむからうれしい」という職員もいるでしょうが。上司としては、部下がどのように仕事をしているか、その状況を知りたいのです。職場は通信教育ではなく、決裁は送られてきた答案の採点ではありません。
この状況に、どのように対応するのか。考えなければなりません。

と書いたら、肝冷斎が「でも部下に決裁を投げつけようにも電子決済だ」(なので投げられない)と反応しています。そういえば、私の若い頃に、気に入らない決裁案だと決裁板を投げつける上司がいましたね。

まだ長い日本人男性の労働時間

2025年5月28日   岡本全勝

5月6日の日経新聞経済教室は、柴田悠・京都大学教授の「日本人の休み方、人口構造の変化に遅れた対応」でした。詳しくは記事を読んでいただくとして、興味深い数字が行くも並んでいます。

・・・長時間働いていると生産性は低下する。豪セントラルクイーンズランド大のドリュー・ドーソン教授らの実験によれば、起床後5時間を超えると人間の認知的精神運動能力の成績は上がるが、13時間を超えると成績が下がり、「酒気帯び」相当の血中アルコール濃度での成績に匹敵するか、下回るほど落ちてしまう・・・

このあと、起床後に能力が上がり始めるのが遅いであろうことに留意すると「生産性を高く持続できるのはせいぜい8時間」との示唆が得られる、と書かれています。また、「脳機能を高く維持するには7時間睡眠が必要」という示唆も得られます。すなわち、生産的に働くには、「労働は8時間以内、睡眠は7時間以上」が重要です。

労働時間の長さではなく、時間当たりの生産性による人事評価へと転換する必要があるのに、日本は昭和の長時間労働の成功体験に引きずられたのです。生活時間調査によると、日本の正規雇用者やフルタイム労働者は、まだ平日に平均10時間の長時間労働をしています。欧米では8時間前後です。
1970~2015年の経済協力開発機構の分析によると、多くの国で年平均労働時間が減るとともに、労働生産性が上がっています。