カテゴリー別アーカイブ: 連載「公共を創る」

連載「公共を創る」執筆状況

恒例の連載「公共を創る」の執筆状況報告です。
12月15日号の原稿がゲラになりました。これで年内発行分は、締め切りを守ることができました。しっかりと目を通し、ずたずたに赤(修正)と青(修正意見)を入れてくれる右筆のおかげです。
「なぜ執筆が進まなかったのだろう」と振り返ると、10月(6回)と11月(5回)は講演も多かったのです。講演は、時間とエネルギーを取られます。

かつてほどの馬力がなくなりました。で、時間があるときに少しずつ書いて、気が向いたときに通して推敲します。気分が乗ると、通勤電車の中でもはかどるのですが。
常に締め切りに追われる生活は、精神衛生によくありませんね。毎回同じことを言っています。ただし、これを書いているときは、締め切りを守ることができて、ほっとしているときです。
原稿は一息つきましたが、12月中に、1月発行分の原稿を提出しなければなりません。12月は、年賀状書きも待っています。

連載「公共を創る」第135回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第135回「「大きな政府」から「小さな政府」へー行政改革」が、発行されました。

第132回(10月13日号)から、政府による市場への新しい介入手法と、社会への介入手法が十分に整理されていないことを説明してきました。主たる政策が産業育成・公共サービス充実・インフラ整備から、国民の不安解消に転換すると、これまでの行政手法が十分に機能しなくなりました。モノやお金の提供、法律による規制は、国民の意識を変える・通念を変える・物質的でない悩みに答えるといった課題には効果が少ないのです。

このような議論を踏まえると、「政府の大きさ」は、「広さ」「深さ」「重さ」という切り口があります。また大きさとは別に「政府の強さ」という切り口もあります。

それらの具体例を見るとともに、行政の役割と手法の変化を見るために、行政改革の歴史を見ます。私は、戦後の行革を、第1期組織と人員膨張抑制の時代(1960年代)、第2期小さな政府を目指した時代(1980年代)、第3期仕組みの改革の時代(1990年代以降)に区分するとわかりやすいと考えています。その社会的背景が分かるように、図表をつけました。

連載「公共を創る」第134回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第134回「政府の社会への介入─その新たな動き・手法」が、発行されました。
政府の手法について、近年の特徴的な手法を紹介しています。前回までに紹介したように、経済分野でも新しい手法が編み出されています。他方で、社会の各分野への介入は、その全体像が整理されていないこととともに、手法もまだ整理されていません。

私が経験した仕事での新しい手法に、再チャレンジ政策でのニートやフリーター支援、東日本大震災での孤立防止があります。他方で、少子化や地方の衰退は政府が力を入れている割には効果が上がっていません。難しいのは、人を動かすこと、人の意識を変えることです。
最近の事例では、保育園の送迎バスに用事が取り残される事件です。国は安全管理を求める通知を出しました。しかし、事故は起きています。このような場合に、通知の効果は少ないのです。役所は通知を出すことで「仕事をした」ことになりますが、現場での効果がない限り「仕事をした、成果が出た」ことにはならないのです。

連載「公共を創る」第133回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第133回「市場経済への介入手法ーその特徴的な事例」が、発行されました。
財政支出以外の政府の手法について、近年の特徴的な手法を紹介しています。まず市場経済への介入手法で、今回は労働政策の変化、コーポレートガバナンス・コード、金融庁の新しい手法を説明しました。
労働政策は、労働者の賃金や肉体的労働条件の確保と向上から働き方改革に移っています。金融庁の監督は、規則を守らせることから、方向を示して金融機関に考えさせるものへと変わっています。

ところで、相手が事業者なら、このような手法も通じるのですが、国民の通念や考え方への介入は内容、手法とも難しい点があります。それを考えることが、行政の新しい課題です。

連載「公共を創る」第132回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第132回「政府による市場経済への介入手法」が、発行されました。

前回に続き、政府の経済的規模、公務員数といった「政府の大きさ」を説明するとともに、企業や非営利団体が公共サービスを担っている場合の扱いを説明しました。私立病院や私立学校は公立病院や公立学校と同じような公共サービスを提供していますが、政府部門には分類されません。医者にかかった場合の3割の自己負担、どのように国民経済計算に計上されているか知っていますか。

次に、財政支出以外の政府の手法の説明に入ります。まず、市場経済への介入手法についてです。この分野については経済学や財政学に詳しい説明があります。ここでは、そのような教科書に載っていない新しい手法を紹介します。私も、再チャレンジ政策や東日本大震災復興で、これまでにない手法を見てきました。それらを見ると、これまでの行政の手法や教科書の説明が「遅れている」と感じます。