カテゴリーアーカイブ:社会の見方

冷戦後30年、ポピュリズムの台頭

2019年12月23日   岡本全勝

12月16日の朝日新聞オピニオン欄、国末憲人・ヨーロッパ総局長の「冷戦後30年、世界はいま 強権政治がモデル化、民主主義脅かす」から。

・・・1989年、ベルリンの壁崩壊と冷戦終結に、私たちは自由と平和、民主主義が息づいた世界の将来像を思い描いた。2019年、目前には荒涼たる風景が広がっているかのようだ。
欧米の多くの国で、ポピュリズムが大手を振る。その手法を取り入れた指導者が、米国で野放図に振る舞い、英国では欧州連合(EU)離脱の旗を振る。民主化したはずの旧社会主義圏で権威的ポピュリスト政治家が政権を握り、社会への締め付けを強める・・・

・・・ポピュリズム台頭を招いた背景には、米ソ、東西、左右といった冷戦時代の対立軸の薄れがある。代わって上下の格差が浮き彫りになり、グローバル化の進展がこれに拍車をかけた。
もちろん、冷戦時代にも格差は存在したが、政党や労組、商工団体、農協といった中間団体が上下を結びつけていた。こうした組織が力を失い、指針を失って途方に暮れる人々に甘言で近づいたのが、ポピュリスト政治家だ。
ただ、当時のポピュリズムは、不平や不満を吸収するばかりで、具体的な理念や政策に乏しかった。政権担当能力は低く、「放っておけば消える」(欧州大学院大学のハンスペーテル・クリージ教授)というのが、政治学の専門家の一般的な認識だった。

しかし、2010年代に入り、ポピュリズムはアイデンティティーを理念の中心に据え、次第に政治イデオロギーへと変貌。国家や民族の結束を呼びかけることで支持を結集する排他的、強権的な政治モデルを確立した。「白人米国人」「イングランド人」といったアイデンティティーを軸に支持を集めるトランプ米大統領やジョンソン英首相は、既成政党の枠組みを維持しながらこうした手法を取り入れた点で、その完成型といえる・・・
原文をお読みください。

企業のお国柄、市場中心型と組織関係重視型と

2019年12月20日   岡本全勝

12月17日の日経新聞経済教室、「脱・株主至上主義の行方(中) 」広田真一・早稲田大学教授の「資本主義・企業の多様性重視」でした。
そこに、次のような記述があります。

・・・社会経済学者のピーター・ホール氏、デビッド・ソスキス氏らは、世界の資本主義は「自由な市場経済(LME=Liberal Market Economies)」と「調整された市場経済(CME=Coordinated Market Economies)」の2種類に分かれると主張する。この見方は「資本主義の多様性」と呼ばれる。

LMEの国とは、経済・ビジネス活動が市場での取引を中心に行われる国だ。金融取引の面では発達した株式市場があり、労使関係は契約ベースの労働市場で特徴づけられる。政府の経済への介入は少なく、資本の配分による経済的な効率性が重視される。一般に個人主義的な文化を持つ。代表的なのは米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどだ。
企業には「株主の利益」を最大化することが期待され、株主の権利を保護する法制度が整備されている。企業のパフォーマンスも短期的利益や株式価値で測られる傾向が強い。その企業観は標準的な経済学やコーポレートファイナンスの教科書に出てくる企業像(利潤最大化、株主価値最大化の企業)にぴったり合う。

一方、CMEの国とは、組織・ネットワークを生かした形で経済・ビジネス活動が行われる国だ。金融では銀行が中心となり、労働に関しては共同体的労使関係が特徴だ。政府の経済への介入の程度が高く、社会での平等性が重視され、共同体主義的な文化を持つ。代表的なのはドイツ、フランス、オランダ、オーストリア、スイス、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、日本などだ・・・

フランスの研究者留学制度

2019年12月20日   岡本全勝

12月15日の読売新聞文化欄「始まりの1冊」は、先崎彰容さんの『個人主義から<自分らしさ>へ』へでした。
日本思想史が専門の先崎さんが、フランスに留学します。そのきっかけが書かれています。

・・・文部科学省の留学制度「日仏共同博士課程」は、応募の条件として、仏語ができてフランスを専門外とする者と定めていた。
この奇妙な条件について、フランス大使館関係者は、大国アメリカに対抗するための制度であること、つまり理系文系を問わず、アメリカ一辺倒の現状を是正するためであると説明した。
フランス専門の研究者なら、黙っていても留学してくる。そうでない学生を自国に呼び込み、仏語で交流させ、各国に帰国させるのだ――国益を明確に説明されたときの驚きは今でも忘れない・・・

よく考えた戦略ですね。

リン・ハント著『なぜ歴史を学ぶのか』2

2019年12月19日   岡本全勝

リン・ハント著『なぜ歴史を学ぶのか』の続きです。次のような記述もあります。P87

歴史学は、時間に対して3つの扱い方をしてきました。
第一は「模範の探索」です。19世紀に歴史学が大学で学問となると、学生であるエリートの成年男子に対し、古代ギリシアやローマの歴史を教えました。彼らは、政治や軍事指導者になることを期待され、その最良のモデルとしてです。現在もなお、政治家は古典の中から、理想となる指導者や文章を引用します。

1800年代中葉から1900年代中葉に、模範の探索は、第二の「進歩の投影」に取って代わられます。
それは、歴史とは人類の進歩であると見なされます。古典時代が黄金時代であり、そこから堕落したとか、興亡の循環であるという歴史観に取って代わったのです。
その際には、進歩した西洋が、他の地域より優れているという考えがありました。他方で、国民国家を作るために、各国の歴史が作られました。

第三は「全地球的時間」です。最近の傾向です。歴史は単純な進歩ではない。各国が遅れて西欧に追いつくのではなく、各地域で異なった歴史が進んでいきます。また、人間の相互作用だけでなく、地球規模での環境、微生物や病気、植物、交通運輸、交易などが視野に入ってきます。ジェンダーもそうです。

政治の歴史から、経済の歴史へ、そして文化の歴史へと代わってきたともいえます。あるいは、政治家の歴史から、実業家の歴史、そして庶民の歴史に代わってきたのです。

GAFA、プラットフォーマー

2019年12月18日   岡本全勝

GAFA、ガーファって、聞かれたことがあるでしょう。グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの4大巨大IT企業です。
12月12日の読売新聞が「プラットフォーマーとは」で、詳しく解説していました。
・・・米グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムなどの巨大IT企業は、デジタル経済の舞台を提供する「プラットフォーマー」として、人々の生活に便利なサービスを提供し、社会に大きな影響力を持つ。4社は頭文字から「GAFA」とも呼ばれる。だが、あまりに大きくなりすぎ、その全貌をつかむのは難しい。利便性の反面、影の部分も大きくなり、国家による監視の目も厳しくなりつつある。
巨大IT企業はインターネット上で便利なサービスを無料で提供し、世界中から膨大な個人データを集めている。個人データが自由に使われれば、利用者にとっては望まないサービスを繰り返し勧められるなど不利益を被る恐れがある。複数の個人情報を組み合わせて分析し、勝手に人物像が形成される可能性もあり、歯止めが必要となる・・・

皆さん、聞いたことはあるけど、詳しくは知らないのではないでしょうか。
これらが抱える問題点は、記事を読んでいただくとして、4社を並べて比較しています。これは分かりやすいです。
例えば「グーグル 検索 世界シェア9割」とか。それぞれの巨大さ、独占状態が、よくわかります。