カテゴリーアーカイブ:社会の見方

世界で進む視力の低下

2026年4月23日   岡本全勝

4月6日の日経新聞に「近視の経済損失、25年後に年間15兆円?」が載っていました。
・・・視力の低下が経済成長の足かせになるかもしれない。2050年に世界人口の半数が近視になり、国内の経済損失は年間15兆円に上るという試算もある。緑内障や白内障を引き起こすリスクも高まるとされる。世界保健機関(WHO)は「近視は重大な問題だ」と警鐘を鳴らす。

人口の4割近くを高齢者が占める25年後の日本。3人に1人が強度の近視を患い、医療機関には視力低下に悩む患者が連日殺到する。膨れ上がる医療費を支える数少ない現役世代も、家族のケアのため離職を迫られる――。視力低下に有効な手立てをとれなければ、こんな未来が待っているかもしれない。
眼病治療薬の開発などを手掛ける窪田製薬ホールディングスの窪田良社長は「近視は単なる視力低下ではなく、労働生産性の著しい低下や失明リスクを招く現代の生活習慣病だ」と指摘する。
眼科医でもある窪田氏が、人口動態の見通しなどを加味して推計すると、最悪のシナリオでは50年に近視による経済損失が年間15兆円に達する。現在は年間6兆円程度で、損失規模は25年で2.5倍に膨らむ。
16年の米眼科学会誌に掲載された論文によると、50年に世界人口の約半数にあたる47億5800万人が近視となる見通しだ。世界全体の経済損失を年間4100億ドル(約60兆円)とする研究もある。

日本の近視人口は増加の一途をたどる。文部科学省の学校保健統計によると、25年度には視力が1.0未満の割合が小学生で4割近く、高校生では7割超に上った。それぞれ19%、53%だった1986年度と比べて大幅な増加だ。
スマートフォンやタブレット端末の普及のほか、新型コロナウイルス禍の感染対策で家の中で過ごす時間が増えたことも拍車をかけたとみられる・・・

図では、世界の人口のうち2000年では23%が近視でしたが、現在は30%を超えています。そして2050年には50%になると予測されています。

電子メールでのアンケート

2026年4月21日   岡本全勝

みなさんのパソコンやスマートフォンにも、迷惑メールや詐欺メールがたくさん届くと思います。かなりのものは、通信会社が削除してくれるのですが、それをすり抜けてくるのがあります。困ったものです。
自動車を持っていない私に来る「ETC(電子料金収受システム)について」とか、契約していない銀行などのメールは、悩まずに削除できるのですが。嘘かどうか迷うものもあります。

有名な出版社など登録している会社から「アンケートに答えると1000円のギフト券進呈」と来るのですが、「ひょっとしたら詐欺かもしれない」と思うと、答えることを控えます。
何を信用して良いのか、いけないのか。迷惑メールは、このような負の作用も生んでいます。

30年間で物価は2倍に、賃金は9割に

2026年4月21日   岡本全勝

4月6日の朝日新聞に「月刊データジャーナリズム」「物価2倍超、ウナギもサンマも」が載っていました。
・・・新年度が始まりました。このタイミングで値上げされた商品やサービスも多く、買い物をしていて「高い」と感じる場面も増えたのではないでしょうか。ここ30年の消費者物価指数を振り返り、物価の変遷を追ってみました・・・

・・・近年、物価の上昇が著しい。
総務省が食品や光熱費、教育などの値段の変化を数値化した「消費者物価指数(CPI)」によると、うなぎのかば焼きの値段は1991年から2025年までに約2.5倍になった。
比較可能な387品目で調べると、上昇率が2倍を超えたのは23品目。値上げが特に大きかったのは「たばこ(国産品)」と「さんま」で約2.6倍。「灯油」が約2.5倍、「わかめ」と「水道工事費」が約2.4倍だった。全体の82%にあたる318品目が値上がりしていた。

とはいえ、ここ30年超を見渡すと、日本はバブル崩壊後の1990年代から、物価や賃金が上昇しない傾向が長く続いていた。
2010年時点で値段が上がっていたのは55%にあたる213品目。消費者物価指数の総合指数も20年代に入るまで110%を超えることはなかった。
厚生労働省の毎月勤労統計では、従業員5人以上の事業所で働く人(自営業やフリーランスを除く)の賃金を基に計算した「購買力」を示す実質賃金指数は、この間に1割ほど減った。
物価の上昇に賃金の伸びが追いついていないことを示しており、この間は「失われた30年」とも呼ばれる・・・

1991年を100とした折れ線グラフがついています。総合物価指数は120.8、光熱水費や食料は140を超えています。実質賃金指数は88.2です。

人工知能と分身ロボットの未来

2026年4月20日   岡本全勝

結果で測るか過程で測るか」の続きにもなります。
人工知能やロボットが進化すると、どのような世界が生まれるか、想像してみましょう。本人が考えなくても、人工知能が問いに答えてくれます。分身ロボットが進化すると、本人の代わりにいろんな作業をしてくれます。

まず学生です。分身ロボットに授業に出席してもらい、本人は家で寝ていることができます。宿題や試験は、人工知能に答えてもらいます。楽ちんです。高校や大学の受験も、分身ロボットが受けてくれます。ただし、入学が許可されるのは本人ではなく、分身ロボットです。本人は進学できません。
もっとも、人工知能の性能が上がると、すべて同じような水準になるので、入学試験は意味がなくなります。

入社試験も、分身ロボットに受けてもらいます。会社での仕事も、分身ロボットがやってくれます。とても楽になります。でも会社は、分身ロボットを雇うのなら、自前のロボットに仕事をさせるでしょう。本人は解雇されるか、そもそも採用されないでしょう。こうして、就職できない人がでてきます。

人工知能を備えた車に乗って、「どこか楽しい場所に連れて行け」と指示します。いくつかやりとりがあって、選んだ行楽地に連れて行ってくれます。そのうちに、車が言います。「私が出かけていって、画像を自宅に送るので、ご主人は家にいてください」と。「いや、私はあの山に行きたいのだ」と言っても、車は「そんなしんどいことは、私に任せてください。あなたは、家で寝ていてください」と言って、勝手に走って行きます。

とても暗い未来が見えます。この想像は、どこが間違っているのでしょうか。

日本の投資の停滞

2026年4月20日   岡本全勝

4月2日の日経新聞経済教室、滝澤美帆・学習院大学教授の「日本は「イースト型」の経済成長を促せ」から。
・・・日本の労働生産性(時間当たり)はこの30年間、主要先進国で最低水準にとどまり続けている。深尾京司・経済産業研究所理事長の研究によれば、1人当たり国内総生産(GDP)を基準に見ると、日本が技術フロンティアから著しく乖離(かいり)した局面は鎖国下で産業革命に乗り遅れた江戸時代末期、太平洋戦争前後に続いて、1990年代以降が3度目だという。
今回の停滞は景気の波や政策の巧拙で全て説明できるものではない。日本経済が世界の技術の最前線から取り残されつつあるという、より根深い問題だ。
では、日本のどの産業で問題が生じているのか。バンアークらの研究(2019年)では産業をデジタル産業(ICT〈情報通信技術〉機器製造・情報通信)、デジタル集約的利用産業(金融・専門サービス・機械製造など)、デジタル非集約産業(建設・宿泊・運輸・農業など)の3群に分け、生産性への寄与を分析している。
表1に示す通り、日本の労働生産性成長率は全産業で低水準だ。世界金融危機後にデジタル産業の寄与が0.18%ポイントに急落し、デジタル集約的利用産業も0.13%ポイントにとどまる。デジタル非集約産業は危機後にわずかにプラスに転じた。全体の成長は0.39%まで落ち込んでいる・・・

・・・米国は経済全体の付加価値の約9%に過ぎないデジタル産業が、デジタル集約的利用産業と同程度の生産性寄与を生み出し、マッシュルーム型の傾向が見られる。ドイツは金融危機後にデジタル集約的利用産業が主役となる回復を示しており、イースト型に近い。
しかし日本はいずれにも当てはまらない。全セクターが低水準に収束し、成長のエンジン不在に陥っている。背景にあるのは二つの投資の停滞だ。有形インフラの老朽化と、無形資産投資の立ち遅れである。
有形インフラから考えよう。資本のビンテージ(世代)という概念が重要になる。ノーベル賞経済学者ロバート・ソローによれば、技術進歩は新規投資に「体化」される形で経済に浸透する。最新の機械や構造物には最先端技術が組み込まれているが、投資が滞れば資本ストックの平均年齢が上昇し、体化された技術水準が低位に固定される・・・

・・・無形資産でも立ち遅れは深刻だ。マスらの25年の研究は、現代の生産性成長ではICT投資単独ではなく、研究開発(R&D)・組織資本・人材育成・ブランドといった無形資産との補完的な投資が重要であることを示した。
表2には無形資産の有形資産に対する比率を日米独で比較した。日本は6〜8%にとどまり、16〜19%の米国に大きく水をあけられている。
さらに問題なのは表3が示す無形資産投資の偏りだ。無形資産全体に占める組織資本・人的資本の割合が、日本では約16%から約11%へと低下している。米国・ドイツがほぼ横ばいを維持するのと対照的だ。有形インフラと同様に、日本では既存の組織・人的資本の維持に資源配分が偏り、新たな能力形成への投資が相対的に抑制されている。
生産性低迷の背景には投資不足に加え企業規模の零細性という問題もある。一般に企業規模が小さいほど無形資産投資比率は低く、組織資本や人材育成への支出は後回しになりがちだ・・・