最近のドル安を見つつ、買ったまま放ってあった、谷口智彦『通貨燃ゆ-円・元・ドル・ユーロの同時代史』(2005年、日本経済新聞社)を読みました。面白かったです。第二次大戦で、イギリス・ポンドからアメリカ・ドルに国際基軸通貨が交代したこと。それは単に経済財政力によるものでなく、政治によるものだったこと。日本・円をアジア共通通貨にしようとする試みと挫折など。著者の主張のうち、どこまでが通説なのか、門外漢の私にはわかりませんが。
国際政治・国際経済の場で、一国の主張を通すだけの「能力」と「意欲」が必要であり、二つは別物であることが、よくわかります。もっとも、この「能力」と「意欲」は、国内政治でも必要なのですが。状況に流されるのでなく、状況を把握しつつ目標と戦略を立てること。そのためには、長期的な視野と持続する意思も必要です。これらが、日本政治と官僚に、欠けているようです。