10月20日の読売新聞、ロバート・トムソン、ニューズ・コーポレーションCEOのインタビュー「報道 AIは代替できず」から。
・・・生成AI(人工知能)の急速な普及で、ネット上に不正確な情報や真偽不明のコンテンツがあふれている。米メディア大手ニューズ・コーポレーションのロバート・トムソン最高経営責任者(CEO)が読売新聞のインタビューに応じ、生成AI時代に報道機関が果たすべき役割を語った。
トムソン氏は生成AIを「他者のコンテンツを要約し、再利用し、コピーしている『高度な分配ネットワーク』にすぎない」と指摘した。その上で、「ジャーナリズムの本質は『現在』を映し出し、歴史の第一稿を正しく記録することにある。過去データを処理するだけのAIには決して代替できない」と強調した。
また、人間が検証を重ねて生み出すニュースコンテンツをAIモデルの進化と維持に欠かせない「インプット」と表現し、人間が深く関わる報道の意義は、これまで以上に大きくなるとの見方を示した。
取材現場におけるAIの利用についても「人間の関与(ヒューマン・イン・ザ・ループ)」が必要との認識を示した。
AIは資料調査の効率化には役立つものの、最終的な執筆や何が重要かの判断は記者の役割だと訴え、「AIはパターン認識に基づく『線形思考』だが、人間はシナプスを通じた『水平思考』で創造的な発想ができる。記者の署名は読者への誠実な責任の証明だ」と話した。
―生成AI時代の新聞報道の存在意義は。
「AIは過去の情報を精巧に再構成して利用する『レトロスペクティブ(過去指向)』な存在だ。ジャーナリズムの本質は『現在』を映し出し、歴史の第一稿を正しく記録することだ。未来を見据え、現在を描く人間の取材・報道は、AIには決して代替できない」
「今起きている『現在』を、ジャーナリストが信念を持って報道することが非常に重要なのだ」
―報道コンテンツを「AIモデルの進化と維持に不可欠」と公言している。
「明らかにジャーナリズムがAIのインプット(情報収集源)になっている。問題は、多くのジャーナリズムを損なう形で再利用されている点だ。関係性を根本から変える必要がある」
―記事執筆でのAI利用はどう考えるか。
「効率的なリサーチに使うのは理にかなっているが、物事が重要かどうかを説明するのは記者の役割だ」・・・