ドイツに見る短時間勤務2

2026年10月1日   岡本全勝

「ドイツに見る短時間勤務」の続きです。田中洋子・筑波大学名誉教授の「パートは二流の補助労働者ではない」9月15日から。

・・・ドイツと日本の違いは、パート労働者の処遇にもみられる。無期雇用で、フルタイム労働者と均等な待遇が保障されている。ドイツでは、パートを低賃金で補助的な業務を担う「二流労働者」と捉えるのではなく、誰もが選べるポジティブな働き方へと転換させた。

2001年のパートタイム・有期雇用法によってドイツでは、労働者が性別や年齢、業種を問わず、個人の事情に応じて正社員のまま短時間勤務を選べるようになった。その結果、パートを選ぶ人はあらゆる仕事に広がった。スーパーのレジ係から航空会社の客室乗務員、医師や看護師、裁判官、検察官、外交官、企業の管理職や取締役、銀行の頭取、公務員に至るまでだ。
日本では、労働時間が少しでも短いと非正規の身分とされるが、ドイツに非正規労働者は存在しない。

パート労働者の賃金は、フルタイム労働者と同じ給与表をもとに支払われる。労働時間に割合をかけた比例方式で計算される。ある人が週40時間労働のところを週20時間だけ働いた場合、給与は50%となる。週3日勤務を選んだ人は、週5日勤務者の給与と比べて60%の給与となる。
ドイツでは働き方をパーセンテージで話す。「今70%で働いているけど、今度85%に増やそうかな」「親の介護が必要になってきたから100%を75%にする」といった具合だ。
パ―ト労働者は、賞与や社会保険、有給休暇、福利、昇進・昇給、研修等でフルタイム労働者と差別されない。

事業主も面接で「フルタイムがいいですか、パートで働きますか」と聞く。労働者は自分が望む時間を申告すればよく、労働時間の短さをとがめられることはない。事業主がパート労働者とフルタイム労働者の間で、その後のキャリア展開に差をつけることもない。
パートを選ぶ理由さえ問われない。育児でも介護でも、キャリアアップの勉強でも自分のプライベートを充実させたいという理由でも、何でも許される・・・