8月2日の日経新聞別刷り「文化時評」に、「怠け心が育むフランスのイノベーション 効率が生む余暇、創造の源に」が載っていました。「日本人はハイテク好きで、新しいもの好きの国民といわれる。だが、フランス人も負けず劣らず技術革新を受け入れる。ただ、その動機には少なからず違いがあるようだ」が主旨なのですが、ここでは、次の部分を紹介します。
・・・仏タイヤ大手ミシュランで研究開発を率い、日本法人トップなどを経て、日産自動車の筆頭独立社外取締役を務めるベルナール・デルマス氏は「フランス人はややこしいことを嫌う」と話す。イノベーションを「物事を簡単にし、自由な時間を得るための手段」と考える。
生まれた時間は自分のために使う。それは余暇となり、趣味や文化的な活動を楽しむ時間となる。では、日本はどうか。デルマス氏の目には「仕事の生産性と質を高めることに目的が絞られがち」と映る。勤勉さが尊ばれ、怠け者と思われたくないという意識もある。
人工知能(AI)の急速な普及も、本来は煩雑な仕事から人々を解放し、自分のために使える時間を増やすはずだった。だが現実は、必ずしもそうなっていない。
調査会社マクロミルの「生成AIの活用実態調査」の結果は興味深い。生成AIを導入した現場では、1日平均75分の業務削減効果が生まれている。ところがその時間の使い道を尋ねると、最も多かった回答は「以前は手が回らなかった別の業務・雑務」だった。「創造性や感性を伴う業務」は3割に満たず、「特に何もしていない」は1割程度にとどまる。忙しさは必ずしも軽減されていない実態が浮かび上がる。
「仕事からの切り替え困難に対する心理的支援」の著書である国学院大学の内村慶士助教は「日本人は時間があると仕事で埋めようとする傾向が強い」と指摘する。特に20〜40代は経済的な不安から「自由な時間より働いて収入を増やす」考え方が強いという・・・
余暇や自分のために働くフランス人と、時間があれば仕事で埋める日本人との違いが指摘されています。フランスに見習うべきとは言いません。それが日本人の勤勉性の基礎にあるのでしょう。しかし日本人は、昔から仕事人間だったわけではないようです。貧しい時代でも、農民も農閑期には遊んでいます。戦前の労働者も、真面目人間ばかりではなかったようです。仕事人間は、経済成長期につくられたのでしょう。
私も、余暇を楽しめない一人です。抱えている連載がすべて完結したら、余暇ができるかな。