7月6日の日経新聞夕刊に「アメリカ、高校で金融教育の義務広がる 職業選択などに好影響を期待」が載っていました。
かつては、「一生懸命働けば食べていくことができる」「出世すれば、よい暮らしができる」「お小遣いは貯金する」という教えしかありませんでした。私も、早い段階で勉強しておくべきでした。しかし、よい教科書もありませんでした。今はどうでしょうか。
・・・米国の高校で家計のやり繰りや投資の方法などを学ぶ金融教育が広がってきた。2008年のリーマン・ショック前にほとんどみられなかった州全体で義務にする措置が、全米の半分以上の州で実践されるようになった。若者たちの職業選択など人生にもいい影響を及ぼすと期待されている。
経済教育協議会(CEE)が3月に発表した報告書によれば、金融教育が高校で義務になったのは全米39州に及び、米国の半分以上の州に広がる。直近でもカリフォルニア州やデラウェア州、コロラド州、ハワイ州などが義務化した。
ロードアイランド州では21年、金融教育が高校の卒業要件になった。ポール・カフィー高校ではゴンザレスさんら主に3年生が3カ月半ほど、金融に関する授業を毎日受ける。ジェネビーブ・シュルツ校長は「大人として成功し人生をうまく切り抜けていくために必須の知識だ」と話す。
他の生徒の多くが、クレジットカードの仕組みやおカネの借り手の信用度を示す指標に特に関心を持ったという。会計士や医療技術者、獣医などそれぞれの生徒が具体的に目指す仕事に就いたことを想定して、最初の1カ月目の収支計画を立てる課題にも挑戦した。
クラスの中には貧困家庭で育つ生徒もいる。教師のグリフィン・クワークさんは「この授業は格差是正の面でも大きな役割を果たしている」と熱心に指導する。
大学に進学したポール・カフィー高校の卒業生は節約のために大学の寮に入らずに自宅から通う例が多いという。米国では働いてからも長い間学生ローンの返済を強いられるのは珍しくない。同校3年のハズメル・カシミロ・ペナさんは「奨学金がもらえることが決まったので借金せずに大学に行ける」とほほ笑む。高校で金融教育を受けた成果とも言える。
高校での金融教育を米国で初めて州全体の義務にしたのはユタ州だった。03年に成立した法律に関わった州公認会計士(CPA)連盟のスーザン・スピアーズ最高経営責任者(CEO)は「ユタ州は自己破産率で当時、全米ナンバーワンの状況が数年続いていた」と振り返る。
状況を打開するために思いついたのが高校生への教育だった。スピアーズ氏は「子供が学んだ知識を親にも話してくれることにも期待した」という。独調査会社スタティスタによると、ちょうど20年たった23年のユタ州の自己破産率は全米13位にまで改善した。
ニューヨーク州でも、今年の秋から公立の中学校と高校で金融教育が義務になる。ニューヨーク市内のヘラルド・スクエア公園では、それに先駆けて18年から大人向けに毎月数回講座が開かれている。毎回4〜5人が集まって、昼食を食べながら講師の話を聞く。
イベントを主催するフューシャ・ローズさんは「国語や数学、読み書きのように基礎的な知識として、小学校でも金融教育を取り入れていいと思う」と訴える。幼いときから学んでいれば、大学に進学するかどうかの選択やその後の職選びなどでも別の道を進むことができた人もいるかもしれないと考えるからだ。
公園の講座に参加した50代のフレードー・ビクトリアさんは「自分も子供のときに授業を受けたかった。特に投資の仕方などを学ぶ機会があったらよかったのに」と口にする・・・