「コメ輸出より減反、半世紀」の続きです。2面には続きが載っています。
・・・輸出が補助金頼みになるのは、日本の米価が国際水準からかけ離れて高いからだ。農水省によると、25年産の国産米の業者間取引価格(1キロあたり)は627円。タイ産はその10分の1の63円、米国産は4分の1以下の142円だ。
政府は昨年4月、「食料・農業・農村基本計画」を閣議決定し、24年は4・6万トンだった輸出量を、30年に35・3万トンに増やす野心的な目標を掲げた。だが、25年はほぼ横ばいの4・8万トンだった。
「今の米価では高すぎて売ることは難しい。米価が大きく下がれば輸出は伸びるだろうが、生産者団体としてそれは受け入れられない」。JA全農の高桑健太郎・米穀部原材料課長はそう話す。
日本は60年代後半に、コメ余りの時代に突入した。そのころには、人件費が上昇するなどして国際競争力を失っていた。経済原理に従えば、コメが余れば米価は下落し、国際競争力は回復していくはずだった。だが、実際にはそうはならなかった。農水省は関税などで国内市場を海外と隔離したうえで、予測する需要量にあわせて生産量を抑制する減反政策を続け、米価の高値誘導を続けたからだ。
高い米価は、疲弊する地方経済を下支えし、農家を主な支持基盤とする自民党が安定政権を築くことを可能にした。
その一方で、消費者は、税金や社会保険料の負担が増すなかでも、高いコメを購入し続けることを強いられた。高い米価のもとで生産性が低い零細農家が残り、農家の技術革新も停滞した。この結果、世界有数だったコメの面積あたりの収穫量は、いまではトップ集団から脱落し、かつて日本が大きくリードした中国にも抜かれた・・・
・・・コメ農家(個人経営)の25年の平均年齢は71・1歳。農家数は、5年前から25%減った。団塊世代の引退で、担い手減が一段と加速することが確実視されている。
離農者が手放した土地を、別の担い手にスムーズに移行できれば、コメの自給は続けられる。大規模化による生産性の上昇で、消費者は安くコメを食べられるようになるかもしれない。ただ、移行が進むとは限らない。
千葉県北部の沼南ファームは、130ヘクタールの農地を耕す全国有数の大規模農家だ。橋本英介社長(52)が就農した25年ほど前は60ヘクタールほどだったが、離農者の土地を引き受けてきた。だが、「これからは、引き受ける農地の仕分けに入る」という。
離農で土地を引き受けても、点在していたり、斜面にあったりする農地は、最新の農機具で効率的に耕すことができず、手が回らないからだ。
終戦直後の農地改革で475万戸もの零細な農家が生まれた。小作農を貧困から解放した一方で、農地の細分化で、生産性が低くなる副作用をもたらした。大規模化しても、農地が点在しがちなのはこのためだ。
新しい担い手への農地の移行を進めていくためには、農地の権利を整理し、まとまった農地にしていくことが欠かせない。だが、農水省は「憲法が保障する財産権の制約があり、実行は難しい」(幹部)として、有効な対応策を打ち出せずにいる・・・