孤独にならないための親密圏

2026年2月24日   岡本全勝

2月6日の朝日新聞オピニオン欄は「孤独にならないヒント」でした。
・・・ひとりでいることが、気楽な人もいれば、寂しさのあまり孤独を感じる人もいるのでは。望まない孤独なら、どう避けられるのか。問題を悪化させないためのヒントとは・・・

宮本みち子教授の「血縁以外も、新しい親密圏」から。
・・・東京都区部に住む35歳から64歳の「ミドル期ひとり暮らし層」の実態について、プロジェクトチームを組んで調査しました。この地域ではミドル期人口の約3割がひとり暮らしで、全国の先端を歩んでいます。
ミドル期非婚者の特徴は社会関係が乏しいことで、数日、発熱で寝込んでしまった時の不便さと心細さはひとり暮らしに共通する経験です。孤独や貧困は健康に悪影響を与えるという米国の調査もあります。

団塊ジュニア世代を含む現在40~50代の就職氷河期世代は、バブル崩壊やリーマン・ショックを経験して不安定な雇用を余儀なくされ、晩婚化、非婚化率が高まった先頭集団です。なかでも、低収入で仕事に恵まれていない男性ほど非婚率が高い。非婚理由の3割は経済的な問題であり、その理由として「男が家族を養うべきだ」という価値観の根強さが挙げられます。
半面、仕事も所得も安定しないまま非婚を続ける女性も増えています。そんな女性たちが高齢になったときが問題で、基礎年金だけでは生活が成り立たない。家庭と仕事の両方から排除された存在と言えます。

孤独と生活不安を救済するには、社会が家族形成を権利と位置付けることが必要です。また、結婚する以外の選択肢も増やす必要があります。しかし、日本社会は血縁ではない親密圏をつくることに抵抗が強く、結婚するか非婚でいるかの二者択一しかないのです。
近代以降の社会では自分自身をコントロールして生きていく自律の理念が奨励されてきたため、単身者もそういう傾向が強い。人生で大きな失敗をしたときも他人に頼れず、助けてと言えません。

今後も孤立化は進み、2050年には全世帯のほぼ半数がひとり暮らしになると推計されています。配偶者との生活や子育てなどを経験せずに何十年もひとりで過ごす人が多数派になれば、家族に代わる生活保障機能が必要となり、社会のしくみを大きく変える必要があるでしょう。
戦後、マイホーム主義という言葉が生まれ、社会のなかで核家族が孤立した状況が広がりました。それから半世紀以上が経ち、いまや家族よりも小さな単位である個人がひとりで立っている状況です。マイホームに戻るのではなく、結婚の多様化をはじめとする新しい親密圏をつくるような動きが生まれ、社会的にも支持されるようになって欲しいと考えています・・・