災害時の虚偽情報

6月2日の日経新聞、久保田啓介・編集委員の「防災DXの光と影 デマ克服し長所伸ばせ」から。

・・・能登半島地震から5カ月。発生直後から復旧・復興までさまざまなデジタル技術が登場し、今後の活用に期待が膨らむ。一方で、SNS(交流サイト)ではデマが飛び交い、防災DX(デジタルトランスフォーメーション)の光と影を浮かび上がらせた・・・
・・・一方で「影」はデジタル空間に虚偽情報があふれたことだ。「家の下敷きになった。すぐに救助を」といった虚偽の要請や津波被害などのニセ画像がSNSで流布した。情報通信研究機構が地震後24時間の投稿の一部を分析したところ、救助要請に関連する1091件のうちデマと推定できた投稿が104件を占めた。
2019年の台風19号災害では長野県がSNS投稿を約50件の救助に結びつけ、救助・救援の切り札とも期待されただけに関係者は衝撃を受けた。「正しい投稿を否定するデマまで現れ、虚実がわからなくなった」と研究者は嘆く。

人工知能(AI)が社会に浸透するなか、DXの便利さと危うさは社会のあらゆる場に潜む。特に災害時には影の部分が鋭く頭をもたげることに注意が要る。
とりわけ懸念されるのが南海トラフ地震や首都直下地震など巨大災害時だ。心ないデマだけでなく、インフラを動かす重要データの書き換えなど「悪意ある攻撃」が国家規模で仕掛けられる恐れすらある・・・