今日は、静岡大学での日本地方財政学会大会に行ってきました。朝10時からの共通論題「環境と災害」の「東日本大震災被災自治体の財政に関する分析」(宮崎雅人先生発表)の討論者に指名されたので。
宮崎先生の分析は、被災地域市町村の決算統計から、主に何に使われたか、その地域別の違いと経年変化とを読み取ったものです。総務省自治財政局が、復興分を別枠にして統計を取ってくれていること、それを公開しているので、分析が容易になりました。先生の分析は丁寧なもので、かつてない災害に対し自治体がどのような支出をしているかがよくわかります。私たち復興庁が見て感じている内容と合致しています。その上で、私からは、さらなる分析をお願いしました。
・過去の大きな災害と比べ、どのような特徴があるのか。
・今回、国が異例の財政措置をしたことが、どのような影響を与えているか。
・今後の財政状況はどうなるか(土地建物の被害による固定資産税の減収、公営住宅などの増加による維持管理費の増など)
このほか、「粗大ごみの有料化に関する実証分析」「神奈川県の森林保全をめぐる財政支出の構造と変化」も良くできた分析でした。神奈川県庁の税財政経験者かつ水源環境保全税に関係した教授も出席していて、実のある討論が行われました。
若手研究者が実績を上げ、活躍してくれるのはうれしいですね。地方財政は、現場を持った、現場に近い学問分野です。研究室で理論や数式だけを扱うのではなく、自治体がどのようなことで悩みどのように立ち向かっているか。目の前に課題とデータがあるのです。地方在住の研究者にも、同じように現場と課題があります。また、自治体も研究者を求めています。自治体の施策の検討や検証に、学者の目が欲しいのです。
研究者にはもっと、自治体に研究テーマについてデータをもらいに行ったり、疑問点についてヒアリングに行ってもらいたいです。自治体にも、近くにおられる研究者に相談に行き、データを提供して欲しいです。