若者の報道不信に応える

2026年3月7日   岡本全勝

2月20日の朝日新聞オピニオン欄、藤村厚夫さんの「若者に信頼される報道スタイルを」から。

・・・若者にニュースがどう見えているかを、米国の10代を対象にして探った衝撃的な調査結果がある(「ニュースリテラシープロジェクト」2025年11月)。報告書によれば、10代(13~18歳・756人を対象)の8割以上がニュース(メディア)に否定的な感情をいだいている(前年の調査では7割近くが「意図的な偏向を加えている」とも見ている)。さらに、報道機関やジャーナリストらの振る舞いを「文脈を外れて写真や動画を切りとっている」(60%)、「情報提供に対価や便宜を与える」(51%)、「引用などの細部を粉飾する」(50%)などと見ていることもわかった。若者のニュースへの不信感はこのように深いのだ。

海の向こうの話だと思っていてはいけない。電通が24年に実施した調査で、高校生・大学生にとって「信頼できる情報源は、ほとんどない(信頼できる情報源だと思っている割合は、SNSを含めたほぼすべてのメディアが10%前後)」との結果が出た(電通マクロミルインサイト・若者まるわかり調査)。
内訳では、テレビ番組(ニュース)への信頼は31・1%と格別に高いものの、X、ユーチューブ、インスタグラムの情報より「新聞記事」は信頼が低く、11・1%にとどまる。国内でもニュース不信は深いと見るべきだ。

ニュースを報ずる側にできることはなにか。先にあげた米国の調査で、10代の若者が「改善すべき点」を回答している。「正直であること/事実を正しく伝えること」(283人)、「偏向の最小化/バランスの改善」(138人)が1位と2位にあがっている。続く「ポジティブ(前向き)な報道」と「重要な出来事の発信」がいずれも19人と大差があることから、ファクト(事実)への希求と偏向への危惧という対をなす命題が飛び抜けて大きい。
この現状を知れば、「報道をこれまで以上に正確に行っていく」では済まされない。若者の求めに応えるニュースの「創り方」と「語り方」が必要だし、そんな報道スタイルの実践を若者が見えるようにしなければならない。

「事実を伝える」「偏向の排除」を明示する報道スタイルの開発では、米国での試みが参考になる。まず、新興メディア・セマフォーの事例を紹介しよう。セマフォーでは、客観情報に絞って伝える「ニュース」、記者の視点や意見を伝える「ビュー」、注目すべきポイントなど、小見出しを付したセクションを設けて見せる。ニュースの読解を手助けするという意義もあるだろうが、「事実」と「意見」の違いを読者が理解して読み取れる効果が期待できる。執筆する側にも、「ニュース=事実」セクションでは事実に徹した記述を促されるはずだ。「だれが(述べたのか)」も明示せずに「との指摘もある」などとしたり、匿名コメントを乱発したりするような主観の押しつけにつながるスタイルは消滅を迫られる・・・