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部下が上司を選ぶ制度2

2025年9月21日   岡本全勝

部下が上司を選ぶ制度」の続きです。この記事には、中原淳・立教大学経営学部教授の「部下が上司を選ぶ制度は「劇薬」 専門家が語る効果と副作用」も載っています。

――部下が上司を選ぶ制度を採り入れる企業が出てきています。

管理職の定義は、部下の能力を伸ばし、チームで成果を出すこと。ただ、能力は高くても部下の育成やチーム作りに関心がない管理職はどの組織にもいます。そういう問題のある管理職をあぶりだすシステムとしては有効だと思います。しかし、副作用を伴う「劇薬」でもあります。

――副作用とは?

上司が言いたいことを言えなくなる。例えば、耳の痛い注意や厳しい評価のフィードバックは避け、部下にとって耳に心地よいことしか言わなくなる可能性もあります。
普通の会社では管理職は昇格人事なので、部下に選ばれずに降格となれば、給与も下がるかもしれない。そうなると本人のモチベーションは下がってしまいます。

――誰も管理職になりたがらなくなる?

一般的に会社員が管理職に昇格したいと思うのは、給与アップ、人事など裁量が増える、人を束ねて大きな仕事ができる、この三つが主な理由です。ただ、部下に選ばれ、評価され、査定などもできないとなると、管理職のインセンティブは下がりかねない。
管理職は嫌われ役となり、時には耳の痛いことも言い、部下を指導し、チームをまとめていくことが仕事です。管理職を人気投票のように選ぶことで、部下への指導という重大な役割がこぼれ落ちる危険性もあります。

新・酔生夢死

2025年9月20日   岡本全勝

「酔生夢死」とは、酒に酔い夢見ごこちで一生を過ごすことです。まことに楽しそうな人生です。今どき、こんな人生を送ることは無理でしょう。その前に、破産するか、体を壊すでしょう。もちろんたとえ話であって、その時々は楽しくても、価値の少ない人生の送り方を戒めたものでしょう。

通勤途上で、早朝からスマートフォンでゲームや動画に夢中になっている人を見ると、他人ごとながら心配になります。熱中するほど、ゲームや動画は楽しいのでしょう。しかし、学業や仕事はおろそかになるでしょう。一日に何時間もやっている人も多いとのこと。そして、危険でも歩きスマホをし、他者への配慮を忘れています。他人との付き合いも減るでしょう。
で、浮かんできた言葉が、「ゲー生孤死」です。
ゲームに夢中になり、孤立して一生を過ごすことを表しました。もっと良い表現はありますか。

「車中でも 食事中でも 歩いても スマホに吸われる 私の頭」詠み人知らず
啄木の名歌の爽やかさに比べ、美しくないですね。
「不来方の お城の草に 寝転びて 空に吸はれし 十五の心」石川啄木

部下が上司を選ぶ制度

2025年9月20日   岡本全勝

9月8日の朝日新聞に「部下が上司を選ぶ制度、うまくいく? 新しい管理職を総選挙、忖度なし」が載っていました。
・・・上司が部下を評価し、人事を決定するのは会社組織の常識。半面、上司との折り合いの悪さを理由にした離職者も後を絶ちません。そんな中で、部下が上司を選ぶ制度を採り入れる企業も出てきています。組織運営はうまくいくのでしょうか。

社員の投票で管理職を決める「総選挙」を2016年から実施しているのは、ストレッチ専門店やホテル事業などを手がけるnobitel(ノビテル、本社・東京)だ。ノビテルは現在、「ドクターストレッチ」を全国に約270店舗展開し、13人の「エリアマネジャー(AM)」がそれぞれ店舗を統括している。
新しいAMを選ぶ「総選挙」が行われたのは5月21日。事前の業績評価や経営陣へのプレゼンを勝ち抜いた4人の候補者が会場で熱意をアピールした。1千人以上の社員による「スマホ投票」で、横浜ポルタ店店長の高木塁さん(29)が1位に選ばれた。

総選挙の発案者は黒川将大社長(54)だ。
部下の評価に管理職が多くの時間を費やしていたことに疑問を抱いた黒川社長は、従業員の人事評価をランダムに選び、従業員らに聞き取り調査をし、その評価が適切かどうかをチェックした。
「どの評価にも大なり小なり、上司にとっての部下の好き嫌いが影響していた」
社内をよく観察すると、管理職が「派閥」を形成し、人事に影響が出始めていた。従業員らは顧客よりも、自分の評価や人事を握る上司の顔色をうかがうようになっていた。
そこで「総選挙」を採り入れるとともに、社員の給与は上司の評価ではなく、売上高などの指標に基づいて決めるようにした。
人事評価制度がクリアになったことで、上司への忖度がなくなったという。「僕に対しても誰も気を使ってくれませんが、健全だと思っています」と黒川社長は笑う・・・
(この項続く

連載「公共を創る」第235回

2025年9月19日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第235回「政府の役割の再定義ー現在の政党の機能不全」が、発行されました。前回から、政治主導の時代における、政党と官僚の関係を議論しています。

政党は、政策の束(選挙公約)を示してできるだけ多数の国民の意思を集約し、議員の集団となる多数派を構成し権力の座を目指す仕組みとして、代議制民主主義において不可欠の存在です。憲法に「政党」という言葉が出てこないことが、不思議なくらいです。ところが日本では、政党は「評価の低い」存在です。
官僚主導政治が成果を挙げたことも、その原因でしょう。政治に責任を持っているのは官僚機構であり、与党として自由民主党が、内閣と国会において協働する。一部の野党が報道機関や進歩的な学識者と共に、それを批判するという構図が出来上がったのです。この構図では、確かに政党の存在が薄くなってしまいます。

現在の政党の機能不全の原因は、政党側と社会の側双方にあるようです。前者は、各党の努力(支持者の獲得とそのための政策の提示)の不足であり、後者は、社会の変化と対立軸の複雑化・不明確化です。
まず、政党の努力不足とは、次のようなことです。
その一つ目は、支持者獲得の努力です。55年体制では、農業や自営業、経営者や管理職などを自民党が代表し、労働者や貧困層を社会党が代表しました。政党は支持者を確保し拡大するために、党員の拡大と支持者の取り込みに励みます。自民党は各種の業界団体と友好関係を築き、社会党は労働組合と二人三脚でした。ところが、このような条件はなくなりました。各党は、それに代わる党員確保や支持者獲得のために、組織的努力をしているのでしょうか。戦略的に、下部組織の拡大と党員の確保を行っているようには見えないのです。

政党の努力不足の二つ目は、支持者獲得につながる、一定層に狙いを絞った政策の提示という点です。支持者の確保・拡大のために政策を磨いているようにも見えません。選挙の際に発表される公約は総花的で、国民のどの層・どの地域・どの集団を主に狙っているのかが不明確なのです。

コンテンツ産業の現状

2025年9月19日   岡本全勝

9月3日の日経新聞経済教室、中村伊知哉・情報経営イノベーション専門職大学学長の「コンテンツ産業の振興、デジタルの活用余地大きく」に日本のコンテンツ産業の現状が紹介されていました。

・・・日本のコンテンツ市場は2023年に13・3兆円で拡大基調だ。特に配信などオンラインは2011年に全体の13・4%だったが、2023年は46・5%を占めた。新型コロナウイルス禍による巣ごもり需要もあり、近年の市場拡大はほぼデジタルが担った。
同時にデジタルは海外市場を切り開いた。日本発コンテンツの海外売り上げは2023年に5・8兆円となり、10年間で3・6倍に成長した。半導体や鉄鋼の輸出額を超え、自動車に次ぐ第2位の規模となった・・・

図表もついていますが、経済産業省の「エンタメ・クリエイティブ産業戦略」が出典です。報告書の4ページに載っています。
ところで、「コンテンツ」は、日本語では何と言ったらよいのでしょうか。中学生に説明するには、どう表現しますか。