年別アーカイブ:2025年

技能を身につける

2025年3月3日   岡本全勝

若手官僚の職場への不満の一つに、「技能が身につかない」があります。連載「公共を創る」第157回「官僚の役割ー現状分析」で、若手官僚の悩みを紹介しました。
この人たちを対象に研修の講師をする際に、内閣人事局の担当者たちと議論して、若手官僚の悩みを整理しました。それは、「どのようにしたら良い仕事ができるか」「どのようにしたら官僚としての能力が身に付くか」といったことよりも、次の三つでした。
・生活と両立しない長時間労働がいつまで続くのか。
・従事している仕事が国家国民の役に立っているのか。
・この仕事で世間に通用する技能が身に付くのか。

ここにも、技能を身につけたいとの希望、現状では身につかないのではないかとの不満がありました。ところで、彼ら彼女らは、どのような技能を考えているのでしょうか。私の経験では、最初の5年間は仕事を覚えることで精一杯でした。そしてその後も、勉強することばかりでした。
若いうちは、与えられた仕事を覚え、さらに現状の問題点を考え、改善することを考えました。その分野の第一人者になることを目指しました。
あわせて、上司や先輩の仕事術を学びました。よいお手本もおられましたが、反面教師もいました。それは、将来自分がそのような席につくための勉強でした。

そこで得た知識と技能が、他の職場で通用するか。それは、一概には言えません。もっとも、それは官僚の世界だけでなく、企業や民間団体でも同じでしょう。「技能を身につける2」に続く。
参考「官僚で身につく技能」「東京海上日動火災保険社員の転職記」の「損保社員の市場価値

自殺者の8割、生前に行政と接点

2025年3月3日   岡本全勝

2月13日の日経新聞夕刊に「自殺者の8割、生前に行政と接点 江戸川区、職員は「命の門番」に」が載っていました。

・・・自殺した区民の8割以上が生前に区と接点があった――。2024年9月、東京都江戸川区がこんな調査結果を公表した。ある1年間に自殺した103人と区の関わりを調べたところ、申請手続きや生活相談などで8割以上と何らかの接点があった。苦悩する区民との「点」のつながりを行政はどう生かせばいいのか。現場で模索が始まっている・・・
・・・区は全庁を挙げて、自殺者との接点を調べることにした。中心となったのが健康部の大沢樹里副参事といのちの支援係の係長だ。ある1年間に自殺したと判別できた区民103人について、関わった部署や時期、内容などを調査。一般社団法人「いのち支える自殺対策推進センター」とも連携協定を結び、調査結果の分析を依頼した。
約1カ月をかけた調査の結果は、関係者も予想外の内容だった。
自殺者103人のうち接点があったのは85.4%の88人。住民票や戸籍の手続き、各種申請、生活上の相談などで29部署に何らかの関わりがあり、うち17課は相談を受けていた。

中でも目立ったのが、税金や社会保険料の滞納を巡る相談だ。督促や催告を担当する「納税課」や「医療保険課」、「介護保険課」などが10人以上から相談を受けていた。
生活保護の申請を受け付ける「生活援護課(第一〜三)」や、精神疾患や心の悩みなどに対応する「保健予防課」にも複数人から相談があった。
相談はないが、接点となる機会が多い部署の存在も分かった。例えば、転出入届の窓口となる「区民課」は50人を超える区民と接点があった。
経済的に困窮している人は精神的にも追い詰められている可能性が高い。
転居の背景には離婚や転校、転職など様々な家族の事情がある。生活環境の変化そのものが精神的な負担となる場合も少なくない。
大沢さんは「『自殺対策は全庁で取り組む』という目標を掲げていたが、各部署へのヒアリングで職員の意識に差があったことも分かった」と振り返る。

区は昨年9月、調査結果を公表し、対策強化に取り組んでいる。
8月下旬には管理監督職865人全員に理念研修を実施。いのち支える自殺対策推進センター代表理事でNPO法人「自殺対策支援センターライフリンク」の清水康之代表が登壇し、部署間の連携を深めて点と点を線で結び、面にしていく重要性を説いた。
陸上のリレー競技に例えて「バトンを落とすことなく、しっかりと必要な部署につないでほしい」と呼びかけた・・・

肝冷斎に春が来ました

2025年3月2日   岡本全勝

このホームページでしばしば取り上げている肝冷斎。愛好家もおられると思います。最近の日誌では、私のホームページを取り上げてくれることも多いです。

読書と本の購入は相変わらずのようで、先日は、壁に積みあがっていた書物が大崩れしてひどい目に遭ったそうです。私も、他人のことを笑えませんが。
3月になり、双六付きのカレンダーも新しくなりました。そして、いよいよ野球観戦です。

フィンランド、危機に備える「幸せの国」

2025年3月2日   岡本全勝

2月12日の日経新聞夕刊、「危機に備える「幸せの国」 ロシアの隣、愛憎相半ば」から。
・・・近く3年となるロシアのウクライナ侵略は隣国の安全保障観にも変化を生んできた。ロシアと隣り合うフィンランドでは危機に備える意識が高まり、国境沿いで不法移民を防ぐフェンスの建設が進む。身近な脅威と向き合う「幸福度世界一」の国民は何を思うのか。現地で探った・・・

・・・とはいえ現実に迫る脅威は国民の自衛意識を高めている。24年12月末にエストニアとの間で起きた海底ケーブル破損のように、非軍事手段を組み合わせたロシアの「ハイブリッド攻撃」と疑われる事案も相次ぐ。
ケーブル破損に関与した疑いで捜査中のタンカーが停泊する南部ポルボー。地元のニック・ウェンストロムさん(34)はロシアによる侵攻の可能性を念頭に「覚悟はできている」と国を守る決意を語る。

忍び寄る危機と裏腹に、国連の世界幸福度ランキングで7年続けて首位に立つフィンランド。ウェンストロムさんに理由を聞くとこんな答えが返ってきた。
「フィンランド人は他人を気にせず人生を好きに生きるからではないか。でも……」。一呼吸置いて続けた。「誰かがいじめを始めたら団結して助け合うメンタリティーを持っている」

こうした精神性は過去に侵略を受けながらも独立を貫いた歴史に根ざす。第1次世界大戦中のロシア革命を契機に独立を果たしたフィンランドは、第2次世界大戦中のソ連との交戦に耐えて併合や衛星国の道を逃れた。
22年2月のウクライナ侵略を機に国防意識はさらに高まった。北大西洋条約機構(NATO)加盟の是非を問う民間の世論調査では同年に賛成が7割を超え、侵略前の2割台から急上昇。軍事的中立を転換し23年4月に加盟した。
内務省で救助業務を担うミッコ・ヒルトゥネン氏は「第2次大戦以来、多くの人は常に戦争の可能性があると考えている」と説く。同省は24年11月に「危機への備えガイド」を公表し、水や食料の備蓄などを国民に周知した。

「将来が不透明な中で危機に備えるのは保険のようなもので安心感がある」。1月中旬、ヘルシンキで4歳の息子と避難シェルター機能をもつ地下スポーツ施設へ来たアンナ・インゲットさん(36)は自国の備えを評価する。
記者はこの一言で台湾有事に巻き込まれるリスクのある日本最西端の沖縄県・与那国島の住民の言葉を思い出した。22年8月に中国軍が演習で近隣海域へミサイルを撃った際、取材した島民は「いざ戦争になったら逃げ場がなく不安に思う」と口にした。
安心と不安――。その差は準備の違いが生む。
フィンランドでは1200平方メートル以上の建物にシェルターの設置を義務付け、全国5万カ所超に人口の9割近い480万人を収容できる。普段は民間業者がジムや駐車場などとして運営し、有事にはベッドやトイレを設置して72時間以内に避難所にする・・・

匿名投稿の危なさ

2025年3月1日   岡本全勝

匿名の発信が、あふれています。すべてとは言いませんが、無責任、読むにたえないものも多いです。私はソーシャルメディア(SNS)を使いません。
アマゾンで本を買うときに「評価」の欄を見ることがあります。低い評価(星が一つとか)は気になるので、見てしまいます。正当な意見ではなく、感情にまかせたような罵詈雑言もあります。「実名ならこんなことは書かないよな」と思います。

私のホームページは、このように実名です。発言には責任を持たなければならないと考えているからです。
それに対し、「みんなが、あなたのように強くはないのです」と言う人もいます。いえ、実名なら言えないような内容は、書かなければよいのです。そのような内容なら、知人と喫茶店か飲み屋で他人に聞かれないようにして、思いっきりしゃべってください。
読んだ相手がどのような気持ちになるか。それを考えない発言は、危ないです。批判をするなとは言いません。するにも、礼儀があるということです。あなたが逆の立場になった場合を考えてください。

2月14日の読売新聞に「SNS投稿 実名?匿名?」が載っていました。
・・・SNSは情報の発信・収集の手段として欠かせないツールとなっています。実名でも匿名でも利用できますが、匿名には「言いたいことが言える」といった利点がある一方、「実名にして発言に責任を持つべきだ」との声も上がります。あなたはどう考えますか?・・・
双方の言い分は、記事を読んでください。