年別アーカイブ:2025年

連載「公共を創る」第217回

2025年3月27日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第217回「政府の役割の再定義ー政治主導を阻む与党事前審査制度」が、発行されました。

政策を大転換するには、課題、解決方法、手順などについて関係者や国民の理解を得ることが必要です。その手法の一つとして、審議会や経済諮問会議などの合議体を使ってその議論の進捗や内容を公開していくことを説明しています。

大きな改革は、審議会での議論から始まり、その答申を受けての法律案作成、国会での審議、可決された後の施行と、実現までには時間がかかります。
地方分権改革は、国会での決議が1993年、地方分権推進委員会の発足が1995年、地方分権一括法の成立が1999年、その多くが施行されたのは2000年です。
1年程度の予算年度では実現しません。長期の内閣を通じて、あるいは複数内閣が交代しながら、改革が進められていきます。

政策の大転換に必要な手続き、その2は抵抗勢力を説得することです。
これまで政策転換が進まなかった理由に、官僚主導と与党の抵抗が挙げられます。まず、与党(議員)が首相(党総裁)の意向に従わず、改革が進まないとはどういうことか、から説明します。
政府(各府省)が法律案を準備しても、与党の反対で提出できないことが起きます。このようなことが起きるのは、内閣の政策決定過程が政府に一元化されず、与党にも政策決定の仕組みがあって、それを経てようやく内閣の決定となるからです。政府と与党が並立している二元制です。さらに「与党事前審査」が慣例として制度化され、与党内で党議拘束がかけられるからです。

「第三者委員会」の現実

2025年3月27日   岡本全勝

3月22日の朝日新聞オピニオン欄、「「第三者委員会」の現実」、円谷昭一・一橋大学教授の発言「背景に、株式持ち合い問題」から。

・・・企業が、不祥事の検証を第三者委員会任せにするのは、おかしなことです。まさにこうしたときに働くべき人として、監査役や、監査を担う取締役(監査等委員など)がいるからです。
監査役や監査等委員は株主総会で選ばれ、取締役の職務をチェックするために存在しています。第三者委は任意組織にすぎませんが、監査役や監査等委員には必要な法的権限が与えられているのです。
フジテレビの親会社でも、独立社外取締役である監査等委員3人は全員「法務・リスク」のスキルを持った人物であると株主に説明されています。いずれも大企業の元トップでもあります。こうした事態に対処できる人物として株主総会で選ばれているわけです。
にもかかわらず今回、第三者委が前面に出てきた。なぜ、独立性のある監査等委員が検証委員会を立ち上げないのでしょうか。検証委に外部の弁護士らを加えるとしても、主導的な役割を果たすべきなのは監査役や監査等委員です。

ではなぜ、本来動くべき人たちが動かず、第三者委任せになるのか。根幹にある原因は株式の持ち合い、つまり政策保有株式の問題だと私は考えます。
フジも多くの企業と株式を持ち合っています。仲間内の企業との間で持ち合う政策保有株式が多いため、株主総会で厳しい意見にさらされることが少ない。安定株主に支えられた会社ゆえに、ガバナンスの実効性が損なわれているのです・・・

・・・社外取締役や監査役が機能し、名実ともに変わり始めている企業もあります。フジでも今回、遅まきながら社外取締役が動き、臨時取締役会の開催を求めたのは良いことだったと思います・・・

強い心臓2

2025年3月26日   岡本全勝

強い心臓」の続きです。今回は、俗な表現についてです。

辞書には、「強心臓は度胸があって何事も恐れないこと。また、恥知らずで厚かましいこと」とあります。心臓に毛が生えているとか。でも、心臓に毛が生えるって、どんな状態なのでしょう。想像しにくいです。
「神経が図太い」は、なんとなくわかります。ところが、「無神経」という反対の表現でも、同じような意味になります。

私も、そのように言われることがあります。本人はいたって小心者で、おどおどしているのですが。人前では、そう見えないように演技しています。

私が知っている強心臓と呼ばれる人には、二種類あります。
一つは、相手を気にせず、ただ厚かましいだけ。
もう一つは、相手に気配りができて繊細で、それを踏まえて他の人は言えない正しいことを言う人です。

フェイクニュースの海で事実を伝える

2025年3月26日   岡本全勝

3月13日の朝日新聞オピニオン欄、マーク・トンプソンCNNワールドワイドCEOへのインタビュー「ジャーナリズムの未来」から。

メディアの役割が、世界で問われている。かつて英BBC、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)を率いたマーク・トンプソンさんは今、米CNNの最高経営責任者(CEO)として「変革」を指揮する。存在感を増すSNSと、トランプ政権下で強まるメディアへの圧力――。揺れ動くジャーナリズムの未来とは。

――センセーショナルな内容のフェイクニュースがSNS上で広がりやすい昨今の状況に、対処できると思いますか。
「止めることはできないと思います。フェイクニュースはある種の『うわさ』です。SNSはうわさを作ること、拡散することをより簡単にしました。そうした情報に人々の興味がかき立てられていることも、現実の一部です。大切なのは、メディアとして自らの価値を保ち、ブランドを目立たせ続けることです。そうすれば、フェイクニュースの海に浮かぶ『真実の島』になることができるでしょう」

――昨年の米大統領選の期間中、トランプ氏は「移民はペットを食べる」などの発言で社会の混乱をあおりました。
「私たちの仕事は、それに憤慨することではなく、事実を把握することです。政治家が選挙期間中に大げさな発言をするのは、よくあることです。発言に真実はあるのか。どこから生まれた話なのか。そうした基本的な問いに、答えようとするべきです。(トランプ氏の発言で名指しされた)オハイオ州スプリングフィールドは工場で労働力を必要としていて、移民の受け入れが奨励されていました。そうした背景を知って、きちんと伝えることが重要です」

――トランプ氏は、政権に批判的なメディアにしばしば攻撃的な姿勢をとっています。
「私はこれを、政治家との闘いだとは思っていません。政治家には発言の自由があり、メディアを批判することはよくあります。特に、私たちが伝える内容が気に入らないときはそうでしょう。事実自体が気に入らないから、報道を嫌がるのかもしれません」
「彼らが政治家として行動する一方で、我々の仕事はジャーナリズムです。私たちは政党ではなく、選挙に勝とうとしているわけでもない。『雑音』に惑わされて、事実を報じるという本来の義務を果たすことから遠ざかるべきではありません」

第三者委員会報告書格付け委員会

2025年3月25日   岡本全勝

「第三者委員会報告書格付け委員会」って、知っていますか。「委員会のホームページ」。趣旨は、次のように書かれています。

・・・21世紀に入ってから、企業不祥事の頻発に伴って世間の信頼を失った経営者の弁明に代わって、第三者委員会が利用されるようになった。しかし、第三者とは名ばかりで、経営者の依頼により、その責任を回避し、或いは隠蔽するものが散見されるようになった。これは多くの第三者委員会の主要な構成者となっている弁護士や弁護士会の信用を損なう結果になるとして、日弁連業務改革委員会は2011年3月に第三者委員会ガイドラインを公表した。

それ以後、多くの第三者委員会報告書はこのガイドラインに「準拠する」とか、「基づく」と表記して、委員会の独立性や透明性、説明責任の遂行に配慮するように改善されてきた。しかし、最近は、このガイドラインの重要な項目に配慮せず、或いは、それに反して「第三者委員会報告書」を僭称したと評価せざるを得ないような報告書が見受けられる事態が起きている。
そこで今般、このガイドライン作成に関わったメンバーを中心として、さらに研究者やジャーナリストの参加を得て、公共財としてのより良い「第三者委員会報告書」を世の中に送り出すために、当格付け委員会を設立することにした・・・

評価方法は、次の通り。
・・・委員会での議論に基づき、各委員が、A、B、C、Dの4段階で評価します。なお、内容が著しく劣り、評価に値しない報告書についてはF(不合格)とします・・・

で、その評価結果です。
九州旅客、高速線の安全運行、2024年12月=D7、F2
SONPOホールディングス、自動車保険金不正請求、2024年1月、D4、F4
厚生労働省、毎月勤労統計調査、2019年3月、F9

他の案件は、評価結果をご覧ください。
まあ、低い評価が並んでいます。名ばかりの第三者委員会だということですね。不祥事を起こした上で、さらに評価を下げているのです。
委員会は、評価の理由を公表しています。評価された会社や委員会は、どのような反論をしているのでしょうか。ぜひ、報道機関に検証してもらいたいです。