月別アーカイブ:2025年8月

間違っている上司にへつらう?

2025年8月24日   岡本全勝

8月20日の朝日新聞、ニューヨークタイムズ・コラムニストの眼、トーマス・フリードマン氏の「労働統計局長の解任 困難な正しさ、選ばない人々」から。ここではごく一部を紹介するので、関心ある方はぜひ全文をお読みください。

・・・ドナルド・トランプ氏が大統領として行ってきた数々の恐ろしい言動の中で、最も危険な出来事が8月1日に起こった。私たちが信頼し、独立している政府の経済統計機関に、トランプ氏は事実上、彼と同じくらいの大うそつきになるよう命じたのだ。
トランプ氏は、気に入らない経済ニュースを彼にもたらしたという理由で、上院で承認された労働統計局長エリカ・マッケンターファー氏を解雇した。そしてその数時間後に、2番目に危険なことが起こった。我が国の経済運営に最も責任を持つトランプ政権の高官たちが全員、それに同調したのだ。
彼らはトランプ氏にこう言うべきだった。「大統領、もしこの決定について考え直さないなら、つまり、悪い経済ニュースをもたらしたという理由で労働統計局のトップを解雇するなら、今後、その局がよいニュースを発表した時、誰が信頼するでしょうか」と。しかし、彼らは即座にトランプ氏をかばった。

ウォールストリート・ジャーナルが指摘したように、チャベスデレマー労働長官は1日朝、テレビに出演し、発表されたばかりの雇用統計が5月と6月は下方修正されたものの、「雇用はプラス成長を続けている」と宣言した。ところが、数時間後、トランプ氏が自身の直属である労働統計局長を解雇したというニュースを知ると、X(旧ツイッター)にこう投稿した。「雇用統計は公正かつ正確でなければならず、政治目的で操作されてはならないという大統領の見解に、私は心から賛成します」
ベッセント財務長官やハセット国家経済会議委員長、チャベスデレマー労働長官、グリア米通商代表部代表といったような上司の下で働くとき、彼らが自分を守ってくれないばかりか、職を守るためには生けにえとして自分をトランプ氏に差し出すだろうと知りながら、今後、どれだけの政府官僚が悪いニュースを伝える勇気を持てるだろうか・・・

と書いたら、肝冷斎が8月20日に「雲消雨霽」を書いていました。

かんぴんたん

2025年8月23日   岡本全勝

8月19日の肝冷斎雑記「姑少待之(袁氏世範)」の冒頭、挿絵の横に「カエルめ、天の棄てるところとなって、かんぴんたんになるぜ。こんな暑い日に出勤すると」あります。
「かんぴんたん」って、わかりますか。私は知りませんでした。
インターネットで調べると、「三重県の方言で、干からびた状態を表す言葉です。特に、カエルやミミズなどが車に轢かれてぺちゃんこになり、さらに乾燥して干からびてしまった様子を指すことが多いです」とのこと。あの状態ですね。

肝冷斎は、三重県出身か関係があるようです。

少数与党政権、熟議の場でなく支出の拡大へ

2025年8月23日   岡本全勝

8月6日の日経新聞経済教室「参院選後の政権の課題」は、待鳥聡史・京都大学教授の「政治の安定回復が急務に」でした。

・・・2024年10月の衆議院選挙での議席減で、連立与党は衆院で過半数を割り込み少数与党政権となった・・・
・・・25年度予算が衆参両院での修正を経て24年度内に成立するなど、一見するとこの路線は一定の成果があったように思われる。しかしその修正は維新の支持を得るための教育無償化や、立憲民主が主張した高額療養費負担引き上げの凍結受け入れなど、もっぱら与党が一部野党の政策を受け入れ財政規律を無視することで実現したものであった。
少数与党政権の下では国会が「熟議の場」になるという楽観論もあった。だが実際に行われたのは、長期展望に基づく良き公共政策のための包括的で闊達な議論でも、理詰めの政策論でもなく、財源も効果も曖昧な支出拡大だったと評価せざるを得ない。
参院でも少数与党になれば、この傾向はいっそう強まるであろう・・・

このような識者の論考を、政治家は読んでいるのでしょうか。ほとんどの経済学者は、財源を考えない消費税減税を批判しています。学者たちも、無力を感じているでしょう。
そして、このようなバラマキ合戦の結果は、誰が責任を取るのでしょうか。

少し古本を処分2

2025年8月22日   岡本全勝

少し古本を処分」の続きです。
本を分別する際に表紙を見ると、「こんな本も読んだんだ」「見つからなかった本が、こんなところにあったんだ」という本が見つかります。なるべく考えないようにするのですが、思い出がわいてきます。その思いを断ち切り、どんどん捨てます。気になる本は、悩まずにひとまず棚に戻しました。知的作業でなく肉体労働にすることが、コツですね。

政治や経済の時事評論もの、官僚ものなどが、たくさん出てきました。これらは誰も読まないでしょうから、悩まずに捨てることができました。その時々には、時代を理解するために読んだのですが、それら多くはすぐに時代遅れになっています。「過去と同時代を分析できても、未来は読めない」と、あらためて思います。
寄稿した雑誌や私が取り上げられた雑誌なども、思い切って捨てました。古い写真や近鉄バッファローズの会員証などが、紙袋に入って出てきました。これはどうしますかね。

一番古いのは、たぶん『倭の五王』(1968年、岩波新書)です。高校時代に、今はない奈良市の駸々堂(餅飯殿通りが三条通にぶつかるところ)で買いました。大学時代に古本で買った専門書にはもっと古いのもありますが、それは除いて。
若い頃は、買った日と読み終えた日を、本の奥付に書き込んでいました。それを見て驚くのは、新書は1日か数日のうちに読み終えています。気力と体力があったのですね。また、集中できる時間もあったということです。知らないことばかりで、いろんな本を読む度に、知的興奮を感じていました。

これで、何センチ床が上がったかな(苦笑)。
ある人から、「空いた棚は、すぐに埋まってしまうのでは」と質問が来ました。まずは床に積み上がった本を、棚に並べたいのです。で、すぐに埋まります。肝冷斎は「すぐに元の木阿弥」になると笑っています。
「どれくらいお金をつぎ込んだのですか」との質問も。かなりの金額ですが、見当もつきません。昔は安かったですよね。もっとも物価や収入も低かったです。でも、1冊2千円として、1000冊で2百万円です。使った飲み代に比べれば、安いものですね。

若いときはお金がなくて、好きなだけ本を買えませんでした。だからこそ、買った本はしっかり読みました。収入が増えて(原稿料が入って)本が買えるようになってから、買ったのに読み終えてない本が増えました。
「これで、全体の何割くらい整理できたのですか」という質問も。目分量で1割でしょうか。それを考えると、嫌になります。

公務員が海外流出する国

2025年8月22日   岡本全勝

8月3日の日経新聞に「ブータン、公務員が海外流出 学校・病院・企業の働き手不足が深刻に」が載っていました(ウエッブ版では表題が異なります)。
・・・ツェリン・ヤンキさんが現在のブータン産業・商業・雇用省にプログラム担当職員として入省した2022年、同省には新たな業務が次々と積み上がっていった。
その前年に始まった政府全体のリストラ計画で、多くの幹部職員が退職した。その後、オーストラリアが新型コロナウイルス禍後に国境を再開したのに伴い、単純労働でも自国より高い給与が期待できるとして、さらに多くの職員が退職した。ヤンキさんの上司も、そのまた上司も町を去っていった・・・

ブータンでは2022年~24年に、2万人以上がよりよい教育や仕事を求めて海外に出て行ったそうです。その半数近くが公務員です。その結果、病院の待ち時間は長くなり、学校の生徒を指導するのは経験不足の教員です。企業の3分の1が人手不足に陥っています。
ある学校では1年間に、教師73人のうち28人がオーストラリアに移住し、全国の教師の3分の1が2021年から24年の間に移住しています。国立病院では専門医の定員167人に対して欠員が30.5%、看護師の定員871人に対して欠員が24.1%だそうです。