朝日新聞経済面に、「アイリスと3・11」が載っていました。2月28日は「復興へ、企業には企業の役割」、3月1日は「なぜご飯?東北の支え、もしもの備え」です。このホームページでも紹介してきた、アイリスオーヤマと舞台ファームの事業です。
アイリスオーヤマは、プラスチック製品から始まり、LED電球、家電、マスクなどにも手を広げてきました。
・・・そんな同社が今、成長の柱として注力するのがパックご飯や飲料水を中心とした食品事業だ。24年の売上高は420億円で前年から130億円増加。30年には1千億円に伸ばす目標を掲げる。米国のほか東南アジアなどへの輸出も強化し、1千億円のうち輸出額で100億円を占める計算だ・・・
・・・同社は13年、仙台市の農業生産法人「舞台ファーム」とともに、新会社「舞台アグリイノベーション」を設立し、精米事業に乗り出した。
舞台ファームは津波で田んぼや備蓄米などが壊滅的な被害を受け、倒産寸前になっていた。アイリスが支援する形で提携し、14年には宮城県内で精米工場を稼働。東北の契約農家のコメを買い取って、ブレンド米として販売し始めた。
だが、利益を出すのは難しかった。当時、コメはスーパーの集客のための特売品で、流通側で1円でも安くしようとする。消費者にとっても「コメは安く買うもの」という常識があった。
そこで、大山は「加工したら、過剰な価格競争からの脱却も可能になる」と踏み、15年、コメを加工したパックご飯事業に参入。17年には角田工場(宮城県)に生産ラインを新設し、自社生産を始めた。添加物を使わないという差別化も図り、災害に備えた備蓄商品の拡充という狙いもあった。
当初は振るわなかった食品事業の市場が一気に変わったのは新型コロナ下だった。自治体が感染者に配る自宅療養セットにアイリスのパックご飯が採用され、認知度が向上。非常食としてパックご飯を買う人も増え、食品事業の売上高は20年には200億円、24年には420億円となった。
社長の大山晃弘は「震災復興をCSR(企業の社会的責任)的にやるのではなくて、しっかり本業の中に組み入れてきた」と話す。食品事業は今や会社の成長を占う事業となっている・・・