日本のサラリーマン社長

4月21日の日経新聞オピニオン欄、イェスパー・コール氏(マネックスグループ グローバル・アンバサダー)の「サラリーマン社長は進化する」から。

・・・日本の企業経営者はネガティブな評価にさらされることが多い。確かに日本の「サラリーマン社長」はプライベートジェットで世界中を飛び回ることが少なく、逆に会社のファクス番号が名刺に記されているケースが多い。しかし仕事を成し遂げる能力をみてみれば、日本の経営者の実績はなかなかのものである。
1995年から2022年にかけて、日本の上場企業の売上高はわずか10%しか増えなかった。しかし同じ期間に経常利益は11倍に増えた。投資や経営の経験者なら、売上高という追い風を受けずに利益を伸ばすことがいかに困難かはよく理解できるだろう。
同時期、米国の「スーパースターCEO(最高経営責任者)」は売上高が3倍になる追い風を受けつつ、利益を6倍に増やした。もちろんこの数字も誇るに値するが、日本のサラリーマン社長が利益を11倍に膨らませたのに比べるとパッとしない・・・

・・・それではなぜ、サラリーマン社長の実績が株価に反映されてこなかったのだろうか。答えは簡単だ。1995年以降、日本の上場企業の設備投資は10%以上減少した。一方、米国の上場企業の設備投資は2.5倍に増えた。さらに米国のCEOが従業員の報酬を約90%引き上げたのに対し、日本の社長は約25%引き下げてしまった。
株価は将来の企業業績に対する期待にもとづいて決まる。そして企業のリーダーが設備や従業員に投資しない限り、将来の業績への期待が生まれることはない・・・