年別アーカイブ:2022年

原研哉著『低空飛行 この国のかたちへ』

2022年7月3日   岡本全勝

原研哉著『低空飛行 この国のかたちへ』(2022年、岩波書店)を紹介します。先日「知ってる、知ってる」で、一部分を取り上げました。原さんの主張は、私たちが気がつかない日本の生活文化の良い点を取り上げるので、うなずくことが多く、このホームページで、しばしば取り上げています。「日本式生活を輸出せよ

今度の本は、旅行とホテルという観点から、日本列島の良さを取り上げたものです。「低空飛行」と聞くと、元気がなく高いところを飛べないのか(成績が悪いときに、この表現を使いますよね)と思いましたが、低い視点で日本列島を見るという意味のようです。

宣伝文には、次のように書いてあります。
「日本各地をみずからの足で歩く。そしてデザイナーの目で、さながら高い解像度をもって自然に迫る。そこに発見されたのは、世界に開かれるべき日本の新たな価値である。かならずしも成長が見込めない成熟の時代にあって、自分たちの財産・資源となるのはその風土にほかならない。」
この本も、お勧めです。

スカートの制服

2022年7月3日   岡本全勝

6月11日の朝日新聞夕刊1面「ジェンダーレス制服、心も快適に 性自認の確認廃止「好きな方を」大阪の中学、校則変更」から。

・・・4月に大阪市立中学に入学した女子生徒は、スラックスタイプの真新しい制服を身につけて登校した。理由は「動きやすいから」。入学前の2月、地元の制服店で購入した。
入学式当日。スラックスをはいているのは自分だけ。後日、担任教諭から母親の携帯に電話があり、こんなことを聞かれた。
「LGBTなど特別な配慮が必要な生徒だけにスラックスを許可している。娘さんには学校が把握していない特別な事情があるのですか」
女子生徒は制服店で「スラックスも選べる」と説明を受けて選んだ。「女性の先生はみんなズボンをはいているのに。なんで私はダメなんだろう……」
校則では女子はスカートと決まっていた。性自認などについて本人や保護者から相談があったときだけ、どちらかを選べる運用にしていた。だが、制服店がこの運用を知らず、生徒にスラックスを販売したことで行き違いが生じたという。
保護者は「教諭が生徒にLGBTかどうかを問うこと自体が人権侵害ではないか」と抗議。学校側は校則を変え、すべての女子生徒がスカートかスラックスの好きな方を選べるようになった・・・

・・・数年前、大阪府内の別の中学でも似たような事例があった。男性教諭が当時を振り返る。
ある年の春、一人の女子生徒が前触れもなくスラックスの制服で入学した。
「どうする?」
戸惑った教員たちは対応を話し合った。校則の規定を確認すると、「制服を着用すること」としか書かれていない。女子はスカート、男子はスラックスという明確な決まりがあるわけではなかった。教員たちは「問題なし」と判断。そのまま女子生徒のスラックス着用を認めることにした。
このとき教員たちは、女子生徒に対し、性自認の確認もしなかったという・・・

制服があることを否定はしませんが、自主性のない生徒を作る仕組みですよね。そして、先生はその制服を着ていないのです。学校の一体性を保つなら、先生も生徒と同じとは言いませんがよく似た制服を着たらどうでしょうか。女性教員は女生徒と同じようにスカートだけで、スラックスはダメだとするのでしょうかね。

政と官、外交方針の衝突

2022年7月2日   岡本全勝

6月16日の朝日新聞オピニオン欄、竹内行夫・元外務事務次官のインタビュー「外交のプロが見る世界」から。

――政治家と官僚、政治と外交については体験が豊富ですね。
「自分が退官した後の日本外交の問題で、どうしても指摘せざるを得ないと思い詰めたのが、北方領土問題です。それはウクライナ侵攻よりもずっと前のことですが、プーチン・ロシアによるウクライナ侵攻と北方領土の不法占拠は、基本的には同じ問題です」
「私は北方四島帰属の問題の解決をうたった東京宣言から2島先行返還に方針を切り替えた安倍晋三首相について、平和時の外交交渉において『国家主権を自ら放棄した歴史上初めての宰相』になるかもしれない、と危惧しました。これはかなり厳しい言い方だと思いますが、思いとどまってほしいという切なる気持ちがそれほど強かったのです。当時、プロフェッショナルである外務省の後輩たちはどんな気持ちでいたのかといたたまれない思いがしました」

――もしも現役の外交官で、首相官邸がこうした政策変更を決断してきたらどうしましたか。
「どうでしょう。今回の北方領土をめぐる問題では、官邸の方針と異なる意見を出すと、仕事から外されてしまったという声も聞きました。政治と官僚の関係も、私が現役の頃とは、違っています。ただ、私自身、重要な政策について、たとえ『孤独な戦い』と分かっていても、自分の考えを文書にし、訴え続けるといったことをしたことがありました」

参考「竹内行夫さんの外交証言録

中立でない、いじめ調査の第三者委員会

2022年7月2日   岡本全勝

6月16日の日経新聞に「いじめ調査委、揺らぐ中立 大半で教員ら学校側関与」が載っていました。
・・・重大ないじめに対応する調査委員会の信頼性が揺らいでいる。外部有識者だけで構成される例は少なく、中立性が疑問視され、経緯調査の進め方が問題になるケースが目立つ。原因究明が不十分では被害者保護や再発防止もおぼつかない。文部科学省は15日、いじめ対策を協議する有識者会議を開催。調査を担える人材のデータベース整備などの改善案を示し、対応を求めた。

2013年施行のいじめ防止対策推進法は、心身に重い被害を受けたり、長期欠席を余儀なくされたりしたケースを「重大事態」と規定。被害者側への丁寧な説明や再発防止策の検討をするため、学校や教育委員会が調査委を設けて原因を調べるよう義務付けた。
文科省は17年のガイドラインで調査委を第三者で構成するか、教員らを含むか、事案に応じ判断するよう求めた。実際は大半で教員らが加わっている。20年度の心身などに重い被害があった233件の調査のうち、第三者のみで調べたのは45件(19%)だった。
教育現場からは「学校の事情に詳しい教員らも参加した方がスムーズに進む事案は多い」(教委担当者)という声もある。しかし加害者を知る立場の教員らが調査主体に加わることに対し、被害者側が不信感を抱くケースも少なくない・・・

このような対応が、その場は切り抜けても、徐々に信頼をなくすのですよね。第三者委員会のいかがわしさについては、八田進二著『「第三者委員会」の欺瞞-報告書が示す不祥事の呆れた後始末』 (2020年、中公新書ラクレ)が参考になります。

もう7月

2022年7月1日   岡本全勝

なんと、もう6月が終わってしまいました。年の半分が過ぎたということです。みなさんは、計画した仕事は進みましたか。多くの職場は4月始まりですから、まだ3か月しか経っていないとも言えますが、もう3か月も経ったのですよ。
毎週末には、「もう1週間が経ったのか」と嘆いているのですが、あっという間に3か月ですね。

私の方は、本業は副学長以下が頑張ってくれて、対面授業を再開し、新しい研修にも取り組んでくれています。私の講師としての出番もつくってくれています。これについては、昨日書いたとおり、反省し向上を目指しています「講義は難しい」。
副業の講義と講演は盛況で、アカデミーを含め7月は5回出番があります。講演資料は作ったので、一安心。
連載「公共を創る」は、5月の連休時点では原稿を書きため貯金を持っていたのですが、すぐに底をつき、6月に入って自転車操業でした。右筆の頑張りのおかげで、3回の締め切りを守ることができました。コメントライナー寄稿も順調にこなしました。締め切りに追われる生活は、余裕がなくなり、よくありませんね。

「ナツツバキがきれいです」と言っているうちに、アサガオの種をまくのが遅れ、先週末に孫と一緒に植えました。すぐに、たくさんの芽が出ています。朝晩に、キョーコさんと分担して水やりをしています。
6月は猛暑が続き、一足先に夏になっています。この暑さ、今年の夏はどうなるのでしょうか。心配です。