年別アーカイブ:2022年

原子力規制委員会の10年

2022年10月5日   岡本全勝

9月20日の朝日新聞「信頼への道、原子力規制委10年」、田中俊一・初代規制委員長の発言から。

――規制委は当初の狙い通りの姿になりましたか。
「発足は原発事故の翌年で、当時は原子力に対する社会の信頼がゼロでした。どう安全規制の信頼を取り戻すか。そこで打ち出したのが透明性です。審査会合をオープンにして中身をさらけ出した。今では信頼はある程度、得られたんじゃないでしょうか。でも、推進側が全然ダメですね」

――どこがダメですか。
「原子力の利用について国民は納得していませんよね。日本でどうして原子力エネルギーが要るのか、国民に考えてもらう必要があるわけですよ。特に、温暖化とかロシアの(ウクライナ侵攻に伴うエネルギー危機の)問題がある今は、議論する絶好のチャンス。それなのに、政治家も行政も、きちんと議論をやろうという人がいません」
「電力不足だから審査を迅速化しろと言うけど、規制委が許可した原発17基のうち7基は再稼働していません。まず、それを動かせば間に合うはず。規制委が許可したって原発は動かないんです。社会が受け入れられるような議論を政治がやっていないからです」

――厳しい審査をしても、新規制基準で必要な安全対策がそろえば、最後は認めざるをえないようにも見えます。
「規制委は原子炉を止めるところじゃないんです。止めるなら規制なんか要らない。原発を利用する上で大きな事故を起こさないようにするのが規制委です」

肝冷斎の観タマ道

2022年10月4日   岡本全勝

このホームページにしばしば登場する肝冷斎。古典漢文の解説を毎日続けつつ、野球観戦に精を出しています。さらに、毎月子ども向けの楽しいカレンダーをつくり、間違い探しもつくっています。なかなか正解が分からないので、答も載せてもらうようにしました。

今年は160試合を達成しました。2月末からですから、7か月あまりで160試合です。雨の中での観戦では、おにぎりがお茶漬けになったそうです。そこまでして・・・
その気力と体力は、尊敬に値します。その記録を毎晩深夜にブログに書いているようです。昨日のスワローズ村上選手の56号本塁打も見たようです。

村田製作所「当社には一人でできる仕事はほとんどありません」

2022年10月4日   岡本全勝

9月20日の読売新聞LEADERSは、中島規巨・村田製作所社長の「電子部品 こだわりの一貫生産」でした。
「世界の製造業は「垂直統合」ではなく、他社の製品を調達してモノを作る「水平分業」が主流になっている」ことに関して。

・・・垂直統合にはこだわります。独自性のある部品を設計し、品質改善を進めながら量産し、コストを下げていく地道なモノ作りの努力が当社を支えています。
「ジョブ型雇用の時代」と言われますが、当社には一人でできる仕事はほとんどありません。多様なスキルを持つ多くの人がチームとして仕事をしており、帰属意識や一体感が強い会社です。チームの力を高めていけば、投資額が大きくなる垂直統合のデメリット以上の恩恵があります。

こうした組織には、基軸となるフィロソフィー(哲学)のようなものが求められます。豊かな社会の実現に貢献し、会社を発展させるという社是や「誰も作っていないものを作ろう」という経営理念は、今も共有されています。古くさい経営と言われても、これからも全うしていきたい・・・

全国市町村国際文化研修所で講義

2022年10月3日   岡本全勝

今日は、全国市町村国際文化研修所で講義するために、大津市に行ってきました。全国市町村国際文化研修所は、市町村職員中央研修所の姉妹校です。

研修内容は「トップマネジメントセミナー~災害や感染症などへの対応と質の高い地域社会の構築に向けて~」で、私の話は「大規模災害に備えて― 想定外は起きる」です。
「我が町は安全だ」と思っていた地域で大きな地震が起き、豪雨災害が起きています。新型コロナ感染症もありましたし、サイバー攻撃もひどくなっています。武力攻撃事態も想定されます。戦後半世紀にわたって安全を享受していた日本が、1990年代に入って国の内外でこれまでにない危機が発生しました。この30年間に分かったことは「確実に言えることは、確実なことはない」ということでした。

役所も国民も一度経験すると、二度目は上手にやります。また、他人や他の自治体の経験が、役に立ちます。しかし、想定外は、想定しないことが起きるから想定外なのです。
要点は、想定できる危機については準備をする、それでも想定できない危機は起きると考えておく、想定外が起きたときに柔軟に対応することです。

NPOによる政策形成

2022年10月3日   岡本全勝

9月19日の朝日新聞オピニオン欄に、秋山訓子・編集委員が「政策形成の新潮流 NPO×政治家、課題解決へつなぐ」を書いていました。

政治家や官僚、業界団体による伝統的な政策形成のあり方が少しずつ変化している。社会課題に取り組むNPOや社会的企業の中から、現場での問題解決だけでなく制度を変えようとする人々が動き出し、政治と結びつくようになってきた。
2021年、菅義偉政権で「孤独・孤立担当相」が新設された。英国に続き世界で2例目だったが、これはあるNPOの活動が始まりだった。

「孤独」のような課題は新しい。複雑化、多様化した社会で官僚は現場の動きについていけず、情報収集能力も落ちている。高度経済成長時代には政治家、官僚、業界団体が票とカネを媒介に結びついた、いわゆる「鉄の三角形」による政策形成が主流だった。だが、少子高齢化で財源は限られ、無党派層も増えて、この構造は崩れかけている。縦割りの省庁より、先駆的で柔軟なNPOや社会的企業のほうが新しい課題に取り組みやすい面がある。

1980年代以来の行政・政治改革で官邸機能が強化され、首相が指導力を発揮するようになった。NPOなどでも首相やその周辺とうまくつながれば、政策実現可能性が高まる。孤独担当相創設はその例といえる。
NPOに対しては自民党内に偏見もあったが、若い世代が増えると受け止め方が変わってきた。女性や障害者など、自民党が従来あまり触れなかった課題もNPOと連携して政策化する例が出ている。NPO側も、政策実現のため与党志向が強まっている。

孤独担当相の創設に関わった加藤氏(現厚生労働相)は、政治家とNPOなどが協力し合う意義をこう語る。「政治だけで何でも解決できる時代ではない。行政は縦割りであり、制度をきれいに作ってしまいがちだが、機能しないことも多い。政治家がコーディネーターとなり、NPOや社会的企業、官僚、研究者など関係者でフラットに政策を議論することが必要だ」
このような政策形成の実例は、まだまだ少数だ。だが多様化した社会で、新しいやり方が出てくるのは時代の必然ともいえる。政治家も官僚もNPOも、社会の課題を解決するという目的自体は同じだ。手を携えながら政策づくりをどのように進めていくか、さらに知見を積み重ねていくことが必要になるだろう。