年別アーカイブ:2022年

住みよい町を続ける

2022年3月1日   岡本全勝

2月19日の日経新聞に、「住まいのまちなみコンクール」という全面広告が出ていました。受賞したのは、福島県いわき市の葉山自治会です。「住まいの街並み」と聞くと、きれいな街並みの風景を想像しますが、地区や事業者ではなく、自治会が表彰されています。

住まいのまちなみコンクール」のホームページによると、「このコンクールは、地域の特性を活かし、魅力的な住まいのまちなみを育む維持管理、運営などの活動に実績を上げている住民組織をまちづくりのモデルとして表彰し、支援します」とあります。
かつては、新しい住宅地を創り出す事業者(住宅地の生みの親)を表彰するものだったそうですが、住み継ぐことができるまちなみをいかに維持管理、運営していくかを主眼とした、育ての親である住民組織を対象にするようになったそうです。

モノを作ればよい時代から、運営を続けていく時代になりました。住みやすさを維持するには、継続的な努力が必要です。それも、建設業者に作ってもらってお金で買うことができず、住民が自分たちで続ける必要があるのです。
これも、モノからコト(関係)への変化の一つでしょう。さらにその関係は、継続することが必要です。モノなら作れば完成、買えばすむですが。

コメントライナー寄稿第2回

2022年3月1日   岡本全勝

時事通信社「コメントライナー」への寄稿、第2回が配信されました。今回は「管理職の必須知識」について書きました。同時に、iJAMPでも配信されました(それぞれ有料で登録会員だけです)。

企業も役所も、管理職の育成に悩んでいます。職員を使って業務を達成するという任務は変わらないのですが、社会の変化や従業員の意識の変化に対応する能力が必要となりました。
これとは別に、管理職に必要な知識が増えました。情報通信技術とサイバーセキュリティ、コンプライアンス、不祥事が起きた際の広報対応、災害時の業務継続、仕事と生活の調和、セクハラやパワハラの防止、心の不調を抱える職員への対応などなど。
担当している業務の専門知識の前に、このような共通知識が必要になりました。これは意外と気がつかれていません。
これらの項目それぞれに、専門書や研修はあります。ところが、これらの一覧、「管理職ならこれだけは覚えておこう」という教科書がないのです。

で、市町村アカデミーで、研修を作りました。
一つは、上に述べたような内容の「管理職の必須知識講座」です。
もう一つは、「政策の最先端」です。デジタル化や感染症対策など専門性の高い科目は既にあるのですが、それとは別に管理職や企画担当職員に最先端の政策課題とその動向を学んでもらいます。「最先端政策のデパート」を目指します。内閣官房や総務省などの専門部局の協力を得て、内容を練り上げました。

コメントライナー前回は、1月6日「若手官僚の不安と不満」でした。

日本語を大切に

2022年2月28日   岡本全勝

先日、コロナワクチンを受けに、会場に行きました。
係員の皆さんが、クビから札をかけています。そこには、「STAFF」とだけ書かれています。英語表記だけです。
会場に来るほとんどは、日本人です。「係員」と書けば良いものを。「英語にしたら、かっこよい」と思っているのでしょうか。拝外思想ですね。

その人たちに文句を言っても仕方ないと思い、何も言わずに帰ってきました。

職場の機能、社員の交流と一体感

2022年2月28日   岡本全勝

2月17日の日経新聞「オフィス新常態」「芝生に集い話し合い 出社したくなる場所へ」から。

・・・在宅勤務の定着などでどこでも働けるようになった時代。オフィスは毎日出社する場所ではなくなり、機能の見直しが進む。社員同士のコミュニケーションを促す場や、在宅よりも生産性を高めることができる場としての役割を磨き、テレワークで浮かび上がる課題を補完する動きが相次ぐ・・・

・・・「家みたいにくつろげるオフィスです」。人工知能(AI)学習教材のアタマプラス(東京・港)でオフィス移転を手掛けた杉本悠さんはこう話す。2021年12月に移転したばかりのオフィスには社員が集うスペースに人工の芝生が敷いてある。自宅のように靴を脱ぎ、あぐらをかいたり、クッションに座ったりして会議や作業に没頭できる。オフィス面積は従来より1.6倍ほど広げた。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で多くの社員は週2~3日テレワークになり、直近の出社率も2割程度。テレワークを導入して通勤時間の削減や地方との商談のしやすさなどの利点を感じる一方、社員同士の交流や一体感を生むという面では限界を感じるようになった。「全員で同じ目標に向かい、楽しみながら仕事をする上でオフィスが重要」(杉本さん)。同社はコロナ禍収束後もあくまでオフィスが働き方の主体と位置づける考えだ。

森ビルの21年の東京23区のオフィス需要調査によると、新たに借りる予定がある企業のうち面積を広げる意向がある企業は20年比7ポイント増の40%だった。6割前後だったコロナ前に比べると低水準だが、テレワークでは対応が困難な取り組みをオフィスの環境づくりの課題としてあげる企業が増えていることも一因にあるという・・・

・・・吉田淳一(三菱地所)社長は「新しい価値を生み出すには、色々な人とけんけんごうごう議論しないといけない」と指摘する。コミュニケーションを取りながら働く必要性があると見る・・・

事例研究の危うさ

2022年2月27日   岡本全勝

高野陽太郎「日本人論の危険なあやまち」」の続きになります。高野陽太郎著「日本人論の危険なあやまち 文化ステレオタイプの誘惑と罠」 (2019年、ディスカヴァー携書)に、次のような話が出ています。64ページ。

日本人の代表として野球の大谷翔平選手を出し、アメリカ人の代表として俳優のトム・クルーズさんを出します。これは、多くの人が納得するでしょう。
そして二人の身長を比べます。
大谷選手は193センチ、トム・クルーズさんは170センチほどだそうです。これで、日本人の方がアメリカ人より背が高いと、結論づけて良いのでしょうか。

高野先生は、いくつも「都合の良い事例」「変な証明」を取り上げて、日本人論のおかしさを指摘しています。