年別アーカイブ:2022年

胃がんは絶滅危惧種

2022年3月30日   岡本全勝

3月23日日経新聞夕刊「がん社会を診る」は、中川恵一・東京大学特任教授の「ピロリ菌感染は激減、胃がんは「絶滅危惧種」に」でした。読むと、「へえ」です。

・・・長引くコロナ禍でストレスがたまっている方も多いはずです。かつて、このストレスが胃潰瘍の原因と言われた時代がありました。しかし、ストレスだけでは胃潰瘍はまず発症しません。
27年前の阪神大震災の直後、胃潰瘍の患者が増えました。避難生活のストレスが原因と考えられましたが、患者の8割以上がヘリコバクター・ピロリ菌の感染者でした。逆に、ピロリ菌に感染していない人にはほとんど胃潰瘍は発生していませんでした・・・
・・・胃がん患者のほとんどがピロリ菌に感染していますが、ピロリ菌の感染者のうち胃がんになる人は1%以下。ピロリ菌に感染しても胃がんになるわけではありません・・・

ただし、ピロリ菌に感染している人が塩分過多になると、胃粘膜の炎症が進み、胃がんを発症しやすくなるのだそうです。
アメリカでは、胃がんは白血病や膵臓ガンより珍しい「稀少がん」になっているとのこと。時代は変わるものですね。
ちなみに私も、40代にピロリ菌の除去を受けました。一安心かな。

ニュースがない?

2022年3月29日   岡本全勝

皆さん、最近のテレビのニュース番組を見て、「ニュースがないなあ」と感じませんか。
私は最近、NHKの朝昼夜、定時のニュースを見なくなりました。見ても冒頭の「今日の項目」を見たら、ほかの番組に変えてしまいます。インターネットでNHKニュースを確認しておけば、19時のニュースを見なくても大きなニュースは分かります。そして、ウクライナとコロナのニュースばかりです。これらが重要であることは間違いありませんが、ほかのニュースはどうなったのでしょうか。

新聞も同じなのですが、解説欄などは勉強になるのでちぎって、後でゆっくりと読んでいます。このホームページで紹介するのも、ニュースではなく解説記事が主です。

コロナで取材が難しいことは分かりますが、これら2つ以外のニュースはないのでしょうか。
記者にとって、足で拾う能力とか、テーマを決めて取材するといった能力が落ちるのではありませんか。 心配です。

「お笑い大蔵省極秘情報」

2022年3月29日   岡本全勝

3月23日の朝日新聞夕刊「時代の栞」は、テリー伊藤著『お笑い大蔵省極秘情報』(1996年)を取り上げた「競争社会極めた人間の業」でした。

・・・霞が関の競争社会の頂点にいるとされた大蔵官僚。全員がそうではないだろうが、出世のためには人を欺くことさえ厭わない彼らのゆがんだ本音がこの本からうかがえる。
「大蔵省から見たら、尻尾が見えていない日本人はいないんですよ」
「われわれにとっては大蔵大臣はどんなアホでも同じなんですよ」
たしかに東大法学部出身者は多い。仕事に誇りと自信を持つのはいいが、人を見下すような発言はいただけない。「京大や早慶は刺し身のツマ。(官僚トップの)事務次官なり主計局長になったりすることは皆無です」。そんな発言も載っている・・・

・・・テリーさんが一番驚いたのは彼らに迷いがないことだったという。「『間違ったことを俺はひとつもしていない』と言うのです」。脈々と続く官僚システムに忠実に従っている限り、自分は安泰だと思っていたのだろうか。
本が出版された90年代は、バブル崩壊後の景気低迷や金融危機の時代だった。巨額の不良債権を抱えた住宅金融専門会社(住専)の処理や金融機関の破綻処理のため、公的資金を投入することにも国民から不満の声が上がった。その裏で次々と明らかになったのが、大蔵幹部が受けていた過剰接待。逮捕者が出たり、蔵相や事務次官が辞任に追い込まれたりした・・・

ところが、懲りずに、その後も破廉恥な行為を繰り返します。1998年には「ノーパンしゃぶしゃぶ」料理店での接待問題が表面化します。何を勘違いしたのでしょうね。私はこの本を読んでいません。とはいえ、私も同業者です。

記事には、1990年代から最近までの大蔵省(現財務省)をめぐる不祥事が列記されています。転載しておきます。この年表には書かれていませんが、1998年の接待汚職事件を受けて、1999年に国家公務員倫理法が制定されました。

1995年3月 信用組合理事長からの過剰接待が発覚。大蔵省幹部2人を訓告処分
12月 元東京税関長が過剰接待問題で辞職
1998年1月 四つの都市銀行の担当者からの高額接待が明るみに。大蔵検査官2人を収賄容疑で逮捕
3月 大手証券からの収賄容疑で課長補佐ら2人を逮捕。主計局長、官房長らを処分
4月 民間金融機関からの過剰接待問題で職員112人を処分
6月 金融監督庁発足で大蔵省から金融検査・監督部門が分離
(2001年1月 中央省庁が「1府12省庁体制」に再編成される。大蔵省は財務省に)
2008年6月 タクシー事業者からの利益供与「居酒屋タクシー」問題で職員600人の金品受領が発覚
2018年4月 テレビ朝日女性記者へのセクハラ発言を報じられた福田淳一事務次官が辞任

砂原庸介ほか著 『公共政策』

2022年3月28日   岡本全勝

砂原庸介、 手塚洋輔著『公共政策』(2022年、放送大学教育振興会)を紹介します。これは、新年度から始まる放送大学大学院の教科書です。詳しい内容は、リンクを張った授業のページを見てください。
個別分野の行政を説明するのではなく、「公共政策が社会の中でどのように形成され、社会に対してどのような影響を与えているかを描き出す」(講義概要)もので、少し高度な内容になっています。
砂原教授の説明

これまでこの科目と教科書は、御厨貴先生が編者で、砂原教授たちが分担執筆していました、代替わりしということですね。
二人は、新進気鋭の行政学者です。もう、新進とは言えない年齢ですかね。

新年度(4月1日)から始まります。インターネット配信もあります。聞かなくても、本を読むだけでも勉強になります。
「行政や公共政策をもう一度勉強してみよう」と考えておられる方に、お勧めです。

ウエッブ会議の欠点

2022年3月28日   岡本全勝

3月23日の朝日新聞夕刊、宮原秀夫・元大阪大学総長の「ウェブ会議、このままではダメ 異論が封じられる恐れ」が、勉強になりました。一部を(順序を入れ替えて)転載しますが、原文をお読みください。

――コロナ禍でネットが果たした役割をどう評価しますか。
当初は、どんなウイルスかも分からない中で、通信技術が社会活動を維持するインフラとして貢献したことは間違いありません。それでも総じて言えば、コロナ禍は技術のマイナス面や限界が浮き彫りになる契機だったと思います。

――ウェブ会議システムに毎日世話になっている身としては、プラス面のほうが大きいように感じます。どこがいけませんか。
定型的で、連絡事項を伝えるだけの会議ならウェブは役割を果たせます。ですが、大学の総長など会議を主催してきた立場としては、議論を尽くして本当に重要なことを決定する会議にはウェブは不向きだし、使うべきではないとすら思っています。
現在のウェブ会議システムでは、臨場感や、発言者以外の画面に表示されていない参加者の表情やしぐさを読み取ることはできません。顔の表示をしないことも可能です。
同時にしゃべれる人数は限られているし、例えば大学の評議委員会など重要な会議では必ず出る「それはおかしいやないか」という反対意見も出づらい。そういう意見が続いて議論が深まったり、全く別の結論に至ったりすることが起きづらいわけです。

――異論を出しにくいことが問題ということですね。
逆に言えばウェブ会議は、反対意見を聴かずに、議論をある方向に持っていこうと主催者が決めてしまっている会議にはうってつけだとして悪用されているのではないか、と思うこともあります。
うるさい反対意見を聴かなくていい。「定型のしゃんしゃんで終わろうと思う会議なら、今後はもうウェブ会議でええんやないか」と。感染が収まっても、リアルの会議に戻らなかった場合は要注意だと思います。

――他方でウェブ会議システムは遠方の人と知り合うことができ、外出が難しい人にも貴重なコミュニケーションツールとなりました。
もちろん、病気や障害で外出ができない人には、VR(仮想現実)やロボット、アンドロイド技術の進歩はプラスでしょう。

フェース・トゥ・フェース、顔をあわせた関係が前提にあるべきです。実際に、ウェブ技術が進歩するのにあわせて、実世界の人間の交流もどんどん活発になってきていた。コロナ禍までは国内の新幹線の利用者も、世界的な飛行機の旅客の数も増え続けていたわけです。歴史が証明しています。
やっぱり人と会うのは楽しい。「じゃあ今度会おうよ」と新たな交流が生まれるような技術こそ、求められる真のDXだと思います。