職員のやる気を引き出す

社員や職員にやる気を持って仕事をしてもらう。どの組織、どの管理職にとっても、最も重要なことの一つです。なぜ、それが、近年大きな問題になるのか。この問題は、時代と地域を越えた共通課題であるとともに、違った要因もあります。
すなわち、貧しい時代や失業の恐れがある時代は、給料が良く安定している、そしてつらくない職場であれば、多くの職員が満足しました。経済成長期には、つらくて貧しいことの多い農業や自営業から、会社勤めが憧れでした。しかし、多くの人が会社員になり、それなりの給料をもらえるようになった今では、給料と安定だけでは、職員はやりがいを持ちません。

1月29日の日経新聞の広告の中で、パーソル総合研究所の井上亮太郎・主任研究員の分析が載っていました。ワーク・ライフ・バランス、自己成長、満足な報酬、やりがいがある仕事、自分の居場所などです。参考「はたらく上で「幸せ/不幸せ」を感じる要因
職員は、給料のためだけに働いているのではありません。職場と職業は、居場所であり、自分を認めてもらう場所です。

1月31日の朝日新聞生活面、「(テレワーク考)社員同士褒め合い、やる気も給与もアップ」には、次のような事例が紹介されていました。
・・・ 新型コロナウイルスの感染拡大から1年余りの昨年3月、男性下着メーカー「TOOT」(トゥート)の枡野恵也社長(39)は本社がある東京を離れ、岡山県倉敷市に家族で移り住んだ。「コロナ禍の前から考えていた。私が手取り足取り指示ができなくなることで、社員が自発的に仕事をするきっかけにしたかった」と話す。
枡野さんは、テレワークでコミュニケーションが希薄化することを心配し、朝礼や夕礼をするなど、さまざまな手を打った。

ユニークなのは「ピアボーナス」。「ピア(仲間)」と「ボーナス(報酬)」を合わせた言葉で、社員同士で行動を評価し、ボーナスを贈り合う。
仕組みはこうだ。一緒に働いた人のうち「頑張った」と思う人の名前と理由を週に1回、会社に伝える。名前をあげられた人は推薦者1人あたり3千円を給与に上乗せされ、理由も伝えられる。5人から推されれば、1万5千円の臨時収入と称賛を手にできる。
推された社員のやる気が高まるだけではない。推薦する側は「同僚のよいところ探し」が必要なため、テレワークで起こりがちな「自己完結」を防ぐことにつながる。枡野さんは「人を褒めることで自身も前向きになる」と話す・・・